年末あいさつ回りの功罪

2005-12-27 22:40:09 | 企業抗争
多くの会社は12月28日までの仕事で、29日から休みというのが多いようだ。したがって、きょう27日と明日28日はあいさつ回りでウロウロといった人が多いだろう。実際には、年末にあいさつしたところで、何かが起きるわけでもないのだが、どうして、こういうしょうもないことをやるのだろうかと思いつつ、たいしてあてもなく、私も外へ出て行くのだが。こういうことではないだろうか。事務所に残ってぐずぐずしていると、録に仕事もしていなく、特に会いたくもない取引先が、日頃見たこともない役員まで連れてやってくる。それならば、先回りして、自分が事務所ビルから逃げ出せばいいではないか。そう、まさに挨拶客に会わないように、先手をとって歩き回る(というか逃げ回る)。そして、アポも取らずに歩き回るので、行った先のお客様も「嫌な客に会いたくない」という理由でどこかに出歩いている。かくして、名刺印刷業と地下鉄・タクシー会社の売上増と長期的には靴の買換え需要が増大することで、経済に若干の有効需要を生み出しているわけだ。 

羽越線事故に見る死角

2005-12-27 22:39:21 | 市民A
8cc52963.jpg12月25日午後7時15分頃発生した特急脱線転覆事故を知ったのは、全日本女子フィギュアをテレビで観戦していた時のテロップだった。既にインターネット上では、競技の結果が流れていたにもかかわらず、高い視聴率を出すというのもすばらしい話ではあるが、その話は他に譲る。たぶん浅田姉妹の姉の舞さんの演技よりも後で、村主章枝のラフマニノフピアノ協奏曲第2番よりは前だったと思う。記憶を辿れば、「羽越線特急が山形県内で脱線、横転しけが人発生」といった内容ではなかっただろうか。かなり気になった。

というのも、以前、この区間で特急「いなほ号」に乗ったことがあるからだ。急な所用で、東京から酒田に行くべきところ(倒産した本間ゴルフの酒田工場へ差押さえに行った訳ではない。念のため。)、庄内空港行きの航空便が満席で予約できず、鉄路を選ばなくなったからだ。おそらく、かなり以前は東北線で福島まで行き、奥羽線で山形、新庄、大曲と通過し酒田・秋田方面に行くのが正道だったのだろうが、上越新幹線開通後は、まず新潟まで新幹線を利用し、そこから羽越線で北上する方が早くなったわけだ。(ところが、酒田より先の秋田には、東北新幹線から分かれ田沢湖線を走る「秋田新幹線こまち号」が開通し、酒田よりも1時間早く到着する。)

そして、脱線の初報で気がかりだったのは、事故の場所。私の記憶では、いなほ号は日本海の海岸に近い場所を時速150km近くで若干の不安感を伴いながら突っ走っていた。運が悪いと海に滑り落ちたりするのではないか(事故というのは元々運が悪いから起こるのだし)というのが頭に浮かぶ。

次の情報は、酒田市に近い余目(あまるめ)という場所で最上川架橋に近く、ということ。一瞬、「日本で一番高い橋」というのが浮かんだが、あれは「あまるべ」だったな、と曖昧に記憶の中から思い出す。実際、その橋からは回送列車が40m落下し、大事故になっている。さらに、その段階ではまだ、列車が北向きだったのか南向きだったのかもわからないし、橋との位置関係も不明。結局、私事ながら、遅れていた年賀状の作成で深夜までかかってしまったので、ニュースを確認しなかった。

明けて、26日。事故の様相がわかってきた。死者4名(1両目)。秋田発新潟行、いなほ14号。つまり南行きで、最上川の橋梁を渡り切る寸前に右側から(海から)の突風を受け浮き上がり、左側に脱線。そこにあった、家畜の堆肥集積場(養豚場という報道もあるが)に一両目が飛び込み2両目から4両目までがバラバラとはずれてしまったわけだ。福知山線の時のように、脱線現場にあったのがマンションや民家であれば、もっと凄惨な状況となったはずだ。

もちろん、直接的原因は突風ではあるが内部の基準では風速25mで徐行、風速30mで運行停止であったという。最上川鉄橋上の風速は20m程度であったという。それにこの特急、秋田県内では実際に強風のため徐行運転も行なっている。さらにポイント故障もあり、既に通常ダイヤより1時間以上遅れていたとなれば、強風を無視して先を急ぐ理由もなかったはずだ。

まず、最も簡単な検証だが、風力計に異常はなかったかということ。これは、誰でもまず疑うだろう。

次に、風力計の設置箇所及び個数。川の上のように広く吹き通しになる場所は、空気は自由に流れる。広い面積を、ある一点で測定するには無理がある。列車に影響を及ぼすのは、「ある場所のある瞬間最大風速」であるわけだが、この瞬間風速というのを厳密に測定するのは難しい。現場の状況はよくわからないが、少なくても1箇所だけの測定では不安がある。報道では北側1kmに風速計があったと言うが、ということは橋の北側に1個だけだったのではないかとも読める。クルマを運転していても、高速道路でも川や海の上は複雑な風が吹いていてハンドルを緩められないのは経験上明らかだ。

次に、風力が規定内だったのに、なぜ脱線したかという点には、列車の横揺れと横風の関係が考えられる。不謹慎な話だが、ゴルフ場などでよく経験するのは、「風は息をしている」ということ。上級ゴルファーは風が止まる瞬間に打っている。つまり、吹いたり止んだりという横風の性質上、列車には横方向に振り子状の動きが発生するということだ。そして片側に傾けば、元に戻ろうとする重力が発生し、そのリズム(波動)が一致すると、思わぬ横揺れの増大が起きることが考えられる。一部報道では下からの風で浮き上がったのではないかとある。あまり理解できない話のようにも感じる。橋の下で吹き抜ける風速が早ければ、ベルヌーイの定理では圧力が下がり、逆に下向きのダウンフォースがかかるはずだ。

さらに、嫌な推論だが、最上川の鉄橋だが、設計上の問題がなかったかどうかである。列車自体の自重で、橋が揺れたりたわんだりするのは想定できるが、その設計及び施工が妥当に行なわれていたかどうかだ。要するに、橋が軽すぎたり、橋脚が少なくて、少しの揺れが大きなゆれを誘引するような構造になっていなかったかどうかだ。つまり、アネハ事件と同根ではないだろうか?ということである。

そして、まだ、理解できないのは、運転手から停車報告が午後7時16分と記録に残っているそうだが、変電所の記録では架線が切れたのが午後7時14分と2分間の差があるのだが、なぜなのだろうか。


そして、JR東日本のマニュアルにしても、本来、自然界のアナログ的な数字である風速を25m、30mとディジタル的に処理して、「通常・徐行・停止」という三分割しているのだが、JHのハイウェー上の速度制限のように、こまかな中間値運用に変えていく必要があるのではないだろうか。例えば風速20mなら時速60kmとかだ。

さらに、列車自体に、横揺れが発生した場合、自動的に速度がを落ちていくような制御装置の導入も考えるべきなのだろう。(もちろん急ブレーキはさらに車両の挙動が不安定になるため列車を減速することだって難しい)


ところで、Yahoo!、MSN、Livedoorの三社の路線検索機能を使って、12月26日・酒田駅18:00出発で東京行きを検索すると、三社とも、事故で不通になっている羽越線経由で「いなほ14号」を選択している。実際には大きな問題は起きないとは思うが、その程度の機能なのかと、少し残念に思える。