人間バーターゲームはチェックメイトか?

2004-09-03 14:46:17 | ボビー・フィッシャー救出
c77b2113.jpgジェンキンス氏(以下J氏)の帰属問題は徐々に進展している。マスコミの予測では軍法会議で不名誉除隊となり一件落着となるということだ。補足すると、それだけでは日本滞留ができないため、妻との婚姻関係により特別滞留許可を与え、数年後に日本に帰化ということになるのではないか。米国へ渡航するのは日本のパスポートによってではないだろうか。しかし、きょうの問題はJ氏ではない。

現在、茨城の入管収容所にチェス元世界チャンピオン、ボビー・フィッシャー氏61才(以下F氏)が収監されている。7月13日にマニラへ出国しようとしたところ、パスポートの有効期限切れで収容された。驚いたのはF氏であろう。手元のパスポートは有効期限は2007年1月25日までとなっていたからである。

そしてF氏収監の5日後の7月18日にジャカルタからJ氏が日本に到着し、二人の帰属のあいまいな米国人が日本に並存する状態となったのである。米国での知名度は圧倒的にF氏である。冷戦時代に旧ソ連からチャンピオンの座を奪い、その後世界の王座に君臨を続けていた天才プレーヤー。しかし、徐々に反ユダヤの立場を強めて、反米アジテーターに変身(彼自身はユダヤ系であり、ユダヤ社会による金融界やマスコミ支配に反対している)。大統領令を無視して、1992年にユーゴスラビアでのチェスマッチに出場し大統領令違反の罪に問われている。その後、世界各地を転々とし、フィリピンにしばらく滞在後、数年前から日本に在住していた。

1994年には現在のパスポートに継続していることからみれば、米国ではあまりたいした問題と思われていなかったようである。9.11の後、F氏が事件について、「当然の報い」という主旨の発言を各国のマスコミで続けていることに、現ブッシュがキレたのだろう。92年当時の大統領もブッシュである。

有効期限のあるパスポートが本人の知らないうちになぜ無効になったかというと、昨年の12月にフィリピンの米国大使館に御達しがでていたということである。何かの誤認があったのだろうか?いずれにしても6月の段階でパスポートは失効し、出国時にコンピューターのフィルターにかかってしまったのだろう。

話が複雑になるのはここからである。ニューズウィーク誌は直ぐにJ氏とF氏を結びつけ、人間バーター報道をはじめる。また日本人女性との婚姻届が提出された(未受理)。米国籍放棄と難民認定申請が求められるが難民認定は却下される。その他にもいくつかの提訴の山ができあがったのが今の状況である。
タイムテーブルをなぞれば、米国が彼を捕まえようと考えたのは、パスポートを延長した後、9.11以降のことと推測できる。クリントン時代に、前政権の大統領令違反者を捕まえたりしない。また、いくらヒドいスピーチでも、有罪にはできないだろう。
また現実的に米国へ連れ帰っても、国内で反ユダヤキャンペーンをするに違いない男である。またいかにも人間バーターと指摘される時期である。今後どうなるのだろう。

ところで、私は、将棋はそこそこ有段であるが、チェスはレーティングで1500点から1600点程度。初段というところである。将棋の場合、少し有利になると、じっと相手の反撃を待つという防御的な作戦が常道なのだが、チェスの場合はドローになる確率が高く、負けているほうは何とかドローに持ち込もうとする。そのため、少し有利になった場合、これでもかと攻撃にでるのである。F氏の過激な性格もこういうゲーム特有の性格からきているのかもしれない。

しかし、チェスはドローゲームに持ち込めることは多いが、今回の人間バーターゲームでは、どうもチェックメイトに近づいているように感じる。