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ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

フライホイールエンドプレー

2007年06月11日 | ハーレーの構造

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純正部品番号”9028”のこのベアリングセットは、ショベルヘッド・エボ・TCと1969年から2002年までの長い間に渡って使われていました。

テーパーベアリングを2個対に使って、中間のスペーサーでエンドプレーを設けるのはホイーイルハブと同じ構造です。

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ベアリングはスプロケットシャフトに圧入されるので、エンドプレーを確認したり調整するためにシュミレーターを使います。

市販のものもありますが、青矢印はジャンクのフライホイールから外したスプロケットシャフトの外径を5/100mm程度研磨して、ベアリングをユルユルにして使いました。

黄色矢印はベアリングの間に入るスペーサーで、厚みの異なるものが用意されていますから、交換することによりエンドプレーを調整します。

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このように仮組みしてダイアルゲージで測定します。

ダイアルゲージのマグネットベースは、当然アルミニウムのクランクケースには直接取り付けられませんから、プライマリーケースの取り付け穴を利用して鉄のフラットバーをボルト止めします。

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サービスマニュアルの指定値は1/1000~4/1000インチ、つまり0.0254mm~0.1016mmです。

この場合は5/100mmです。

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ショベルエンジン 最後期

2006年05月28日 | ハーレーの構造

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ショベルエンジンも最後の2年くらいには、それまでとダイブ変った部分があります。全部同じだと思っているとマゴツキますので、ココでいくつか紹介したいと思います。

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クランクケースとプライマリーハウジングの間のOリングですが、’82年を境にエボエンジンと同じに変更になっています。

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矢印は今まで使っていた古いモノ、一番下が'81年までの細いOリングです。コレを間違えるとオイル洩れが止まりません。逆の間違いはプライマリーハウジングを壊します

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スターターモーターのギアハウジングが、やはり'82年を境に変更になっています。

上の写真が'82年以降のもので、プライマリーハウジングの形状も違いますね。

ギアハウジングが一体のモノから2ピースになり、今までソックリ外せたものが出来なくなりました。

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スターターモーターを外すのには、オイルタンクの固定を全部外して、写真のようにタイラップで吊っておくと良いでしょう。

オイルタンクの上に付いていたオイルフィルターもカートリッジになったので、あのカッコいいキャップが無くなってしまい、タダのホースフィッティングに変りました。

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スターターモーター本体を固定している2本の長いボルトを外します。

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次に矢印の3本のボルトも外します。

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ギアが見えますが、固定されていないのでスグ外す事もできます。

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この2本のボルトがあるお陰でソックリ外せないのですね。強度的には勿論あったほうが良いのですが・・・。

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ギアハウジングを外すと、ようやくプライマリーハウジングも外せる段階になります。

両矢印で示すようにベルトとのクリアランスは、これしかありませんので、短いリアショックにする場合は要注意です。

今日は昨日に続き、雨、雨です。天気予報ではお昼から晴れるというのに、未だ太陽が顔を出す気配はありません。

土日のイベントやミーティングの参加者や主催者には誠に気の毒ですね。まるで梅雨みたいで・・・・。

温暖化の影響で、海水蒸発量が多いのでしょうか?大雪の原因もそうであると言いますからね。

フロンの規制でオゾン層の修復は進んでいるようで、オゾンホールはじきに無くなるようです。膨大な炭酸ガス排出量も一人一人の努力から?


ブリーザーバルブ

2005年11月03日 | ハーレーの構造

TCエンジンでは廃止されてしまったブリーザーバルブは、ナックルからエボまで機能はそれぞれのタイプのエンジンでは多少異なりますが基本的には同じ構造です。P1010057kase

これはショベルエンジンクランケケース右側のギアカバー内部の写真です。

カムシャフトのギアはクランクのギアの2倍の大きさですから回転は半分になります。ブリーザーバルブはクランクと同じ回転ですね。

この部屋は完全ではありませんけれど、クランク室と分離されています。

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普段は隠れてしまう裏側の写真ですが、これはギアカバーという無粋な名前が付いていますけれど、いくつかの大切な役目をしています。 

クランクの右端の支持とオイルライン、カムシャフトの支持、点火系のコンポーネントの取り付け部そしてブリーザー室の一部と多彩な機能なんですね。

赤い矢印がブリーザー圧力の流れです。ブリーザーガスオイル飛沫になって混じっていますので、あちこち複雑な経路をたどってガスオイル分離させなければなりません。

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ブリーザーバルブが入っている部屋にはこのように開口部があり、バルブが回転してそれぞれの機能を果たします。

                       

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ブリーザーバルブにもこのように開口部が設けられています。エボ以降は材質はプラスティックに変更されています。ショベル以前はこのようにスチールなのでマイレージが多いとクランクケース側がキズキズだらけになってしまいますが、社外品ではバルブのオーバーサイズが設定されておりケース側を研磨すると復活させる事ができます。

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これはS&S製のブリーザーバルブです。

矢印の穴が長くなっていて、ブリーザー室のオイルを回収する時間を長くして、ブリーザーからのオイル流出を改善できます。

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これはエボのブリーザーバルブです。ご覧のようにプラスティック製ですね。プライマリーのオイルを回収する仕事から解放されたので網目が粗くなっています。

稀な例かもしれませんが、ヒドいオーバーヒートにより一部が溶けてしまって、破片がギアに噛み込んでしまいご覧のように欠けてしまいました。ハードな乗り方をする人は金属製に取り替えたほうが良いかも。

*ここからピストンの動きとブリーザーバルブの関連を説明します。

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ピストンは上死点を過ぎ下がりつつありますので、クランク室の圧力は上がろうとしています。

クランクケース開口部Aブリーザーバルブ開口部 大が合致していますので、クランク室の圧力がオイルの飛沫とともに流入してカム周辺を潤滑します。

圧力はブリーザーガスとしてギアカバーのなかを通過しブリーザー出口へ向かいます。

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後ろピストンは下死点に到達しブリーザーバルブ開口部 大クランクケース開口部Aを過ぎ去りクランク室遮断されます。

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ブリーザーは遮断されピストンが下死点を通過して上昇すると、クランク室は負圧になりますね。

クランクケース開口部Bブリーザーバルブ開口部 小が合致するとブリーザー室に溜まったオイルはブリーザーバルブのなかに吸い込まれ回収されます。

クランクケース開口部Cブリーザーバルブ開口部 大も合致しているのでプライマリケースのなかのオイルも吸い込み回収します。

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ピストンが上死点に近づくとどの開口部も塞がってしまい、機能は一時休止になります。

ワタシはこのような機能のブリーザーシステムを他のエンジンにおいては見たことがありません。ハーレー独自のメカニズムと考えられます。

不思議なのは電気スターターが装備されるまえは、プライマリーカバーはタダのカバーでしかなくティンカバーとも呼ばれプライマリーチェーンを潤滑したオイルは垂れ流しでした。ちなみにティンはTinでチンじゃありません。映画のTinCupと同じでブリキなんでしょうね。ピストンの上昇によるクランク室の負圧を利用してプライマリーケースのオイルを回収するアイディアは、たまたまあったブリーザーバルブを利用しただけなのか、それとも20年前から予想していたことなのか分かりませんね。

プライマリケースからオイルを回収するのはショベルまでで、これはセルモーターのリングギアなどの破片を吸い込んでしまいトラブルの原因になってしまいました。理由はそれだけではないにしろエボになってからはプライマリーケースはご存知のように独立したオイルバス式になっています。