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ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

ドライブプーリー

2005年11月21日 | ドライブ系

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ターミー君から壊れたドライブプーリーの写真を送ってもらったので、これをネタに壊れたホントウの理由を考察してみます。
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ターミーからスポーツスターが動かなくなったとの一報を聞いて、まず可能性を考えたのはこのプーリーのスプラインでしたがやはりそうでした。何故かと言うと、過去に2例ほど見ているからです。

ナットは回っていないが緩む?
写真の面はミッション側ですが、この裏にはプーリーを止めるナットがあり、ナットの回り止めは頑丈なプレートを2本のスクリューで固定するものですからナットは緩むようには回りません。しかし、私が聞いた他の証言ではナットは緩んでいたとのことが多いです。これは矢印のメインシャフトのスペーサーを接している面が磨耗?しています。
これはワタシが「ネジのメカニズム」で説明しているように「被締結物が座屈するとネジが回らなくても緩む」ことですね。

プーリーがシャフトと空回りしたから磨耗した?
磨耗した表面は空回りした痕跡はありますが、。ターミーが(動かなくなって)変だなと思い1時間もから回りさせていれば磨耗しているかもしれませんが、これ程磨耗するとは思えないので却下ですね。
スプラインの強度は?
一般的なスプロケットの相手はチェーンなので焼入れの入ったスチールです。200馬力オーバーでもこのような事態は見たことがありませんから、プーリーはスプロケットに比べシャフトとの勘合部の幅は広いしスプラインの溝数は倍以上ですので、この辺の構造的な設計強度は充分でとても総なめになることはないように考えられます。

プーリーの材質は?
手元にはスポーツスターのプーリーは無いので断定はできませんが、ビッグツインのプーリーを見てみるとベルトと噛みあう外周部分の歯は機械加工された感じではありません。一見鋳鉄に見えるコレはもしかしたら焼結成型かもしれません。
焼結成型とは、粉末の材料を型にいれ溶解温度より低い温度下で圧力をかけ文字通り焼き固めるのですが、鋳物より仕上がり精度が高く2次加工が省略できます。つまりプーリーの歯程度なら型からでたままでもOKなんですね。強度も結構なもので日本製のバイクのエンジンのロッカーアームにも採用された例はあったと思います。最近の日本の精密技術は思った以上に高度化されてプラスティックの射出成型の金型にも焼結成型があるようです。
話は横道にそれましたが、焼入れなどの硬化処理がされているものはヤスリを掛ける事ができません、滑ってしまって削る事ができないのでそう判断できますが、手元にあるビッグツインのプーリーは簡単にヤスリがけできますので、特別な硬化処理はしてないと言えます。

結論
以上の事柄を鑑みると、プーリーの形状からして2次加工などはとてもコストアップしてしまうので、一番都合のよい焼結成型を採用したのにちがいありません。焼きいれのできない焼結成型だからスプラインはあの形状になったのでしょう。しかし硬いスペーサーと接する面が負けて座屈してしまい、シャフトとプーリーのあいだに遊びがでてしまい衝撃荷重が発生して、このような結果になったのでしょうね。

ここのところニュースを騒がせている人為的なビルの強度不足のようなことは論外にしても、バイクのちょっとした部品も理想的に事は運ばないもので、このプーリーの破損率はそう高いものではないでしょうけれど、焼結成型の製造方法では管理のしかたでは強度の充分ではない製品があるかもしれません。もし設計に欠陥があればアメリカ国内にはターミー以上の質量を有する人間はたくさんいるので多発しているでしょう。でも日本のストップ&ゴーの頻度は世界一かな?

予防
やはり、点検するしかないのでしょうね。ナットの緩みが生じていれば座屈しているのは間違いないでしょうし、外してスプラインの山が崩れかけていたり、シャフトとの遊びが大きかったら交換です。
異常がなければ、スプラインのところに勘合部に使うロックタイトを塗布しておけば多少は良いでしょう。


コンペンセイティング スプロケット

2005年10月15日 | ドライブ系
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コンペイセイティングとは辞書によると「補償する」という意味です。
この他のバイクでは決してみられない機構について考えてみたいと思います。
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これはプライマリードライブを現車とおりに並べてみました。
左端の丸いのがコンペンセイティング スプロケットのユニットです。
チェーンによるプライマリードライブは、基本的には今の新車も同様な構造です。現在のバイクのほとんどはエンジンとトランスミッションはコンパクトな一体構造になっており、クランク軸とトランスミッションはギアでつながっていて、まずチェーンは使われていません。ハーレーは外観のスタイルだけがクラシカルなのではなく、中身も古式豊かな形式を秘めているわけです。
このような大袈裟な部品がゴロゴロ動いているので、エンジンだけでなく伝達装置にも慣性は大きいので、ギアチェンジなどの操作も性急にやるのではなく「ユッタリ」と行うのがよろしいでしょうね。
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ユニットをバラバラにして並べてみました。
こうしてみてもバイクの部品というよりも、何かの大きな機械の部品のような感がありますね。
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カバーの中にはご覧のようにスプリングが入っています。
このスプリングはすごく硬くて手で押してもビクともしません。
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スプリングは真ん中のカップを介してスライディングカムを押します。
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スライディングカムはスプリングに押されて山と谷は、スプロケット側の山と谷に密着されたようになっています。
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大きな力が掛かると、このようにカムはスプリングの押し付ける力に打ち勝って、回転方向にずれてショックを吸収します。
カム山の形は非対称になっていて逆駆動力(エンジンブレーキ時)の方向は急勾配になっていますね。
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エンジンの駆動力は全部このカムに掛かっているので、擦れあう面はこのようにピカピカになっていますね。
カバー内のスプリングがへたったりすると、アイドリング時などのトルク変動で無用に動いてしまいゴトゴト異音がでることもありますね。

クッシュドライブ
通常のバイクの駆動輪スプロケットハブにクッシュドライブと呼ばれるダンパーが組み込まれています。
回転方向のショックをゴム等で和らげて、エンジンや駆動系の構成部品を衝撃による故障や破損から守る大事な役目を担っているのです。
ハーレーにおいては04以降のスポーツスターには装備されていますが、他のモデルでは現在過去でもハブダンパーは付いておりません。
クッシュドライブはイギリスでの発明であるとワタシは記憶していますが、何時頃なのかは分かりません。ご存知の方がいらっしゃれば是非教えていただきたいものです。

ハーレーでは
ハーレーには’55年頃からコンペンセイターが装備されているようです。この頃から世界的にバイクは大型化され馬力も大きくなって、駆動系のトラブルの解決や快適性の向上の必要性から上記クッシュドライブの開発が行われたのではないかと思われますが、ハーレーの後輪にはスプロケットの内側にブレーキドラムがあり、クッシュドライブのスペースが無い!!
後輪ブレーキをスプロケットと反対側に移すのはデイスクブレーキになってからなので、コンペイセイティングスプロケットを採用したほうが手っとり早かったのかもしれません。それに、当時の技術ではハーレーの車重に対抗できるゴムは信頼性が乏しかったのかもしれません。それで、クッシュドライブの機能を「補償」したのかな?
いずれにしても40年の暦史をもつコンペンセイティングスプロケットは、多少形を変えても現在も使われている優れたものだと思います。


ビッグツインプライマリードライブ

2005年10月13日 | ドライブ系
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これは79年ころのショベルビッグツインのプライマリードライブです。
アルミのケースは’70年からでそれ以前はブリキのカバー「ティンカバー」ですね。
ビッグツインのプライマリードライブにも暦史があり進化はしているのですが、基本的には空冷エンジンはチェーンをずっと使っています。
スゴク大まかに説明すると、ティンカバーはブリーザーの出口を兼ねたチェーンオイル(エンジンオイル)が飛び散るのや、足を巻き込みを防止するようなもので、あふれたオイルは出てくるのにまかせていました。
アルミのカバーになってからはシール性も高まり、カムシャフトの隣に位置するブリーザーバルブを利用して給油したあとのオイルを回収する仕組みが採用されましたね。
しかし、オイルを回収するのがクセモノで、セルモーターで回すクラッチシェルのリングギアの破片がオイルポンプに紛れ込み、オイルポンプが故障した例もあります。ブリーザーバルブにはネットがありそんな事はあり得ないとおもうのですが。
それが改良された理由か定かではありませんが、オイル循環方式は廃止されます。
混在しているので’82年頃からとしか言えませんが、現在と同じオイルを溜めたオイルバス方式になりクラッチも湿式になります。
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写真の中央がチェーンの給油ノズルです。
この裏側にオイルポンプから直接細いホースでオイルがやってきます。
右下はチェーンのスライダーで、これを上下することにより張りを調整します。スライダーの構造は現在のモデルも同じですね。
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ここはミッションのメインシャフトが貫通して、シャフトを支持するベアリングが見えます。
この部品は’78年までの1200のものと同じで、80キュービックインチになっても1~2年使われたのですが、華奢なためにベアリングの回りが変形したり、クラックが入ったりですぐに強化されたものに変わりました。
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矢印の示すところがクラックです。
これがオイル洩れの原因にもなります。クラックの原因は強度不足にもありますが取り付けの際にエンジンとミッションのアライメント(整列)の狂いにもあるのではないかと思っています。
このクラックは溶接で修理するとベアリングの入る穴が変形してしまい真円でなくなってしまうので、ベアリングがスムーズに回らなくなってしまいます。
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これは社外品の部品ですが、チャンと補強され肉が厚くなっていますので安心して使えます。