東アジアでは期待できないFTA効果

2004-07-06 21:37:48 | MBAの意見
オーストラリアとタイのFTA(自由貿易協定)が調印された。FTAに熱心な国とそうでもない国があり、メキシコ、チリ、タイ、オーストラリアなどは積極派であり、日本は消極派である。むしろWTO重視派に近い。しかし、世界的には、EU、NAFTAなど域内自由化の流れが強く、日本国内にも韓国、タイ、中国などとのFTAを推進すべきとの論が強い。

現在、FTAを締結したのはシンガポールとの間だけである。しかし、二国間の自由貿易は国際経済学の常識では「比較優位財の生産に特化」してゆくと言われるのであるが、東アジア域内の各国は日本をトップランナーとした雁行型発展を遂げているのであり、比較的相似型の経済構造にある。例えば日韓を見ても、得意分野(自動車・IT)や不得意分野(農業)は、共通の構造である。言いかえれば過去の日本とFTAを締結するようになり、ダイナミックな効果は期待できないといえる。

また東アジア各国は歴史的に隣国との戦争を最近まで続けており、隣国の得意分野と比べ、単純に自国産業の不得意分野を切り捨てる国民的合意は得られないのである。