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ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

プロクラッチ②

2006年03月28日 | クラッチ

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さてこれは何でしょう?

スズキグース350のシリンダーです。

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ハウジングからベアリングを抜く際に、アルミニウムのハウジングをうまく保持してやらないと変形してしまいます。特にスチールインサートを抜く時に部品を壊していますのでナーバス!になっていますので・・・・。

シリンダーの内径にハウジングがピッタリですね。廃部品にもこういった使い道がありました。

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こうして安心してプレスで押せます。

しかし・・・・。

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ベアリングは無事にぬけましたが、用意しておいたベアリングとは違いますね。

*スチールインサートを抜く時は、アウターレース側が保持されて、インナーレースに圧入してあるインサートを抜くのでベアリングボールとレース面に圧力と衝撃を掛けてしまいます。これは構造上致し方のないことです。ですから、こうした作業工程上ではベアリングも必ず交換します。

まだ作業に入る前にベアリングの印字を確認したところ、6207RSとあったので近くの工具屋から買ってきました。普通の単列ベアリングですから1500円くらいで、この段階では余り疑問もなかったのですが・・・・。

JAF?

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厚みが違うのはインサートを抜いた時点で判明していたのですが、ハウジングの奥の方に隠れていた面を見ると、シールの印字と違う記号がありました。

この5207というベアリングは複列であり、カタログをみるとシール付きは存在していなく、現物では違う記号のシールが付いているので特注品?こりゃプリモから買うしかないのか?

重心位置がずれているシェルを支えるのに複列ベアリングを使うとは”プリモも中々やるな”。JAFとは聞いたことがないメーカーですが。

捨てる神あれば拾う神あり

これはまたプリモからベアリングを買うのにシゲちゃんを急がせばならないと思っていたけれど、ダメもとで工具屋に調べてもらってみたら、ナント 2千数百円であるとのこと。

ということで、この続きはベアリングが入荷してからでございます。


プロクラッチ

2006年03月27日 | クラッチ

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プリモのプロクラッチにショベル時代の純正のクラッチシェルという組み合わせです。

ショベル時代の乾式クラッチは、構造上どうしてもクラッチシェルも動いてしまうので切れが悪いケースも多く見られ、その動きをシャットアウトしたプロクラッチにはメリットがあります。

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修理に持ち込まれたセットはスチールインサート(プリモの呼び名)のテーパー勘合部の具合がヨロシクない。

矢印が示すようにピッタリ嵌らず隙間があります。

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スチールインサートの嵌る相手は、写真のメインシャフトの先端です。青ラインが示すようにテーパー形状になっており、赤矢印のキーと一緒に仕事をして回転力をシャフトに伝えます。

つまり雌と雄の片一方でも状態が悪いとピッタリ嵌らず、キーの負担が大きくなりトラブル の原因になります。

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新しいスチールインサートでは、ご覧のようにピッタリです。

穴の痛んだ今までのスチールインサートを「修正できないか」というリクエストもあったのですが、何れにせよインサートを単体の状態にしなければなりません。インサートはフランジをアルミハブにボルトで固定してあり、シャフト部分はベアリングに圧入されているので、まずベアリングから抜き出さなければ始まりませんね。

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写真はハブ、シェル、リテーナーですが、ハブには引っ掛かる部分がないので、シェルに組み込んだ状態で作業を行う他は手がないようです。そうなるとリテーナーとその固定スクリューに物凄く負担が掛かりますね。

アアッ!!

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各部に不安がありますけれど、とりあえずプレスで押してみると・・・・・。

リテーナーの変形に気をつけながら・・・・。

ビシッ

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変な音がしたので見てみると・・・・・・

クラッチシェルが変形してしまいました。

こうなったら、シェルは使い物にならないので、更に押すと・・・・・・

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溶接部分が割れて、分解ですね。

「・・・・・・・・・・・!」

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衝撃荷重のほうが効くかなと、叩いて見ると。

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ココまで抜けたのですが、これ以上もう動かない・・・・・。

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旋盤で削り取る事にしました。

キー溝にバイトが引っ掛かるとチャックの固定が外れ、外れた部品が飛ぶ事があるので非常に危険です。こうした場合は時間をかけて0.2mmくらいづつ削っていくしか方法はありません。

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奮闘する事4時間でやっと外れました。

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ベアリング挿入部を測ってみると35.02mm。

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新しいインサートは35.01mm。

この1/100mmの差は公差なのか、それともキツイので設計変更したのか分りませんが、良く考えてみるとインサートとメインシャフトのガタはインサートのほうが広がってしまっていた可能性があります。その”広がり”が外径にまで及んで抜けなかったのか?

反省  今回はインサートを”プリモにクレーム”しようという魂胆があったので、なるべく現状を維持して分解しようと思ったのが、余計な時間を費やしたりシェルを壊してしまった元凶でした。インサートの突き出し部分の外形を削っておけば、もっとスムースに事が運んだでしょう。


クラッチスラストベアリング

2005年11月21日 | クラッチ
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正確にはクラッチプッシュロッド スラストベアリングというべきかもしれません。
写真の右のまわりがギザギザのをオイルスリンガーと言います。
プッシュロッドの先端にはベアリングが付いているはずですが、外した状態ではベアリングが無くなっていました。
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右側がオイルスリンガーの本来の形です。
左の元々付いていたヤツの中心の穴が丸くなっているのがお分かりですか?
新品はプッシュロッドと一緒に回転するように穴が丸くありません。
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使用済みのスラストワッシャーですね。
ベアリングが壊れて接する面が抉られてしまっています。
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上の段が古いベアリングで、下の段が新しいものです。
本来はスラストワッシャーの間に、このような小さいスラストベアリングが入っていて、プッシュロッドの回転をリリースフィンガーに接するスラストワッシャーを回転させないようにするのです。

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新しいベアリングをプッシュロッドに組み付けた状態です。
オイルスリンガーの役目は、ベアリングの位置より低いレベルのオイルを掻き揚げて、ベアリングを潤滑させる大切なものです。このベアリングは1976年頃から採用されて現在も使われています。しかし現在のモデルではこのベアリングのトラブルを余り聞かない理由を考えるとオイルスリンガーの改良にもあるかもしれません。それはプッシュロッドが分割されていて一番右のピースとスリンガーが一体になっているので今回のようには壊れにくくなっています。スリンガーが壊れて給油されないとベアリングが小さいものだけにすぐに磨耗してしまうのでしょう。
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この釣鐘みたいなカタチのものは1936年から1975年の初期まで使われていたスラストベアリングです。
容量が大きいだけに丈夫です。同じ形の社外品もありますが評判はあまり良くないですね。
オイルスリンガーが壊れるとベアリングも逝ってしまうと言いましたが、エボ以降のクラッチはダイアフラムスプリングになりフリクションプレートの伝達が丸い棒からスプラインのようになったり、アウターシェルがベアリングで固定され切れがよくなり、ショベル以前のクラッチよりプッシュロッドの遊びを多くとれるようになり、常にベアリングに負荷が掛からなくなったのも壊れにくくなった理由かもしれません。


クラッチセンターナット

2005年11月10日 | クラッチ
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Tachiさんからのリクエストで、クラッチセンターナットのロックワッシャーがうまく付かないとのことに、お答えします。ワタシも昔はこれにてこずったことがありますが解決方法を見つけてからは快適?に作業を進めることができます。是非お役に立ててください。IMG_0221

シャフト径に対してワッシャーの内径が大きくて収まりが悪いですね。この時代のハーレーにはこのような部分が他にもいくつかあります。ミッションやオイルタンクのドレンボルトもネジの部分が大きくてワッシャーの収まるところが細いので、ガスケットは専用でないとずれてしまいます。

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クラッチハブのキー溝にロックワッシャーのタブが入るのですが、この写真の向きだとワッシャーが下にずれると溝からはずれて回り止めの用をなしません。

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そこでワタシはロックワッシャーの裏側にグリースを塗っておきます。グリースの量は最小限が良いですね。グリースは潤滑だけでなくこのような使い方もあります。威張るほどのことではないですけど。

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そうするとご覧のようにずれません。spicture1_x

更にナットのロックワッシャーに接する面の角を削り落としておきます。こうすることによりワッシャーに引っ掛かることなく締め付ける事ができます。ネジにロックタイトを使えばオイルがねじ山を伝わってクラッチにまわる事も防げるし、もちろん緩む心配もなくなります。ロックタイトを使えばワッシャーは不用? ご指摘はごもっともですが、省略すると忘れたみたいでイヤなんです。


ズサンな仕事に喝!!

2005年10月04日 | クラッチ
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長年こうした仕事をしていると、やるせないことに突き当たるものです。
ワタシは何時も自分でできる最善の仕事を心がけていますが、同業者の仕業と思われるズサンな仕事を目の当たりに見ると、ホントにもう・・・・・・・・・です。


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アーリーショベルにオープンプライマリーです。
見たところでは、まだほとんど使い込まれた形跡はないですね。
しかし、クラッチハブはグラグラです。ハブナットの回り止めワッシャーはしっかりしているので、ちゃんと締めたのが何かの原因で緩んだわけではないようです。

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ハブナットはロックタブを外すと手で回ってしまったので、まるで締められていなかったようでした。
このメインシャフトサポートは、クラッチハブの裏側に擦られてキズだらけです。
メインシャフトのテーパー部はクラッチハブが密着しなければならないのですがこの様子では浮いた状態だったのでしょう。
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これは、メインシャフトとクラッチハブの勘合部に入る、回り止めの「スピールキー」です。
左側は今回のもの、右側は新品です。
4速ミッションのクラッチハブは、このようにキーとテーパー勘合の両方でハブとシャフトの固定を行っています。
ところが、コイツはナットを締めていないものですから、キーだけで動力伝達を行っていたのでキーは壊れる寸前でした。

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結論
どうして、こんな仕事をしてあったか判明しました。
’69年まではプライマリーにTIN COVER(ブリキのカバー)が使っていたので、メインシャフトが少し短いのです。
一応、メインシャフトサポートは’65年から使えると書いてありますが、シャフトが短いためにクラッチハブがサポートに干渉してしまうのです。つまりナットを締めるとメインシャフトは回らなくなってしまいます。
「驚くべき対処方法」としてナットを締め付けないということでした。
ワタシは写真のように、サポートの当たりそうなところを2mm程度削ってみたら、解決です。

幸か不幸か(涙)このアーリーショベルは車体回りもこんなレベルだったので、まともに乗れないので惨事を免れたという、なんと情けないものです。
どこのショップがこんなことをやったかはわかっていますが、ここで糾弾しても解決にはならないのでショップ名も明らかにしませんけれど、「こんなのを二百数十万も出して買わないでください」としか言い様がないですね。