三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「徴用問題の解決案は「屈辱」 市民社会の反発続く=韓国」

2023年01月18日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「聯合ニュース」 2023.01.18 17:07
■徴用問題の解決案は「屈辱」 市民社会の反発続く=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が徴用訴訟問題の解決策として韓国の財団が日本の被告企業の賠償支払いを肩代わりする案を示した中、同案に対する市民社会の反発が続いている。

【写真】外交部前で徴用問題の解決案に抗議する市民団体メンバーら=18日、ソウル(聯合ニュース)

 市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」などは18日午後、ソウルの日本大使館付近で旧日本軍の慰安婦問題の解決を求める定例集会「水曜集会」を開いた。集会で正義連の李娜栄(イ・ナヨン)理事長は政府が示した徴用問題の解決案について、「解決案はすでに失敗した」として、「被害者を無知で弱い施しの対象、無視しても構わない存在として扱った」と批判。「被害者の尊厳と名誉を踏みにじる韓国政府の拙速、屈辱的な解決案を強く糾弾する」と撤回を求めた。
 集会の参加者約100人は外交部に向けて行進し、同部に抗議書を提出した。


「中央日報日本語版」 2023.01.18 10:18
■強制徴用被害者「日本がひざまずいて謝罪する前まではどんな金も受け取らない」

【写真】2021年三菱重工朝鮮女子勤労挺身隊被害者の梁錦徳さん(左)と名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会の高橋信共同代表が東京の三菱本社に要請書を伝達するために入っている。

 日帝強制徴用賠償判決金を日帝強制動員被害者支援財団が肩代わりするという韓国政府案を強制動員被害者である梁錦徳(ヤン・クムドク)さんが拒否した。
 梁さんは17日、韓国政府案を糾弾する光州(クァンジュ)地域60の市民団体の記者会見に参加し、「あす死ぬとしても韓国が払う汚い金は受け取らない。日本から金を受け取るとしても日本がひざまずいて謝罪するまではどんな金も受け取らない。私が望むのは日本の謝罪」と強調した。
 続けて「良心ある韓国市民が一致協力し日本に負けず韓国を守って行こう」と話した。
 この日記者会見を行った光州の市民団体は「韓国政府は加害者である日本政府と三菱重工など日本の被告企業の責任を完全に免じ、その賠償責任を被害国の韓国にかぶせようとしている。日帝戦犯企業に免責させる売国・屈辱外交を中断せよ」と促した。
 一方、韓国政府は12日に公開討論会を開き、2018年の大法院(最高裁)の賠償確定判決を受けた被害者が第三者である日帝強制動員被害者支援財団の財源で判決金を代わりに弁済を受ける案を提示した。


「聯合ニュース」 2023.01.17 21:01
■徴用問題 「日本の呼応なければ協議の必要ない」=韓国次官
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官は17日の国会外交統一委員会で、日本による植民地時代の韓国人徴用被害者への賠償問題を巡り、韓国政府が提示する解決策に日本側の参加が盛り込まれない懸念があるとの野党議員の指摘について、「日本からの呼応措置が何もなければ(両国間で)協議する必要がない」とし、解決策模索のために日本側の謝罪など「誠意ある呼応」が必要との認識を改めて示した。

【写真】国会外交統一委員会で答弁する趙賢東氏(左)=17日、ソウル(聯合ニュース)

 韓日は16日、徴用訴訟問題の解決策を模索するため東京で局長級協議を行ったものの、日本側の誠意ある呼応を巡る見解に隔たりがあったようだ。韓国の外交部当局者によると、韓国側は日本側の誠意ある呼応を巡り、「謝罪と寄与」を強調したという。
 趙氏は韓国政府傘下の財団が徴用訴訟の被告である日本企業の賠償金を肩代わりする案を巡り、被告企業や徴用に関連した企業が拠出する可能性があるかについては、「それも協議中の事案」と答弁した。
 国内で広く受け入れられる解決策を提示しなければ、日本側との交渉が成功したとは言えないとする野党議員の指摘に対しては、「われわれも日本側にその話を続けている」と説明した。
 賠償金を第三者が肩代わりする場合、債権者(被害者)の同意が必要かどうかについては、「法律だけで判断すれば被害者の同意は必ずしも必要ではない部分がある」と述べた。
 外交部と徴用被害者の意思疎通が不足しているとの批判に対しては、「官民協議会を通じてのみ意見を集めているわけではない」として、「これとは別に被害者側弁護人、被害者側を代理する市民団体らと意思疎通もしているという点を明確に申し上げる」と強調した。
 一方、日本が世界文化遺産への登録を目指す「佐渡島の金山」(新潟県)について、朝鮮半島出身者が強制労働させられたのは明確との野党議員の指摘に対し、趙氏はこれに同意したうえで、日本が推薦書を再提出する場合は対応する必要があるとの考えを示した。


「聯合ニュース」 2023.01.17 18:43
■韓日・日韓協力委が合同総会 関係強化で一致
【ソウル聯合ニュース】韓国と日本の政財界人でつくる韓日・日韓協力委員会の合同総会が17日、ソウル市内のホテルで開かれた。

【写真】記念撮影に臨む総会の出席者ら=17日、ソウル(聯合ニュース)

 両委員会は総会で採択した共同声明で、政治・経済・社会文化の分野にわたって両国の未来のための協力について真摯(しんし)に議論し、今後両国間の協力をさらに強化していくことで一致したと表明した。また、安保秩序の大転換期に直面した現在は両国が今までよりさらに大きな努力をすることが重要だとし、相互協力だけでなく国際通商秩序を再構築していかなければならないと指摘した。
 両委員会は歴史問題を巡り、韓日文化交流基金と日韓文化交流基金を中心とした共同研究を通じて解決することを目指し、政治問題にしてはならないとの意見も提出されたと明らかにした。
 両委員会は合同総会の成果をもとに、関係強化に向け各政府に提言する方針だ。
 次回の合同総会は今年10月に東京で開くことで合意した。
 韓日・日韓協力委員会は民間交流を通じて親善友好・相互理解を図る目的で、各界指導者をメンバーとして1969年に設立された。


「聯合ニュース」 2023.01.17 16:45
■徴用被害者「韓国の金は受け取らない」 財団肩代わり案に憤り
【光州聯合ニュース】韓国の外交部が12日に開いた公開討論会で徴用訴訟問題の解決策として韓国政府傘下の財団が被告の日本企業の賠償支払いを肩代わりする案を示したことに対し、原告の徴用被害者が17日、憤りをあらわにした。

【写真】記者会見で発言する梁さん=17日、光州(聯合ニュース)

 韓国南西部の光州で政府の解決策を非難する60の市民社会団体が開いた記者会見で、原告の梁錦徳(ヤン・クムドク)さんは「あした死ぬとしても、韓国がくれる汚い金は受け取らない」と述べた。「日本から金をもらうとしても、日本がひざまずいて謝罪するまではどんな金も受け取らない」とし、「私が望むのは日本の謝罪だ」と強調した。
 地元の市民社会団体も「政府は加害者である日本政府と三菱重工業など日本の被告企業の責任を完全に免除してやり、その賠償責任を被害国である韓国になすりつけようとしている」とし、「戦犯企業を免責する売国・屈辱外交をやめよ」と訴えた。


「聯合ニュース」 2023.01.17 16:03
■徴用問題 係争中の訴訟も財団肩代わり可能=韓国外交部
【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部が12日に開いた公開討論会で、徴用訴訟問題の解決策として韓国の財団が日本企業の賠償支払いを肩代わりする案を示した中、同部は17日、係争中の訴訟も同様の方法で賠償金を支払えるとの立場を明らかにした。

【写真】徴用問題を巡り、12日に国会議員会館で開かれた公開討論会=(聯合ニュース)

 外交部は国会外交統一委員会に提出した資料で、「支払いの主体は財団で検討、支払いの範囲は確定判決が出た3件を優先的に推進し、係争中の訴訟も類似した方法で進行可能」と報告。徴用問題の今後の推進計画として、日本との協議を急ぐとともに、被害者や国会、メディア、学界などへの十分な事前説明を行うとした。また、被害者に対し、賠償金を受け取る意思を確認し、同意を得る方針を示した。
 韓国内で徴用問題を巡る訴訟のうち、大法院(最高裁)の確定判決が出たのは3件で、係争中の訴訟は67件(大法院9件、高裁6件、地裁52件)となっている。
 外交部は徴用問題の解決策を打ち出した後も被害者らとの意思疎通を続け、歴史問題の真の解決に向け、「記憶と追悼、研究、そして重要な人権問題としての未来世代への教育」を強化する方針も明らかにした。
 日本政府が昨年末、国家安全保障戦略など安保関連3文書を改定し、敵基地を攻撃できる「反撃能力」の保有を明記したことに関しては、「厳格な要件のなかで反撃能力を保有し、先制攻撃は許されないと明記したことに注目する」と強調。「朝鮮半島の安全保障やわれわれの国益に重要な影響を与える事案は事前の緊密な協議と同意が必要という立場を引き続き伝える」と報告した。


「中央日報日本語版」 2023.01.17 10:43
■日本の有識者ら、韓国財団の徴用被害者賠償支払いの「肩代わり」を批判…「禍根を残す」

【写真】共に民主党・正義党の議員らは強制徴用解決案議論のための討論会直前の12日午前、国会本庁前の階段で韓日歴史正義平和行動と共に政府の強制徴用解決案に反対する記者会見を開いた。 キム・ソンリョン記者

 日本の有識者たちも、韓国財団が日本による植民地時代徴用被害者に賠償金を代わりに支給する案を批判した。
 16日、日本で活動する学者、作家、法律家など知識人94人は、韓国財団が韓国企業の拠出金で徴用被害者に賠償金を優先支給する案を批判する内容の声明を発表した。
 声明に参加した小説家の法政大学の中沢けい教授、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長、月刊『世界』の岡本厚元編集長らは同日、東京衆議院第2議員会館で記者会見を開いた。
 彼らは「被害者不在では『解決』にならない」という声明で韓国政府が推進する被害者賠償案を批判した。彼らは「被告企業が謝罪せず、償いとしては一円のお金も出さない方向でまとめられているのは解決策とは言えない」と指摘した。
 また「2018年韓国最高裁判決の当事者はあくまで日本企業」とし「(賠償判決を受けた三菱重工業と日本製鉄が)グローバル展開する大企業であればなおさら、『グローバル・スタンダート』である人権尊重の立場からも、積極的に問題解決と被害者の人権回復を図るべきだ」と主張した。
 さらに「被害者を置き去りにした『解決』は、むしろ解決を放棄することであり、禍根を残すだけだ」とし「日本政府、そして強制労働を行った当事者である企業が、被害者の思いを真摯に受けとめ、被害者が納得できる解決案を示すことを強く求める」と繰り返し強調した。
 これに先立って12日、外交部が開いた公開討論会で、韓国政府は日帝強制動員被害者支援財団が韓国企業から拠出金を受けて徴用賠償判決金を代わりに支払う案を提示し、議論を呼んだ。


「中央日報日本語版」 2023.01.17 07:46
■「日本呼応時には発表可能」…強制徴用解決に速度出す韓国政府
 16日、東京で開かれた韓日局長級協議では韓国政府が今年初めに発表予定の強制徴用被害者に対する「第三者弁済案」が集中的に話し合われた。ほぼ毎年「時」に合わせて繰り返される日本の「カレンダー性歴史挑発」で世論が悪化する前に問題を決着させるために、政府は速度を出している。

◇「戦犯企業参加が重要」
 この日東京で開かれた局長級協議で、韓国の徐旻廷(ソ・ミンジョン)外交部アジア太平洋局長は船越健裕外務省アジア大洋州局長に、12日国会で開かれた「強制徴用解決案議論公開討論会」を通じて確認した国内世論を伝えた。当時の討論会で、韓国政府は日帝強制動員被害者支援財団を主体に、韓日企業寄付金などを受けて日本戦犯企業の代わりに被害者に支給する案を事実上公式化した。
 外交部当局者はこの日の協議後に記者団と会い、「韓国が独自解決法を発表することも、日本の誠意ある呼応措置がなければならない場合もある」とし「日本の呼応措置が出てきて、これを土台に原告(被害者)一人ひとりを説得する過程が最も重要」と話した。政府はこの日の協議で、三菱重工業や新日鉄住金など賠償の直接的な責任がある「戦犯企業が財源づくりにいかなる形であっても参加し、大法院判決に伴う責任を負う姿を見せなければならない」と強調したという。
 中央日報の取材によると、政府が近く日帝強制動員被害者支援財団を通した「併存的債務引受」案を公式に発表すれば、日本政府はこれに呼応して▽輸出規制の解除▽ホワイトリストの編入▽シャトル外交再開--の3つの措置を直ちに宣言することで内部の立場を固めた。これに関連して、外交部当局者はこの日、「韓国側の解決案発表に当然続く正常化手順」と説明して事実上これを認めた。この当局者は「日本の誠意ある呼応措置が伴った解決法が発表されれば、当然シャトル外交も再開されて輸出規制措置も解除されるだろう」と話した。

◇「求償権問題を避ける妙策」
 強制徴用被害者側は「第三者が財源を作るにしても、100ウォンであっても被告企業が参加しなければならない」と地道に要求してきた。外交消息筋は「日本政府が意志を持って出てくるなら戦犯企業はすぐに動くだろう」としながら、韓国が様々な山を乗り越えて解決策を作ってきたが日本も手をこまぬいてばかりではいけないという自省が日本政・財界内部からも少しずつ出ているとみられる」と話した。
 戦犯企業が基金拠出に参加するのが今後求償権問題による論議の余地を減らす案という分析もある。国民大学日本学科の李元徳(イ・ウォンドク)教授は「第三者弁済の場合、求償権請求問題が残らざるをえないが、戦犯企業がいかなる方法であろうと拠出金バスケット(かご)の中に入ってくれば話が変わる」とし「戦犯企業が最後まで基金拠出に参加しなければ今後求償権請求問題の種火を自ら残すことになる」と説明した。

◇「カレンダー挑発」前に完了するのが目標
 現在、韓国政府は来月中に強制徴用賠償解決策を発表して韓日関係正常化の第一歩を踏み出そうという構想をもっている。昨年末、検討の末に水泡と帰した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪日を今年初めに推進する案も改めて考慮している。11年以上中断された韓日首脳間シャトル外交の出口を開くためだ。関係改善状況によって、今年5月に広島で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)に尹大統領が招かれ、もう一度会談が開催されるのではないかという期待も出ている。
 ただし、強制徴用問題解決のタイミングを逃した場合、毎年「時」に合わせて繰り返される日本の歴史歪曲(わいきょく)によって足を引っ張られる恐れがある。上半期だけでも来月末に竹島〔日本が主張する独島(トクド、日本名・竹島)の名称〕の日行事→3月歴史を歪曲する教科書検定→4月靖国春季例大祭→5月外交青書と7月防衛白書通した独島領有権ごり押し主張→8月敗亡日の靖国参拝などだ。
 日本の歴史歪曲のたびに韓国政府は抗議の立場を表明して在韓日本大使館関係者を呼んだりしたが、このような悪循環が下手をすると強制徴用問題解決過程で国内世論に悪影響を与えかねないとの憂慮が出ている。すでに政府の強制徴用解決法に対して「屈辱的」としながら批判の声を高めている野党圏に攻勢の口実を与えることにもなる。政府が12日の公開討論会後、用意された問題解決の動力を継続して最大限来月中に可視的な成果を速やかに挙げようとしているのはこのためだ。
  強制徴用問題解決の進展状況によっては、尹大統領の3.1節記念演説にのしかかる負担感も違ってくる。一部では国内支持率が停滞状態の岸田文雄首相が4月に地方選挙を控えているため、日本の立場としてもできるだけ選挙前に余裕を置いて解決策を用意しなければならないとの指摘もある。


「The Hankyoreh」 2023-01-17 07:08
■[社説]「強制動員被害者を無視するな」、日本の市民たちの呼びかけ

【写真】「世界」の岡本厚元編集長、作家の中沢けい氏、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長(左側から)が16日、東京千代田区の衆議院会館で強制動員問題について記者会見をしている=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 韓日両政府は、強制動員の被害補償問題を急いで決着させ、「韓日関係正常化」を宣言しようと速度を上げているが、「拙速解決策」に対する両国世論の懸念が高まっている。16日には日本の市民社会が“被害者を冷遇する解決策”に反対する共同声明を発表した。数十年間、両国関係の改善のために努力してきた人々が、なぜ「日本企業の謝罪と賠償」が抜けた案を懸念するのか、韓日両政府は耳を傾けなければならない。
 東京大学の和田春樹名誉教授ら日本の学者、弁護士、言論人、市民社会の要人94人は、16日に発表した声明で「当の被告企業は謝りもせず、償いとしては一円のお金も出さない方向でまとめられつつあります。これでは解決とは呼べません」とし、日本の政府と企業が謝罪と賠償に積極的に乗りだすよう求めた。12日に韓国外交部が、韓国企業から資金を集めて日本の被告企業の代わりに被害者に賠償する案を公式化したことに対し、被害者を支援してきた日本の市民社会が問題を強く提起したのだ。これらの人々は、数十年以上戦ってきた被害者が受けいれることができない解決策は解決策ではないと強調した。
 韓日両政府は、2018年に日本企業が賠償金を支払うよう命じた韓国最高裁の判決をめぐり、韓国企業の資金で代わりに賠償すれば、日本が2019年に韓国に課した輸出規制を解除し、過去の日本政府の談話を再確認することで、早急に強制動員問題を終える案を議論中であることが分かった。
 両国政府がこのように急ぐ背景には、韓国・米国・日本の安全保障協力問題がある。韓国政府は、今春までに強制動員解決策を発表した後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本訪問を経て、3カ国の協力に向け速度を上げようとしている。日本の岸田文雄首相も13日の米国での演説で「できる限り速やかに日韓二国間の懸案を解決し」、「(北朝鮮の)脅威に直面する中」、「(韓米日)3カ国間の安保協力を強化」していくと強調した。
 安全保障の状況に対応した韓米日の協力も必要だが、韓国は明確な原則を守らなければならない。複雑に歴史と政治が絡みあう過去の問題を拙速にくつがえしていくのであれば、深刻な逆風を呼ばざるをえない。数十年の間、被害者たちが要求してきた日本の加害企業の心からの謝罪は、最小限の要件だ。
 「日本政府は『過去に謝罪したのだから、それでいいのではないか』と言ってはならない。真の謝罪は、事実を認め謝罪と補償を行い、繰り返さないよう努力することだ」。この日の記者会見で「世界」の岡本厚元編集長が述べた苦言を、韓日両政府は無視してはならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1075926.html
韓国語原文入力:2023-01-17 02:40


「The Hankyoreh」 2023-01-17 06:51
 韓国政府が第三者補償案を公式化してから4日後に

【写真】韓国政府が国内強制徴用被害者に第三者返済案を示し、今後受領に同意を求めると明らかにしたことに対し、被害者たちはこの案に強く反対している。写真は12日午後、ソウル鍾路区の日帝強制動員被害者支援財団の様子/聯合ニュース

 韓国政府が日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者に対する賠償の解決策として、「第三者債務引受」方式を提示してから4日後に日本側と公式協議に乗り出すなど、交渉のスピードを上げている。謝罪と賠償への参加など日本側の「誠意ある呼応」のレベルが依然として争点である中、日本の市民社会からは「被告企業が謝りもせず、補償にも参加しない案は解決策とは呼べない」という指摘が出てきた。
 ソ・ミンジョン外交部アジア太平洋局長は16日、日本外務省で船越健裕アジア大洋州局長と局長級協議を行った。ソ局長はこの場で、韓国政府が強制動員賠償問題の解決法として提示した「第三者による重畳的・併存的債務引受」案に対する批判世論など韓国の国内状況を詳細に伝えたという。
 外交部側の説明によると、同日の協議でソ局長は、討論会で被害者側が政府案に大きく反発し、国内世論も否定的であることなどを説明し、接点を見出すためには日本側も相応の措置を講じる必要があるという点を強調した。外交部当局者は「公開討論会の後、できるだけ早く日本側に会い、国内の雰囲気がどれほど厳しいのかをありのまま伝えたうえで、要求事項を示す必要があると判断し、早めに日程が決まった」と述べた。同当局者は「日本側の『誠意ある呼応』が必要だという点を強調した。スピード感を持って緊密に協議しているが、『誠意ある呼応』措置について両国の間の認識の相違がある」と明らかにした。さらに「日本の被告企業の謝罪と賠償への参加を外交部が求めているのか」という質問に「そうだ」と答えた。
 これに先立ち、外交部は12日に国会で公開討論会を開き、韓国最高裁(大法院)の確定判決により賠償責任を負った日本の加害戦犯企業の「債務」を「第三者」である日帝強制動員被害者支援財団が引き受けた後、ポスコなど1965年韓日請求権協定で恩恵を受けた企業に寄付金を募り、被害者への賠償金を肩代わりすることを骨子とする政府案を公式化した。特に日本側の謝罪および賠償への参加問題について「現実性がない」と明らかにし、被害者側の反発を買った。
 外交部は同日の協議では「日本側の誠意ある呼応措置」があればこそ韓国政府が最終的な解決策を示せるという点を明確にしたという。政府案の発表後、反発世論が広がっていることを意識したものとみられる。外交部当局者は「国内世論もあり、被害者側の説得のためにも、呼応措置があればこそ(韓国政府も解決策を)発表できると日本側に伝えた」と述べた。
 しかし、日本の「誠意ある措置」については両国の間に依然として隔たりがあるものとみられる。最高裁の確定判決により賠償責任を負うことになった加害戦犯企業の賠償参加の可否および方式に対する議論には進展がないという。むしろ日本側は第三者による債務の引受後に賠償が行われた場合、今後韓国側が日本の被告企業に求償権を請求できるという懸念を示したという。
 一部では謝罪の方式として「金大中-小渕共同宣言(日韓パートナシップ宣言)」(1998年)など過去の日本政府の談話内容を継承するという意思を明らかにする形になるという見通しも示されている。これと関連し、外交部当局者は「謝罪の内容も発表の時期も予想するのは難しい」とし、「韓国国民にこの程度なら努力したと認められると共に、原告側も受け入れられる方法を探している」と述べた。韓日両国は旧正月(1月22日)の連休以降、ソウルで後続交渉を続けることにした。
 一方、日本の学者や弁護士、ジャーナリスト、市民団体の活動家など94人はこの日記者会見を開き、「被害者不在では『解決』にならない―『徴用工』問題で日本政府・日本企業に訴える」という題の声明を発表した。彼らは会見で「被害者が納得できる解決策作りが最も重要だ」とし、「真のお詫びは事実を認め、謝罪と賠償を行い、(過ちを)繰り返さないために努力すること」だと強調した。
東京/キム・ソヨン特派員、チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075922.html
韓国語原文入力:2023-01-17 02:45


「The Hankyoreh」 2023-01-17 07:34
■「朴正熙政権よりも没歴史的」…強制動員賠償案討論会であふれる怒り
 被害者側代表「被害者を侮辱したパク・チン弾劾すべき」 
 イ・ジェミョン「自害外交をやめよ」

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が16日、国会議員会館で行われた「尹錫悦政権の対日外交診断と課題」と題する討論会で祝辞を述べている/聯合ニュース

 政府が日帝強制動員の被害者に対する賠償問題を日本企業の参加なしに第三者(日帝強制動員被害者支援財団。以下「支援財団」)を通じた韓国企業による寄付で解決するとの方針を明らかにした中、手続きに無理な面が少なからずあると指摘する声があがっている。
 16日午前、共に民主党のイ・ジェジョン議員の主催で国会議員会館第8懇談会室で行われた「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対日外交診断と課題」緊急討論会で、パネラーとして参加した慶北大学法学専門大学院のキム・チャンロク教授は「債権者(強制動員被害者)が特定の債務者(日本の戦犯企業)から返済を受けなければならないという立場である場合には、債権者の承諾なき併存的債務引受は認められないと考えるべきだ」と述べた。併存的債務引受とは、三菱重工や日本製鉄などの戦犯企業が被害者に対して負っている債務を支援財団が引き受け、返済を肩代わりするというもの。政府は、過去の判例と学説に照らせば、併存的債務引受に被害者の同意は必要ないと主張する。これに対しキム教授は、債務だけ返済されれば済む一般の民事訴訟とは異なり、「特定の債務者(戦犯企業)から返済を受けなければならないという立場」である強制動員問題では、債権者の同意が必要だと指摘したのだ。
 チェ・ボンテ弁護士(法務法人サミル)は、併存的債務引受を遂行する機関である支援財団の性格を批判した。同氏は「韓国政府の発表を見ると、支援財団の設立趣旨に真っ向から反して(被害者による)日本政府および企業に対する権利闘争を邪魔する手先にしてしまっている」とし、「日本に保管されている日本製鉄や三菱重工業などが供託した供託金を回収し、そのための訴訟支援をするどころか、定款のこのような目的を達成できないよう債務を消滅させ、このような活動ができないよう妨害する財団へと墜落させてしまった」と語った。
 政府の解決策は「没歴史的」だとの批判も飛び出した。
 キム・チャンロク教授は、尹錫悦政権が強制動員問題の解決策をまとめるにあたって日本の戦犯企業の賠償責任を事実上免除したことについて、「1905年の乙巳条約や1910年の併合条約などは当初から無効だという(韓国政府の)立場を放棄するものに他ならない」とし、「朴正熙(パク・チョンヒ)政権よりも没歴史的な最悪の政権以外の何物でもない」と批判した。
 一方、被害者側の代表として出席した日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は、「国民的自尊心を傷つけ、むしろ日本の被告企業の代理人を自任する長官を弾劾しなければ、大韓民国の憲法の精神はよみがえらない」とし、「憲法を破棄し、被害者を侮辱したパク・チン外交部長官を弾劾しなければならない」と主張した。
 この日の討論会に参加した共に民主党のイ・ジェミョン代表も、被害者に対する賠償の財源を韓国企業の寄付に求めていることについて「自傷的外交をやめよ」とし、「日本との関係改善のためなら何もかも全て差し出せるという姿勢で過去の問題を解決することは困難だ」と批判した。
シン・ヒョンチョル、シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075911.html
韓国語原文入力:2023-01-16 17:49


「The Hankyoreh」 2023-01-17 07:00
■「強制動員企業が一円も出さないなんて」…日本の市民社会も「解決策にならない」
 日本の学者、弁護士、市民社会の活動家ら94人が共同声明

【写真】岡本厚元「世界」編集長(左端から)、作家の中沢けい法政大学教授、矢野秀喜「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」事務局長が16日午後、東京千代田区の衆議院会館で強制動員問題と関連して記者会見を行っている=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「被告企業は誤りもせず、償いとしては一円のお金も出さない案は解決とは呼べない」。
 日本の市民社会が韓日関係の最大懸案である強制動員被害者賠償問題の解決策として、日本側の参加なしで第三者が補償する案が進められていることについて、強く批判した。元「世界」編集長の岡本厚氏や作家の中沢けい氏(法政大学教授)、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」事務局長の矢野秀喜は16日午後、東京都千代田区の衆議院会館で強制動員問題と関連して記者会見を開き、このように批判した。
 12日、韓国外交部が公開討論会を開催し、企業の「自発的参加」を通じて資金を集め、日本の被告企業の賠償金(不法行為による精神的被害に対する慰謝料)を肩代わりして強制動員被害者に支給する案を解決策として公式化したことを受け、数十年間強制動員被害者を支援してきた日本の市民社会が記者会見を通じて問題点を強く指摘したのだ。
 彼らは和田春樹氏(東京大学名誉教授)など学者、弁護士、ジャーナリスト、市民社会の活動家94人が賛同した「被害者不在では『解決』にならない―『徴用工』問題で日本政府・日本企業に訴える」という題の声明を発表した。矢野事務局長は「日韓政府間で強制動員交渉が急速に進められている。被害者が納得しなければこの問題は解決できないという点を伝えたかった」と声明の趣旨を説明した。矢野事務局長は27年にわたって強制動員被害者の訴訟を支援し、日本政府と企業に謝罪と賠償・補償を求めてきた活動家だ。
 彼らは声明で「大法院(韓国最高裁)判決の当事者はあくまで日本企業。民事訴訟で強制労働を行った事実、その不法行為責任が認定されて(被害賠償の)判決が確定した」とし、「自ら(被告企業)の債務を他人に『肩代わり』してもらってそれで解決したことにはできない」と批判した。さらに「グローバル展開する大企業であればなおさら、『グローバル・スタンダード』である人権尊重の立場からも、積極的に問題解決と被害者の人権回復を図るべきだ」と指摘した。
 日本政府が1965年の韓日請求権協定で問題がすべて解決済みと主張していることについても批判の声をあげた。彼らは声明で、1965年以降に行われた1995年の「村山談話」(植民地支配と侵略戦争に対するお詫び)、1998年の「日韓パートナーシップ宣言」(植民地支配に対する痛切な反省と心からのお詫び)に言及し、「『徴用工問題』も終わったことだと済ませることはできない」と強調した。
 日本の市民社会は、何よりも数十年以上闘ってきた被害者が受け入れられない解決策は解決策にはならないと主張した。声明では、最高裁で勝訴したヤン・クムドクさん(三菱重工業の被害者)の「私は日本から謝罪を受ける前に死んでも死に切れない」という発言や、イ・チュンシクさんの(日本製鉄の被害者)が「生きているうちに問題が解決されることを望む」という発言も取り上げられた。さらに「何よりも、強制連行・強制労働の被害者である原告たちが、(韓国政府が公開した)この『解決』案に納得していない。被害者を置き去りにした『解決』は、むしろ解決を放棄することである」と指摘した。
 記者会見に出た中沢教授は「日韓の間で新たな関係を結び直すことができる良い機会ができた。被害者が納得できる解決策を用意することが最も重要だ」と語った。岡本元編集長は「日本政府が『過去にお詫びしたからそれでいいのではないか』と言ってはならない」とし、「真のお詫びは事実を認め、謝罪と補償を行い、(過ちを)繰り返さないため努力すること」だと強調した。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1075876.html
韓国語原文入力:2023-01-17 02:45


「The Hankyoreh」 2023-01-17 08:24
■韓国野党第1党代表「自傷外交やめよ…慰安婦拙速合意を他山の石に」

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が16日、国会議員会館で行われた「尹錫悦政権の対日外交診断と課題」と題する討論会で祝辞を述べている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 野党第1党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は、日本による強制動員の被害者に対する賠償について、韓国企業による寄付を財源とすることを政府が16日に決めたことについて「自傷外交をやめよ」と訴えた。
 イ代表はこの日、国会議員会館で行われた「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対日外交診断と課題」と題する緊急討論会で「政府は日本の謝罪もなしに韓国企業の寄付した金で強制徴用被害を補償する方策を公開した」とし、「日本との関係改善のためなら何もかも全て差し出せるという姿勢で過去の問題を解決することは困難だ」と批判した。イ代表は「心からの日本の謝罪と責任を要求する強制徴用被害者の方々は、国民の常識とかけ離れたこのような反民族的で反歴史的な態度は理解しえない」とし、「政府は自傷的外交を直ちにやめるべきだ。朴槿恵(パク・クネ)政権時代の日本軍慰安婦拙速合意を他山の石とすべきだ」と付け加えた。

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が16日、国会議員会館で行われた「尹錫悦政権の対日外交診断と課題」と題する討論会で祝辞を述べている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 イ代表はまた、「尹錫悦政権の対日低姿勢屈従外交は次第に佳境に入りつつある」とし、「日本の再武装と軍事大国化の動きが日増しに露骨になってきているが、大統領はこれを容認する発言を繰り返している」とも述べた。尹大統領が11日の外交部と国防部からの業務報告の場で、日本政府が防衛費増額、敵基地攻撃能力の保有を決定したことについて「日本を誰がとやかく言えるのか」と擁護したことに言及したのだ。イ代表は、「(尹錫悦政権は)韓国の外交安保利益とかけ離れた韓米日合同軍事訓練を独島(ドクト)海上近くで強行し、北東アジアの安保の地形を不安にさせている」とし、「このような選択は、ともすれば韓米同盟を米日同盟の下位へと転落させる危険がある」と述べた。そして「さらに問題なのは、朝鮮半島問題への日本の介入の大義名分を与えることになりうるということ」とし、「このような悪影響に現政権がどのように責任を取ろうとしているのか、実に心配だ」と付け加えた。
シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1075838.html
韓国語原文入力:2023-01-16 11:42


「聯合ニュース」 2023.01.16 19:31
■韓日が徴用問題巡り局長級協議 被告企業の役割で隔たり
【東京聯合ニュース】韓国と日本の外交当局が16日、両国関係の最大の懸案となっている徴用訴訟問題の解決策を模索するため東京で局長級協議を行ったものの、日本側の「誠意ある呼応」を巡る見解に隔たりがあった。

韓国外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長が、日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長と徴用訴訟問題を巡り東京で局長級協議を行った。協議後、韓国の報道陣に内容を説明する徐局長=16日、東京(聯合ニュース)
 協議は韓国外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長と日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長が行った。
 徐氏は協議後、記者団に対し、12日に韓国で開催された徴用訴訟問題の解決に向けた公開討論会の結果や国内の雰囲気を日本側に伝えたとし、「今後も緊密な意思疎通を続けることを確認した」と説明した。
 韓国政府が公開討論会で提示した解決案は、日本企業に徴用被害者への賠償を命じた2018年の大法院(最高裁)の判決の原告に対し、韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が判決金(賠償金)の支払いを行うというのが骨子。これに対して被害者側は「被告企業の役割が抜けた案」と強く反発している。
 韓日の局長級協議が前回から約20日後という短い間隔で開かれた理由について、外交部当局者は「できるだけ早く訪日し、韓国国内の事情がどれほど厳しいのかを日本側に伝え、韓国側の要求事項をリアルに伝える必要があると考えた」と説明した。
 外交部当局者によると、韓国側はこの日の局長級協議で、日本側の「誠意ある呼応」を巡り、「謝罪と寄与」を強調したという
 韓国側は原則的に訴訟の被告企業である三菱重工業と日本製鉄(旧新日鉄住金)が財団の財源作りになどに寄与しなければならないという立場だ。
 しかし日本政府は1965年に締結された請求権協定で解決済みとの立場を崩しておらず、被告企業の資金拠出は韓国大法院の判決履行と映る可能性があるという点で難色を示しているという。
 同当局者は被告企業の寄与に関連し「韓日間の認識に差がある」とし「創意的な解決策」が必要との認識を示した。
 一部では日本の経済団体が基金を造成して財団に寄付し、この基金に被告企業が参加する案が議論されている。
 また日本メディアなどによると、謝罪について日本政府は、アジアの国民、または韓国人に対する「痛切な反省と心からのおわび」を表明した1995年の村山談話などを継承する姿勢を改めて表明することで韓国側の理解を求める構想という。
 韓国側は日本側の謝罪と寄与を骨子とした呼応があってこそ、徴用問題の解決策を発表できるという立場だ。
 同当局者は解決策の発表時期について「日本側の誠意ある呼応と関連し、両国間で認識差があるため発表時期は予想できない」とし「緊密かつスピード感のある協議をしている」と説明した。
 同当局者はまた、「強制徴用の解決策が発表されれば、当然日本の対韓輸出規制(強化)は解除されると考える」と話した。日本の輸出規制強化は、徴用賠償判決に対する事実上の報復措置という点で徴用問題の解決に従って解決する問題との認識を示したと言える。
 同当局者は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪日についても徴用問題が解決すれば、「韓日シャトル外交」も再開されると見通した。


「聯合ニュース」 2023.01.16 18:21
■韓日局長が東京で協議 徴用問題巡る日本の「呼応措置」に注目
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長は16日、日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長と徴用訴訟問題を巡り東京で局長級協議を行った。韓国政府が12日に開いた公開討論会で同問題の有力な解決策として韓国の財団が日本企業の賠償支払いを肩代わりする案を提示し、13日には韓日外相が電話会談を行ったのに続いて同日の局長級協議まで、韓日当局はスピーディーに議論を進めている。この日の協議で韓国政府は、被害者側が政府の解決策に反発しているとともに国内世論の支持も得られていない現状を説明し、接点を見いだすためには日本の「呼応」が必要だという点を改めて強調したとみられる。

韓国政府が12日、国会で開いた公開討論会の様子=(聯合ニュース)
 韓国政府は討論会で、政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が韓国企業など民間から寄付金を募って財源をつくり、日本企業の賠償金を肩代わりする案を提示した。だが、被害者側は徴用訴訟の被告である三菱重工業と日本製鉄の資金拠出への参加が担保できないとして、このような案は受け入れがたいとの姿勢を示している。
 外交部の趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官が討論会開会のあいさつで「われわれが決断力ある第一歩を踏み出せば、日本もこれに呼応し足並みをそろえて未来に進むことができると期待する」と述べたのは、韓国の取り組みに対して日本が相応の措置を取るよう促したものと受け止められる。
 このような韓国の状況を意識したかのように、日本が呼応措置を取る可能性が日本メディアなどを中心に取り沙汰されている。
 日本政府内では、財団が肩代わりした賠償金の返還を被告企業に求める「求償権」を放棄すれば、日本企業による財団への寄付を容認するという案が浮上しているとされる。
 徴用訴訟問題は韓国側が解決すべきとしていた過去の日本の態度に比べると明らかな進展ではあるが、問題は複雑な争点のディテールにあるとの指摘が出ている。
 日本は求償権の放棄によって自国企業の拠出は徴用訴訟の判決の履行ではないという形を取ろうとしているが、韓国としては受け入れがたい。
 また、寄付の方法も問題になりかねない。一部では、韓国と日本の企業が賠償金を支給するために財団への拠出を行えば、背任に該当する恐れがあるとの指摘も出ている。
 これに対し財団側は、指定寄付金団体に指定されているため寄託先を指定した寄付金を受け取ることは可能だと説明している。韓日請求権協定に基づいて日本から支払われた資金で設立された代表的な企業であるポスコは、このような方法で計60億ウォン(約6億2000万円)を拠出した。
 日帝強制動員被害者支援財団の沈揆先(シム・ギュソン)理事長は討論会で、企業に参加を強要するのではなく「社会的貢献」や「社会的責任(CSR)」として自発的に参加するよう誘導することが被害者と企業の双方のためになると主張した。
 日本側に判決の履行ではないという名分を与えることが被告企業を参加させる鍵になるとみられるが、同時に被害者が求める責任の履行も満たさなければならない点が政府のジレンマといえる。
 謝罪については、日本政府が徴用問題について過去に発表した立場を改めて示すことで折り合いをつけることになると予想されるが、重要なのは過去の謝罪の継承が「誠意ある呼応」と認識されるかどうかだ。
 日本は1995年の村山談話と98年の金大中(キム・デジュン)―小渕宣言(韓日共同宣言)でアジアの国民、または韓国人に対する「痛切な反省と心からのおわび」を表明している。
 その後、日本の歴史認識が後退し、右傾化の流れが強まっている中で継承すると改めて明言することに意味があるとの評価が出ている。
 その一方で、被害者側は「徴用問題に対する事実の認定」を前提とした謝罪を求めており、過去の立場を再び発表することが被害者の期待に沿うかどうかは見通せない。
 韓日間の協議は大詰めを迎えているが、これらの問題点を解決できる妙案を導き出せるか推移を見守る必要がありそうだ。
 韓国政府は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が早ければ来月にも日本を訪問する可能性も念頭に置いているとされる。訪日が実現すれば韓日首脳間のシャトル外交が再開されることになるが、まずは徴用訴訟問題の進展による足場固めが求められる。


「The Hankyoreh」 2023-01-16 12:19
■韓国の真実和解委員長「韓国には『親日清算』するものがない…清算は日本がすべき」
 キム・グァンドン第2期真実和解委委員長 
 2004年の親日究明特別法発議に 
 「左派国家をつくるのに支障が生じれば親日派」

【写真】第2期真実和解委員会のキム・グァンドン委員長。同委員長は5・18光州民主化運動の北朝鮮軍介入説、戒厳軍のヘリ射撃の「虚偽事実」評価、済州4・3事件を「共産主義勢力による暴動」と主張するなど偏向した歴史観で委員長任命をめぐり物議を醸した=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 偏向的な歴史認識で物議をかもしている第2期真実・和解のための過去事整理委員会(真実和解委)のキム・グァンドン委員長が、かつて「韓国には親日清算すべきものがない」「左派国家を作るのに支障になれば親日派」などと発言していたことが明らかになった。
 当時、ナラ(国)政策研究所長だったキム・グァンドン委員長が2005年7月20日に開かれた討論会「今、なぜ親日真相究明法なのか」で行った発言を15日に確認したところによると、キム委員長は「大韓民国は歴史清算をしようにも歴史清算すべきものがない国だ。何を清算するのか」とし「歴史清算は日本がすべきだ。なぜ大韓民国だけが60年にわたって歴史清算をするというのか」と述べた。そして「歴史清算?反民特委? 私は戦犯国家であり侵略戦争をしたドイツと日本よりも、韓国がもっと徹底的に(清算を)したと考える」と付け加えた。
 同討論会は、2004年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で発議された「日帝強制占領下の反民族行為の真相究明に関する特別法」(当時、親日真相究明特別法)が制定されてはならないという趣旨で開かれた。キム委員長は、北朝鮮の親日派清算についても「全く聞いたことがない。共産主義者たちは共産主義化に進む上で支障になれば左派の世界を作り、左派国家を作る上で支障になれば親日派(とみなす)」とし、親日附逆の真相究明をイデオロギー論だと規定した。
 討論会でキム委員長は、他の現代史の事件に対しても偏った認識をあらわにした。キム委員長は「反民特委(反民族行為特別調査委員会)ができる前から、済州島では4・3闘争が繰り広げられており、大邱(テグ)では10月暴動で騒擾の過程に入っており、麗水・順天(ヨス・スンチョン)反乱事件など数え切れないほど事件が起きていた」とし「共産帝国主義と戦わなければならなかったため、我々は反民特委を最後まで貫徹できなかった」と述べた。
 しかし、反民特委は李承晩(イ・スンマン)政権下の親日派勢力が瓦解させたとみるのが歴史学界の定説だ。漢陽大学のパク・チャンスン教授(史学科)は、「反民特委は、親日を清算する意志がなかった李承晩政権が解散させ、根幹となる法律を無効化させるなどによってうやむやになった。左翼勢力を追い出すという名分が、反民特委が貫徹されなかった絶対的な理由にはなりえない」と述べた。
 これと関連し、キム委員長は本紙の取材に対し、「当時、韓国の親日清算が不十分だったことは明白だ」としながらも「共産体制克服のための闘争と努力が疎かな状況で、親日清算だけに焦点を合わせるのは、普遍的価値や民族の価値という基準からみて均衡的でも適切でもないという意味」だと釈明した。
クァク・チンサン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1075801.html
韓国語原文入力:2023-01-16 08:01


「聯合ニュース」 2023.01.16 17:05
■徴用訴訟の日本被告企業 被害者への謝罪・賠償問題は「解決済み」
【東京聯合ニュース】韓国政府が12日に開いた公開討論会で、徴用訴訟問題の解決策として韓国の財団が日本企業の賠償支払いを肩代わりする案を示した中、日本の被告企業が同問題はすでに解決済みという従来の立場を改めて表明した。
 三菱重工業の関係者は16日、徴用被害者に謝罪し、財団に寄付する意向があるかという質問に対し、コメントを控えるとしたうえで、同問題は1965年の請求権協定で完全かつ最終的に解決済みという立場に変わりはないと回答した。賠償支払いを肩代わりする財団への寄付はできないとの意思を示したものとみられる。
 別の被告企業である日本製鉄(旧新日鉄住金)も同じ質問に対し、コメントを控えると回答した。



「The Hankyoreh」 2023-01-16 06:30
■「強制動員の韓国政府の解決策、憲法精神に反する」
 [インタビュー]キム・チャンロク|慶北大学法学専門大学院教授

【写真】慶北大学法学専門大学院のキム・チャンロク教授//ハンギョレ新聞社

 「2018年の大法院(最高裁)の強制動員判決の核心となるメッセージは『日帝の朝鮮半島支配は不法な強制占領であり、強制動員は1965年の韓日請求権協定の適用対象ではない』という点だ。残念ながら、この核心となるメッセージは、日本ではもちろん、韓国でもほとんど注目されないでいる。どちらかというと、努めて無視されているというほうがより適切な表現だろう。その理由は、まさにその核心となるメッセージこそ韓日関係の根本に対する大きな『法的な話題』だからだ」。
 慶北大学法学専門大学院のキム・チャンロク教授は、昨年7月に出した『大法院の強制動員判決ー核心は『不法な強制占領」だ』(知識産業社)の前書きにそう書いた。発足直後の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が「韓日関係正常化」を強調し、強制動員被害者への賠償問題の解決策を設けるための官民協議会を発足させた頃だ。その後、政府は、9月までに合わせて4回の官民協議会を開き、日本側と各級レベルでの協議を続けてきた。
 政府が韓日関係正常化を急ぐ最大の名分は、北朝鮮の核とミサイルの脅威に対する共同対応などの安全保障での協力の必要性だ。そのためには、2018年10月の韓国最高裁の強制動員被害者に対する賠償の確定判決以降、輸出規制などの日本側の報復措置が続き「国交正常化以降最悪」にまでエスカレートした韓日関係を復元しなければならないと主張している。
 特に、最高裁の確定判決を履行しないでいる日本の戦犯企業の韓国内資産売却(強制執行)の手続きが始まれば「韓日関係が破綻するだろう」という話まで出てきている。政府が無理な方法を使ってまで強制動員賠償問題の解決策作りを急ぐ理由だ。「国益」を前面に掲げ、被害者の合法的な権利を侵害するのは、1965年の韓日請求権協定を締結した時に非常によく似ている。
 12日、与党「国民の力」のチョン・ジンソク非常対策委員長兼韓日議員連盟会長と外交部が、国会議員会館にて、強制動員の解決策を議論するための公開討論会を開催した。政府側は、日帝強制動員被害者支援財団(以下、支援財団)を通した、いわゆる「第三者による重複的・併存的債務引受」を、事実上の最終解決案として提示した。最高裁の確定判決によって賠償責任を負った日本の戦犯企業の「債務」を「第三者」である支援財団が肩代わりし、ポスコなど1965年の韓日請求権協定で恩恵を受けた企業から寄付金を募って被害者に賠償する方式だ。キム・チャンロク教授は12日午後、本紙の電話インタビューで「日本の誤った主張と振る舞いを正当化させる格好」だと批判した。キム教授と交わした対話を一問一答形式で再構成した。

-韓国政府は「第三者による重複的・併存的債務引受」側に傾いたようだ。
 「2018年の最高裁判決は、日本企業に責任があるというものだ。その理由は、日帝の朝鮮半島支配は不法な強制占領であり、それにともなう強制動員は請求権協定の適用対象ではないというものだ。したがって、日本企業が損害賠償をしなければならないというのが、最高裁判決の核心だ。尹錫悦政権が最高裁判決を尊重するならば、韓国政府は日本企業の責任を肩代わりすべきでない。判決に従って執行しなければならない。債務者がこれを履行しないのであれば、強制執行をしなければならない。それをさせないために韓国政府が乗りだす理由も、名分もない」。

-政府は、強制動員の被害者が高齢であり、最高裁の確定判決を受けた原告の15人のうち生存者は3人だけだという点を取りあげ、解決策作りの緊急性を強調している。
 「昨年最高裁の強制執行の決定が差し迫った際、外交部は決定を遅らせてほしいという意見書を出した。高齢の被害者たちが最高裁の判決で勝ちとった権利を実現できないように止めたことと、解決策作りが急務だという主張は、つじつまが合わない。日本の誤った振る舞いに対して正当に向き合って正すべきであるのに、日本の誤った振る舞いを変えられないことを前提にして私たちが合わせなければならない理由とは何なのか。日本が破綻させるといって韓日関係が破綻するのであれば、韓国という国はいったい何なのか。日本が間違っても日本に合わせるべきだとすれば、韓国の外交とは何なのか。実に荒唐無稽なことだ」。

-政府案は司法府の判決を行政府がひっくり返すかたちにみえるが。
 「憲法訴訟が可能だと思われる。政府の処分がなされれば、被害者は長きにわたり闘って得た正当な権利(最高裁の確定判決にともなう賠償)を侵害されることになる。韓国憲法が規定した財産権と幸福追及権などの基本権を侵害する処分であり、違憲だ。政府を相手取り『権利実現の妨害』に対する訴訟も可能だと思われる。だが、こうした複雑な話がなぜ必要なのかという思いがある。国民が、このようになじみの薄い用語についてまでなぜ問い詰めていかなければならないのか。政府が日本企業の債務を肩代わりするというのは、債務があるという意味なのだから、判決に従って債務を履行するようにすればいいのではないか」。

-支援財団が債務の肩代わりと賠償過程を主導することにも法的な問題があるという指摘が出ている。
 「財団が定款を変更したのは、尹錫悦政権になって大幅に増えた施行令で法律をひっくり返すこととまったく同じだ。財団設立の根拠になる親法である『強制動員特別法』は、請求権協定について、人道的レベルの支援だけを可能にするよう規定している。下位規定である定款で法律が定めた権限の範囲を越えることは違法だ。
 財団は政府機関ではなく、財団理事長も国家公務員ではない。財団には、請求権協定の恩恵を受けた企業を相手に基金を募る権限もない。それでも基金への拠出を要請することになれば、法的に問題になりうる。最高裁判決によると、強制動員は請求権協定とは無関係だ。したがって、強制動員に関する限り、請求権協定によって恩恵を受けた企業とも何の関連もない。それでも恩恵を受けた企業側が基金に拠出すれば『背任』に該当し、企業内部で問題になりうる」。

-それでも、政府は拙速な解決策作りを強調し押し通す姿勢を示している。
 「欺瞞的だ。代位弁済(第三者が負債を代わりに返済すること)は、債権者の承諾がなければならない。最高裁の確定判決を受けた被害者が債権者だ。当然、承諾しないという。それだと代位弁済にはならない。いわゆる重複的・併存的債務引受は、債務者である日本企業と第三者が協約しなければならない。だが、日本企業もその協約はできないという。協約をすることになれば、債務があるという点、すなわち強制動員の不法性を認めることになるからだ。債務者が協約に参加しなければ、債務引受は成立しない。法的に解決する方法がないという意味だ。ところが、できないことをできると言いはり、ひとまず被害者がお金を受け取るようにしようとしているようだ。被害者たちに対する欺瞞だ。他国の利益のために自国民をだましているのであり、深刻な問題だ。
 もし政府案通りに施行すれば、日本政府は『我々が完全に勝った』と主張するだろう。最高裁判決が国際法違反だという点も、強制動員がなかったという点も、植民地支配は不法な強制占領でなく合法支配だったという点も、『韓国政府が認めた』と言うだろう。韓国という国家のアイデンティティにも、3・1運動で建設された大韓民国臨時政府の法統を継承するという憲法の精神にも反する」。

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075757.html
韓国語原文入力:2023-01-15
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「強制徴用「併存的債務引受」は中途半端な法律論であり、歴史的退行」

2023年01月17日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」  2023-01-10 07:47
■[寄稿]強制徴用「併存的債務引受」は中途半端な法律論であり、歴史的退行
 キム・チャンロク | 慶北大学法科大学院教授

【写真】社団法人日帝強制動員市民の会は12月26日午後、光州広域市議会市民疎通室で記者会見を開き、韓国政府が進める被害補償案に反対すると明らかにした=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 2023年初日の朝、産経新聞電子版に妙な記事が掲載された。記事によると、韓国の外交部アジア太平洋局長が日本の外務省アジア大洋州局長に、早ければ今月中に強制動員賠償問題と関連した韓国側の解決策を発表する意向を伝えたという。解決策としては、韓国の「日帝強制動員被害者支援財団」が敗訴した日本企業の賠償金に相当する寄付金を韓国企業などから募り、原告に支払う案が有力だと、同紙は報道した。また「解決策の発表は、日本側は『韓国の国内問題』との立場であることから、韓国側が単独で行う方向で調整している」とも報じた。
 要するに「最高裁強制動員判決が日本企業に損害賠償責任があると宣告したにもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権がその責任を全面的に肩代わりする方向で進めている」という意味だ。
 外交部関係者は「決まったことはない」という答弁を繰り返しているが、事態の流れはその方向に急ピッチで進む可能性が高いものとみられる。もし尹錫悦政権がそのような方向に進んだ場合、その結果はどうなるだろうか。
 韓国メディアの関連報道には「代位弁済」、「併存的債務引受」など、法律家にも馴染みのない用語が飛び交っている。だが、それらはいずれも「日本企業の責任を韓国側が肩代わりする」という誤った方向を覆い隠すための小細工に過ぎない。さらに、産経新聞の記事のように、そもそも責任がないという日本側の主張に屈し、韓国側が単独で責任を負うとすれば、中途半端な法律論に凄惨な外交惨事が加わることになるだろう。
 強制動員被害者たちは20年近い長い年月の間、韓国で日本の巨大企業を相手取って訴訟を続けた末、やっとの思いで最高裁(大法院)の勝訴判決を勝ち取った。ついに加害者から損害を賠償される法的権利を認められたのだ。ところが加害者である日本企業は、その長い間、韓国最大手の法律事務所を動員し、韓国の法廷で高齢の被害者と争ったにもかかわらず、いざ判決が言い渡されると、従わないという。韓国で利益を得ておきながら、韓国の法には従わないと言い張っている。だからこそ、被害者たちは再び裁判所に差し押さえ命令、売却命令を求める手続きを続けている。加害者から損害を賠償してもらうためだ。
 ところが、尹錫悦政権が乗り出して、加害者の責任を帳消しにしようとしている。最高裁の判決によると、何の責任もない韓国企業から寄付を募り、被害者に渡すという。もし被害者が受け取りを拒否するなら、供託をしてでも(賠償問題を)終わらせるという。被害国が加害者の責任を帳消しにするため、ここまで努力する理由は一体何なのか。それが自国民である被害者に対し、最小限の礼儀をわきまえた態度なのか。
 日本企業の責任を韓国側が肩代わりするというのは、その責任を宣言した最高裁の判決を真っ向から否定することだ。行政府が介入しているのだから、行政権による司法権の否定であり、三権分立を規定した憲法に反することだ。さらに、最高裁の強制動員判決は日帝の朝鮮半島支配が不法な強制占領だったという判断の根拠を憲法前文の「3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」に求めているため、その判決を否定することはすなわち、大韓民国のアイデンティティを否定することに他ならない。
 同時に、それは深刻な歴史の退行でもある。周知のように、朴正煕(パク・チョンヒ)政権が日本政府と締結した1965年韓日基本条約第2条は、「千九百十年八月二十二日以前に大韓帝国と大日本帝国の間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される」と規定している。「もはや」という妥協的な修飾語のため、日本側に日帝の朝鮮半島支配が「合法」だったと主張する口実を与えたりもしたが、1905年乙巳勒約(第二次日韓協約)と1910年併合勒約(韓国併合条約)などが当初から無効だという大韓民国の公式立場を確認するものでもあった。
 ところが日本政府は「合法的支配」という自らの前提から出発しており、強制動員というものを全く認められず、したがって最高裁の判決は誤りだと攻撃している。そのような日本政府の攻撃に全面的に屈服することは、1965年の水準以下に転落することに他ならない。その結果は、朴正煕政権よりも歴史的に最悪の政権以外の何物でもない。
 外交惨事、被害者軽視、司法権否定、憲法否定、歴史退行。尹錫悦政権がこの誤った最悪の道に進まないことを願う。
キム・チャンロク | 慶北大学法科大学院教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1075028.html
韓国語原文入力:2023-01-10 02:04


「中央日報日本語版」 2023.01.06 09:00
■韓国の被害者支援団体・法律代理人団、外交部主催の強制徴用公開討論会に参加
 日帝強制動員市民会など強制徴用被害者を支援する市民団体と強制徴用被害者側の法律代理人団が12日外交部が主催する「強制徴用公開討論会」に参加することに5日、最終結論を下した。この日の討論会では外交部側がこれまでの韓日協議の経過を説明し、日帝強制動員被害者支援財団のシム・ギュソン理事長が発題者として出席する予定だ。
 イム・スソク外交部報道官は同日の定例ブリーフィングで「政府はこれまで(強制動員)被害者側との疎通・協議、民間協議会の開催などを通じて国内の各界各層の多様な意見を取りまとめてきた」とし「より裾野を広げた形の議論のために、今回の公開討論会を開催することになった」と説明した。
 市民団体と法律代理人団などは同日午後、討論会に出席するかどうかを話し合うための共同テレビ会議を開いて参加を決定した。討論会の参加対象者は、イム・ジェソン弁護士と日帝強制動員市民会のイ・グクオン代表などだ。
 彼らは当初、政府が推進中の「併存的債務引受」方案に対する抗議の意味で討論会不参加まで考慮した。実際、イム・ジェソン弁護士など被害者代理人・支援団はこれに先立って強制徴用問題の解決策を導き出すための官民協議会に不参加を宣言した。外交部が「強制徴用問題の解決のために外交的に取り組んでいる」という意見書を最高裁に提出したことに対する反発の措置だった。
 その後、政府と被害者側の対立は拡大していった。それでもこの日の討論会に参加することを最終決定したのは、韓日両国が協議中の解決策内容に対して明確な反対の意思を表明することが必要だという判断のためだったという。
 関連議論に参加した関係者は「被害者側の意見表明なしに日本との協議を進めてきた外交部と被害者の賠償を引き受ける日帝強制動員被害者支援財団側の説明だけで討論会が終わる状況を放置することはできないと判断した」とし「韓国政府が構想中の解決策がなぜ『真の解決策』になることができなかったのかについて説明し、被害者側の立場を最終的にまとめて知らせる」と話した。
 これに先立ち、外交部当局者は被害者が出席しない状況でも予定通り討論会を開催するかどうかについて「おそらく予定通りに開催されるだろう」とし「今回の公開討論会は民意の殿堂とされる国会で各界各層からの意見を収れんし、特に韓日間友好増進に多くの役割を果たしてきた韓日議員連盟と共同主催するもの」と話した。


「中央日報日本語版」 2023.01.05 07:13
■韓国政府、「強制徴用賠償」討論会を12日開催…事実上最後の意見収れん
 韓国政府が日帝強制徴用賠償の解決法を模索するための公開討論会を12日開催する。
 外交部は12日午前10時、国会議員会館の大会議室で強制動員問題に関連した公開討論会を開く計画だと明らかにした。政府は今回の討論会を通じて、事実上最後の国内意見収れんの手続きを経た後、政府側の解決策を発表するものとみられる。
 外交部は公開討論会の開催日程と討論会の進め方などについて市民団体「日帝強制動員市民の会」を含む強制徴用被害者支援団体と関連訴訟代理人などに知らせて出席を要請したことが分かった。
 政府は昨年9月、4回にわたる強制徴用民官協議会を終えた後、「裾野を広げた議論の場」を用意するという計画の下で討論会を準備してきた。
 産経新聞は最近、韓国側が公開討論会で意見を聴取した後、速やかに結論を出すという意思を日本政府に伝えたと報じた。
 政府側の解決策の骨格は、行政安全部傘下の公益法人である財団が主体となって韓国企業などから受け取った寄付金で被害者に賠償金の代わりに返済する方式になるものと予想される。
 その法的手続きとしては「併存的債務引受」(損害賠償責任は存在するが、第三者が同じ債務を引き受けること)などが挙げられる。
 「併存的債務引受」のためには債権者(被害者)の同意が必要ではないという解釈もあるが、これに対しては法曹界でも意見が分かれていると伝えられた。


「聯合ニュース」 2023.01.04 20:05
■韓国政府 12日に徴用問題巡る公開討論会=最後の意見聴取
【ソウル、光州聯合ニュース】韓国外交部が12日に日本による植民地時代の徴用被害者に対する賠償問題の解決策を議論する公開討論会をソウルの国会議員会館で開催する。関連市民団体が4日、明らかにした。

【写真】日本企業に賠償を命じる大法院(最高裁)判決から4年になったことを受けて昨年10月に開かれた被害者側の記者会見の様子(資料写真)=(聯合ニュース)

 外交部が日程や進行方式などについて市民団体や被害者支援団体、関連する訴訟代理人などに知らせ出席を要請したことが分かった。
 同問題の解決策を巡り、日本当局と局長協議などを行っている同部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長が討論会で日本とのこれまでの交渉について説明するとみられる。
 徴用被害者に賠償金を肩代わりすることになるとみられている行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」の沈揆先(シム・ギュソン)理事長も出席するもようだ。
 韓国政府は同問題の解決策を探る官民協議会を設置。9月に4回目の会合を終えた後、今後は対象者を広げて意見聴取を行うと説明していた。
 政府は今回の討論会で、事実上最後の意見聴取を行った後、政府側の解決策を発表するとみられる。
 日本メディアは先ごろ、韓国側が日本政府に対し、公開討論会で意見を聴取した後、速やかに結論を出すという意思を伝えたと報じた。
 政府案の骨子は行政安全部傘下の公益法人である財団が主体となり、韓国企業などから受け取った寄付金を財源として賠償金を肩代わりする方式になると予想される。
 賠償金の肩代わりを巡っては、債務者の債務を免除せず第三者が同一の債務を引き受ける「併存的債務引き受け」は債権者(被害者)の同意が必要ではないとの見解もある。だが、法曹関係者の間でも意見が割れており、被害者の激しい反発や国内世論の悪化は避けられないとみられる。
 被害者側が討論会に出席するかどうかについては、分かっていない。
 被害者側は、財団が肩代わりするとしても、被告になった日本企業が財源作りに加わらなければならず、これらの企業や日本政府の謝罪も必要と主張している。


「The Hankyoreh」 2023-01-04 19:18
■韓国外交部、日帝強制動員解決策の最後の手順…12日に公開討論会開催
 強制動員解決策を論議、最後の手順

【写真】日帝強制動員の被害者ヤン・クムドクさんが、「日帝強制動員市民の会」、「韓日歴史正義平和行動」の関係者と共に昨年11月29日午前、ソウル市瑞草区の最高裁前で三菱韓国内資産現金化決定を速やかに出してほしいと最高裁に要求している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国外交部が12日、日帝強制動員問題の解決策を議論するための公開討論会を開催する。韓国政府が事実上強制動員解決策用意の議論を終えようとする動きを見せており、この日の討論会で強制動員被害者に対する賠償案が提示されると見られる。
 4日、ハンギョレの取材を総合すると、韓国外交部と韓日議員連盟は12日午前10時、国会議員会館大会議室で日本による植民地時代の強制動員被害者賠償解決策を議論する公開討論会を開催する。討論会にはソ・ミンジョン外交部アジア太平洋局長とシム・ギュソン日帝強制動員被害者支援財団理事長が発題者として出席する。外交部はこの日、被害者支援団体と被害者代理人、そして7~9月に韓国政府主導で開かれた民官協議会に参加した専門家たちにこうした事実を知らせ、討論者として参加するよう要請したと伝えられた。
 今回の公開討論会をめぐり、韓国政府がまとめた強制動員問題の解決策を発表するための形式的手続きになる可能性が高いとみられている。韓国政府は行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団が韓国内企業から寄付金を受け取り被害者に賠償金を支給する方案を解決策として用意し、すでに被害者側への説明を終えた状態だ。韓国外交部は日本側にもこうした韓国側の計画を説明したという。1日付の産経新聞は、ソ・ミンジョン外交部アジア太平洋局長が先月26日に東京で開かれた日本外務省アジア大洋州局長との会談で、早ければ今月中にも強制動員賠償問題と関連した韓国側の解決策を発表する意向を日本側に伝えたと報じた。
 被害者団体などでは、韓国政府が強制動員の解決策に対する答えを決めておいて、様式行為に乗り出したのではないかとし、討論会に参加するかどうかに留保的な態度を示している。被害者側では、日帝強制動員被害者支援財団が主体となり日本の戦犯企業ではなく韓国企業の寄付だけで補償する方案に対しては反対している状況であり、討論会以後も当分論議が続くだろうとみられる。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1074443.html
韓国語原文入力:2023-01-04 18:53


「聯合ニュース」 2023.01.03 17:22
■徴用問題 韓国政府が今月に公開討論会=「解決策」間近
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の任洙ソク(イム・スソク)報道官は3日の定例会見で、日本による植民地時代の徴用被害者に対する賠償問題の解決策を議論する公開討論会について、「近く適切な案内ができると思う」として、「具体的な形式や内容については案内を参考にしてほしい」と述べた。21日に始まる旧正月連休前に公開討論会を開くとみられる。
 
【写真】22年12月13日に開いた記者会見で自身への叙勲が見送られたことに抗議する徴用被害者の梁錦徳(ヤン・クムドク)さん=(聯合ニュース)

 公開討論会には被害者だけでなく、専門家らを幅広く招待する方針だ。現在、参加者を調整しているようだ。韓国政府が内部的に検討してきた解決策が公開討論会で具体的に示されるか注目される。
 韓国政府は日本政府との協議や被害者側との意思疎通などに基づき、賠償問題の解決策を模索してきた。各界から意見を集約するとの立場を示していたが、解決策を絞り込んだ後にこのような場を設ける方針だったようだ。昨年9月に解決策を模索するための官民協議会が終了した後、各界が参加する議論の場を設けるとしたが、開催が遅れたのも解決策の検討が長引いたためとみられる。最終的な解決策の発表は公開討論会の開催後に行われる見通しだ。
 外交部の当局者は先月26日に東京で開かれた韓日局長級協議で、韓国側が公開討論会で意見を聴取した後、速やかに結論を出す意向を示したと日本メディアが報じたことについて、記者団に「時期を決めて解決策を模索するというより、スピード感を持って緊密に協議している」と述べた。公開討論会の開催後にも意見集約を行うかどうかに関しては、「決まったことはない」として、「意見集約の過程を見極めながら検討する」と明らかにした。
 現在、解決策は行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が賠償金を肩代わりする方向に事実上絞り込まれた。争点は財源の確保に日本企業、特に被告企業が参加するか、そして被告企業か日本政府が謝罪を表明するかだ。韓国政府は両国が同時に解決策を発表する形ではなく、韓国が解決策を示せば日本側が「呼応措置」を打ち出すよう交渉しているとされるが、日本が応じるかは未知数だ。
 日本が呼応するかどうかは解決策を巡って被害者の同意を得るための最大の鍵となる。被害者が同意しない場合、韓国政府がどのような手続きを踏むかも注目される。
 債務者の債務を免除せず第三者が同一の債務を引き受ける「併存的債務引き受け」は債権者(被害者)の同意が必要ではないとの見解もある。だが、法曹関係者の間でも意見が割れており、被害者の激しい反発や国内世論の悪化は避けられないとみられる。


「中央日報日本語版」 2022.12.29 15:36
■韓国首相「強制徴用被害者賠償金弁済方案、確定したものはない」
 韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)首相は29日、ソウル世宗路(セジョンノ)政府ソウル庁舎で開かれた記者懇談会で行政安全部傘下の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が日帝強制徴用被害者に判決賠償金を弁済する方案に対して「現在のところ方針が確定したものはない」とし「すべての利害当事者、または交渉当事者との議論を一通り経てから決定しなければならない」と述べた。
 これに先立って外交部主導で進められた官民協議会は民間が用意した財源で財団が日本企業の代わりに被害者に賠償金を支給する方案を有力に議論していた。これに対して強制徴用被害者は「日本企業を免責する方案」としながら反発している。
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「強制徴用被害者側、第三者弁済を拒否…解決どころか法律紛争継続も」

2023年01月16日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2023.01.14 10:02
■強制徴用被害者側、第三者弁済を拒否…解決どころか法律紛争継続も
 強制徴用解決案を準備するための公開討論会で政府と被害者の葛藤が深まっている中、韓日外相が13日、電話で関連問題を議論した。韓国外交部は「(双方は)強制徴用問題など韓日間の懸案と相互関心事について意見を交換し、今後も韓日関係の発展および諸般懸案の解決のために外交当局間で緊密に意思疎通していくことにした」と伝えた。
 訪米中の林芳正外相はこの日、米ニューヨークで記者らに対し、韓国政府が進める強制徴用解決案に関連して「韓国国内の動きの一つ一つについてコメントすることは差し控えたい」とし「1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な形に戻し、さらに発展させていくため、韓国政府と緊密に意思疎通をしていく」と述べた。
 日本側は韓国政府が進める強制徴用解決案を「現実的な代案」と評価する雰囲気だ。共同通信は12日、日本政府関係者の言葉を引用し、「韓国の財団(日帝強制動員被害者支援財団)が肩代わりした賠償金の返還を被告日本企業に求める求償権を放棄する場合、日本企業による財団への寄付を容認する案が日本政府内で浮上している」と報じた。
 問題は強制徴用被害者側の激しい反対だ。被害者側は支援財団が基金を募金して賠償金を支給するとしても受領しない方針だ。損害賠償金を支給すべき主体は第三者である財団ではなく日本戦犯企業という理由からだ。被害者側は戦犯企業の基金出捐と日本側の謝罪が前提になってこそ、政府の今回の解決案を受け入れるという立場を固守している。
 賠償金を肩代わりしようとする支援財団とこれを拒否する被害者側の衝突は結局、裁判所供託手続きに帰結する可能性が高い。この場合、支援財団は賠償金を裁判所に供託して法的に債務を終結させようとするはずで、これに対抗して強制徴用被害者側は「供託無効訴訟」を提起する可能性がある。強制徴用問題の解決案は結局、問題を解決できないまま別の形態の法律紛争につながるという懸念が出ている理由だ。
 外交筋は「強制徴用被害者が第三者の弁済を拒否することで供託手続きに突入する瞬間、政府の解決案は被害者を満足させることができなかったという点を公開宣言する意味を持つことになる」とし「さらに被害者側がまた訴訟を提起して新しい法律争いが始まれば、政府は解決案を発表したものの本来の問題は解決されずに葛藤が続く混乱した状況が続くだろう」と話した。
 政府と支援財団は被害者側との法律紛争などを懸念し、ひとまず賠償金は準備しておくものの、実際の支給は日本企業の出捐が確定した後に先延ばしする案を検討している。被害者側が韓国企業の出捐金を活用した第三者弁済を「屈辱的解決案」と批判する状況を意識した措置だ。こうした案が実現すれば、強制徴用被害者に支給される賠償金の性格は「韓国企業のお金」から「韓国・日本企業が共に出捐したお金」に変わる。財団側は日本企業が基金出捐に参加するまで弁済を猶予するこうした案が日本側の呼応措置を促す効果につながる可能性があるとみている。


「中央日報日本語版」 2023.01.14 11:41
■ポスコ「日帝強制動員支援財団の寄付金出捐要請あれば検討」
 ポスコが13日、日帝強制動員被害者支援財団に対する寄付金出捐に関連し「政府と財団から公式的な要請があれば手続きを踏んで検討する計画」と明らかにした。続いて「寄付金を出捐してほしいという政府・財団の要請はまだない」と伝えた。
 韓国政府は前日の討論会で、韓国大法院(最高裁)の賠償確定判決を受けた徴用被害者が日本被告企業の代わりに日帝強制動員被害者支援財団から判決金の弁済を受けることが可能だとし、「第三者弁済」解決案を事実上公式化した。これを受け、どの企業が寄付に参加するかに関心が傾く状況だ。
 まず注目されるのがポスコだ。韓国政府は1965年に韓日請求権協定を締結しながら、対日請求権を放棄する代わりに5億ドルの経済協力資金を受けた。この一部が企業支援資金として使用されたが、代表的な支援対象が当時の浦項(ポハン)総合製鉄だった。ポスコの前身の浦項総合製鉄には全体請求権資金の24%に相当する1億1948万ドルが投入された。ポスコは2012年に財団に100億ウォンを出捐すると約束し、2016年と17年にそれぞれ30億ウォンずつ現在まで計60億ウォンを出捐した状態だ。
 ポスコグループの関係者は「当時の出捐約束は強制徴用とは関係ない人道的レベル」とし「残りの40億ウォンの出捐に関する部分も公式要請があれば手続きを進める」と説明した。
 ポスコのほか韓国道路公社、韓国鉄道公社、外換銀行、韓国電力公社、KT、KT&G、韓国水資源公社など10社が請求権資金の恩恵を受けた企業に該当する。外換銀行の場合、原材料導入などのために請求権資金で最も多い1億3200万ドルが投入された。外換銀行の関係者は「当時は外換銀行が国策銀行だったが、今は状況が違う」とし「寄付金に関するいかなる要請もなかったし、関連の内部検討もしたことがない」と伝えた。
 韓国産業化の大動脈の役割をした京釜(キョンブ)高速道路建設事業も日本の請求権資金のために可能だった。韓国道路公社は「政府の賠償方式が確定すれば内部検討に着手する」と明らかにした。
 KT&Gも具体的な賠償方式が確定していないため状況を見守っているという立場だ。KT&Gは前身の専売庁当時に請求権資金を一部が支援され、事業資金として活用したが、当時の資金がどこに使われたかに関する資料は残っていないという。


「聯合ニュース」 2023.01.13 21:14
■ポスコ 徴用被害者支援財団から要請あれば拠出検討
【ソウル聯合ニュース】韓国鉄鋼大手のポスコは13日、韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」への拠出について「政府と財団から正式に要請があれば手続きを経て検討する計画」と明らかにした。

【写真】徴用問題の解決策を議論するための公開討論会が12日にソウルの国会議員会館で開かれた=(聯合ニュース)

 日本による植民地時代の徴用問題を巡り、韓国政府は徴用被害者が日本企業からの賠償に代わり第三者から弁済を受けることが可能との認識を示している。財源確保のための寄付にどの企業が参加するかに関心が集まっている状況だ。
 ポスコは韓日請求権協定に基づいて日本から支払われた資金で設立された代表的な企業。2012年に財団に100億ウォン(約10億円)の拠出を約束した。16年と17年に30億ウォンずつ、計60億ウォンを拠出した。
 ポスコの関係者は「当時の拠出の約束は徴用問題とは関係のない人道的レベルのものだった。残りの40億ウォンの拠出についても正式に要請があれば手続きを進める」と説明した。


「The Hankyoreh」 2023-01-14 09:12
■「日本のための屈辱的な強制動員解決策、廃棄せよ」ろうそくを持った韓国市民たち
 「人権のために闘った被害者を『債権者』扱い」 
 主権を損なう政府の賠償案に反対

【写真】13日夕方、複数の市民団体からなる「歴史の正義と平和な韓日関係のための共同の行動」のメンバーがソウル世宗路のファイナンスビルの前で尹錫悦政権の屈辱的な強制動員解決策を糾弾するろうそく集会を開いている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 日本の謝罪や賠償責任なしに、韓国政府が財源を用意し強制動員被害者への支払いを肩代わりする賠償案が公式化された。これを受け13日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を糾弾する市民のろうそく集会が開かれた。
 この日午後7時、雨が降るなかソウル中区のソウルファイナンスセンターの前に集まった市民たちは、明かりの灯ったろうそくを持ち、「尹錫悦政権の屈辱外交を糾弾する」「日本のための強制動員解決策、廃棄せよ」というシュプレヒコールを叫び、政府の対応を批判した。12日、外交部と韓日議員連盟のチョン・ジンソク会長が共同主催した「強制徴用解決策を議論するための公開討論会」で、政府は、日帝強制動員被害者支援財団が韓日請求権協定(1965年)で恩恵を受けた韓国企業から賠償金財源を集め、「債権者」である強制動員被害者に支給する「並存的債務引受」案に言及し、論議が広がった。
 その討論会に参加した民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長はこの日発言し、「政府は、80年あまりにわたり被害者が日本と闘ってきた努力を2時間の討論会で終わらせようとした。人権の尊厳のために闘争し一生闘ってきた方々を、単なる債権者に転落させた」と批判した。さらにキム氏は「最高裁の勝訴判決を勝ち取った被害者が、日本の謝罪の証拠として受け取らなければならない賠償金に対して、あたかも被害者が乞うているかのように『日本にこれ以上期待するな』と言う。被害者は怒るのは当然だ」と批判した。

【写真】13日、ソウル中区のファイナンスセンター前で開かれたろうそく集会で、市民たちが尹錫悦大統領と日本の岸田首相が「歴史の審判」を受ける様子のパフォーマンスを行っている=写真:チャン・イェジ記者//ハンギョレ新聞社

 政府の賠償案は、司法主権を損なうものだとする指摘も出てきた。慶北大学法学専門大学院のキム・チャンロク教授は「被害者たちは、韓国の法廷で日本の戦犯企業と争い勝訴確定判決を勝ち取り、それにしたがって日本企業は損害賠償をしなければならない。これを履行しないのであれば、強制執行をしなければならない。だが、政府はそれをしてはならないと言う。主権国家として政府がそのようなことを言うという事実自体が驚くべきことだ」と述べた。また、「日本政府は、韓国の最高裁判決は国際法違反であり、日本の朝鮮半島支配は合法であり、そもそも強制動員はなかったと主張しているが、尹錫悦政権の解決策は、そのような日本政府の主張をそのままにしておこうとするもの」だとした。
 世宗大学の保坂祐二教授は、韓国政府が出した賠償案に対する日本の雰囲気も伝えた。保坂教授は「韓国政府は、あたかも政府が先に(賠償案の問題を)解決すれば、日本企業が謝罪し寄付金も出すかのように約束するが、日本はまったくそうではない。あまりに食い違う話が韓日双方から出ているが、これは韓国国民を愚弄するものだ」と述べた。保坂教授はさらに、「韓国政府は、韓米日の軍事安全保障の協力に集中し、これを邪魔する人権問題は軽視または無視するしかないという考えのようだが、大韓民国は人権を無視して戦争に行くための準備ばかりに没頭してはならない」とも主張した。
 この日の集会に参加した市民たちは、尹錫悦大統領と日本の岸田首相の仮面をかぶり、裁判で使う木槌で「歴史の審判」を受ける様子のパフォーマンスも行った。
チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1075664.html
韓国語原文入力:2023-01-14 00:32


「The Hankyoreh」 2023-01-14 07:35
■日本側、自国抜けた尹政権の「強制動員解決策」に「受け入れる余地はあるが…」
 「韓国側が日本の主張に歩み寄った」と評価 
 韓国内部の反発を課題として指摘

【写真】強制徴用被害者の関係者たちが12日午前、国会議員会館で行われた強制動員解決策を議論する公開討論会で強く抗議している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国外交部が韓日関係の最大懸案である強制動員被害者賠償問題の解決策として、日本側の参加のない第3者による補償を内容とする案を公開したことについて、日本側は受け入れる余地はあるが尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が内部の反発を押し切って実行できるかを見極めるという反応を示した。強制動員被害者が求める日本の謝罪と被告企業の賠償参加については応じることができないという方針を再度明らかにした。
 読売新聞は13日、外交部が公開した解決策について「韓国政府が(強制動員被害者賠償過程で)原告の求める日本企業の資金拠出や謝罪を引き出すことが事実上難しいことを認めた」と報じた。日本政府高官は同紙に、「(韓国の解決策について)受け入れる余地がある」と述べた。ただし同紙は「韓国の国内では、訴訟の原告らが反発しており『尹錫悦政権が実行に移せるかは予断は許さない』との見方も出ている」と報道した。
 日本側は、尹錫悦政権が内部反発にもかかわらず、この案を実行できるかを見極める構えだ。同紙は「日本政府は広島市で5月19~21日に開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)へ尹大統領の招待を検討していることから、尹政権は、遅くともサミット前に最終的な解決策の発表を目指すとの見方がある。尹氏が、どのような政治決断を下すのか注目が集まっている」と報じた。
 日本経済新聞は「日本は1965年の日韓請求権協定を踏まえ『解決済み』との立場を貫いてきた。韓国側が日本の主張に歩み寄った」と評価した。同紙は「日本政府は外交当局間の協議を進めつつ、韓国国内がこの案を受け入れるかを見極める」と報じた。それと共に「4年後に革新系への政権交代が起これば、再び方針も変わりうる」と付け加えた。
 外交部は「政府案」を発表し、日本側に「誠意ある呼応」を引き続き求めていく方針を明らかにしたが、実現可能性は低いものとみられる。日本外務省の幹部は朝日新聞に「解決に向けて進めたいが、日本としては譲れないものは譲れない」と語った。毎日新聞も政府関係者の話として「原告側が望む日本企業による謝罪や賠償は受け入れない考え」だと報道した。
 日本政府は今回、強制動員被害者問題を完全に終結させなければならないと考えている。日本政府関係者は産経新聞に「日本企業に債務がないことをはっきりさせ、不可逆的なものにしなければならない」と述べた。韓国側が言及した日本政府が過去に表明した「痛切なおわびと反省」などが盛り込まれた談話の継承については、「過去の談話の範囲内なら問題ない」(日本政府関係者)という立場だ。
 韓国外交部は12日に行われた「強制徴用問題の解決策を議論するための公開討論会」で、強制動員被害者賠償問題の解決策として、行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団が財源を用意し、日本企業の代わりに被害者に返済する案を公式化した。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1075577.html
韓国語原文入力:2023-01-13 12:52


「The Hankyoreh」 2023-01-14 08:10
■韓国野党第1党代表、政府の強制動員賠償案に「第三者供賄罪ではないか」

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が13日午前、国会で開かれた最高委員会議で発言している/聯合ニュース

 韓国の野党第1党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は、政府の日帝強制動員「第三者返済」方式に対して「屈従外交」、「第三者供賄罪」だとして強く批判した。
 イ代表は13日、国会で開かれた最高委員会議で、「日本の戦争犯罪に免罪符を与え、韓国企業に賠償責任を転嫁しようとする容認できない方式だ」だとし、「被害者が『謝れ、責任を取れ』と言っているのに、横から財布を取り出して被害者に『いくら必要なのか』と言うのと同じようなもの」だと述べた。そして、「日本との関係改善のためなら何でも差し出すという態度に見えるが、このような低姿勢の屈従外交は直ちにやめるべきだ」と語った。これに先立ち、政府は12日、強制動員問題の解決策を議論するための公開討論会で、行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団が韓日請求権協定で恩恵を受けた国内企業から寄付を募って基金を作り、日本の戦犯企業が支払うべき賠償金を肩代わりする案を公式化した。
 イ代表は同日「国内企業に国がすべきことを代わりに果たすよう拠出を求めるならば、いま検察が無理に主張している第三者供賄罪に当たるのではないか」とも述べた。「城南FC後援金疑惑」事件を捜査中の検察がイ代表に適用しようとしている第三者供賄罪を取り上げて政府を批判したのだ。
チョ・ユニョン、シム・ウサム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1075596.html
韓国語原文入力:2023-01-13 14:25


「The Hankyoreh」 2023-01-14 07:21
■「強制動員屈辱解決策」に高まる怒り…韓国政府はアクセルべた踏み

【写真】尹錫悦大統領が11日午前、青瓦台迎賓館での2023年度の外交部と国防部による業務報告で、国旗に敬礼している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 日本政府の新たな防衛戦略を擁護するとともに、韓国企業による寄付金で日帝強制動員被害者に対する賠償を決着させるとする尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と政府に対する懸念が高まっている。世論を見極めぬまま韓日関係の改善を急げば、大きな反発を招くだろうと指摘する声があがっている。
 パク・チン外交部長官は13日、日本の林芳正外相と電話で会談し、日帝強制動員被害者問題などの懸案について協議した。外交部の当局者は「両外相は強制徴用問題などの韓日間の懸案、および相互の関心事について意見を交換した」と語った。強制動員の解決策作りのための公開討論会を終えたまさにその翌日に日本側と意見交換を行うという対応の早さだ。
 外交部は前日に国会で行った討論会で、日本製鉄など賠償責任のある日本の戦犯企業に代わって韓国企業が出す寄付金によって強制動員被害者に賠償するとの内容を盛り込んだ案を発表した。外交部はその席で、日本の戦犯企業の謝罪と賠償がなくてもこの方針を履行すると述べた。被害者側は「日本を直ちに免責するもの」と反発した。
 日本の立場に立ったような発言は、尹錫悦大統領からも飛び出している。尹大統領は11日、日本政府による防衛費増額について、「頭上にミサイルが飛び交い、核が来る可能性があるが、それを防ぐのは容易ではない。誰がとやかく言えるだろうか」と語った。防衛費増額と敵基地攻撃能力の強化を盛り込んだ日本政府の新たな国家安保戦略(NSS)を事実上擁護した発言だった。

【写真】強制徴用被害者の関係者たちが12日午前、国会議員会館で行われた強制動員解決策を議論する公開討論会で強く抗議している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 専門家たちは、米中対立の激化と南北の緊張の高まりの中で「韓米日協力の強化」基調を掲げる尹錫悦政権が対日関係の回復を急いでいると指摘する。
 国立外交院のキム・ジュンヒョン前院長は、「尹錫悦政権発足以降、韓国外交は米国と日本しかなくなった」とし「韓米日が今のようにまとまれば、朝中ロも互いにまとまらざるを得ないし、そうなれば朝鮮半島は新冷戦構図のど真ん中に入っていくことになる」と指摘した。ムン・ヒサン元国会議長もこの日のハンギョレと文化放送(MBC)ラジオとのインタビューで、外交部の強制動員解決策について、「国会と被害者の同意をすっ飛ばして強制動員問題が解決できると考えているなら、大きな勘違いだ。政府は何か日程に合わせようとしているかのように焦って事を進めているが、そのように進めてはならない」とし「(後に)影響が広がっていくと思う」と語った。
 政府は韓米日協力という大前提から外れる強制動員問題などは付随的なものと考えているとの指摘もある。ソウル大学日本研究所のナム・ギジョン所長は「韓日関係の復元という大きな青写真をまず描いておいて、そこに強制動員のようなパズルを合わせていっているのだと思う」とし「問題は日本の岸田文雄首相の支持率が低く、日本が譲歩できる状況ではないため、韓国が一方的に譲歩するかたちへと向かっていること」だと語った。
 こうした批判に対し、大統領室の高官は「まだ最終的に決まってはいないため、憂慮と批判に対する立場もない」と述べた。
 共に民主党は政府の強制動員解決策を強く批判した。イ・ジェミョン代表は、「大統領にしてからが日本の顔色ばかりをうかがう屈従外交を続けていることで、強制徴用(動員)被害者への賠償問題が非常に誤った道を進んでいる。日本との関係改善のためなら何もかも差し出すという態度を示す低姿勢屈従外交は直ちにやめるべきだ」と述べた。被害者側と韓日歴史正義平和行動はこの日、ソウル中区(チュング)のファイナンスビル前で、屈辱的な強制動員解決策発表に反対するろうそく集会を行った。
シン・ヒョンチョル、キム・ミナ、チョ・ユニョン、シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1075647.html
韓国語原文入力:2023-01-13 17:26


「The Hankyoreh」 2023-01-13 06:56
■「日本の基金参加、期待してはならない」…強制動員被害者から「売国奴」との怒号も
 日帝強制動員問題の解決策模索するための公開討論会場、抗議やヤジで飛び交う中 
 日本の謝罪抜けた「第3者返済案」に被害者間の意見の相違も

【写真】強制徴用被害者の関係者たちが12日午前、国会議員会館で開かれた強制徴用解決策を模索するための公開討論会で、強く抗議している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 12日、国会で開かれた日帝強制動員の解決策を模索するための公開討論会では、討論者たちの発言と被害者たちの抗議と野次が入り混じっていた。
 外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長が討論会で「第3者賠償案」を発表した後、民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長と被害者代理人であるイム・ジェソン弁護士が政府案の問題点を一つひとつ一批判すると、傍聴席からは「そうだ」という同意と共に拍手が沸き起こった。一方、政府案に同意する被害者たちは野次を飛ばした。日本の戦犯企業を相手にした訴訟に参加していない一部の被害者は、最高裁(大法院)の判断で戦犯企業の資産が現金化すれば、事実上賠償を受ける道がなくなるため、(原告たちとは)意見の相違がある。彼らは討論会場に「(裁判の原告)15人だけが被害者なのか」という垂れ幕を掲げた。
 討論者である高麗大学のパク・ホンギュ教授が「もう日本の謝罪と基金参加のようなものに期待を持ってはならない」と主張すると、被害者たちからは「売国奴」との怒号が飛んだ。チェ・ウギュン弁護士が請求権協定で恩恵を受けた韓国企業が日本の戦犯企業の賠償金を肩代わりするという政府案の法理を説明すると、被害者たちは「徴用は違う」と反発した。チェ弁護士は結局、最後まで発言を続けられず、討論が終了した。
 傍聴席にマイクが渡ると場内はさらに騒がしくなった。政府側の意見に同意するある被害者が、1965年の韓日請求権協定締結の際、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が行った発言を長々と説明すると、反対側が強く反発し、主催側は「正常な進行が難しい状況だ」とし、2時間以上続いた討論会を急いで終了させた。最後まで発言を続けられなかった人がマイクを投げつけたり、出席者たちは壇上に駆け上がって抗議したりする場面もあった。
 被害者側は討論会場の外でも声を高めた。同日の討論会に先立ち、韓日歴史的正義平和行動などの市民団体と、野党「共に民主党」のキム・サンヒ議員、ナム・インスン議員、ヤン・ギデ議員、イ・スジン(比例)議員や正義党のカン・ウンミ議員、無所属のキム・ホンゴル議員、ユン・ミヒャン議員などは国会本庁階段前で尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の強制動員被害者賠償案を批判する「非常時局宣言」記者会見を行った。討論会が拙速だとして出席を拒否した日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は記者会見で、「お金だけが目的ならば、このような闘いをしてこなかっただろう。三菱が謝罪し、賠償すべきだ。他の人が肩代わりした賠償金をもらうなんて、無様すぎる。日本が私をどれほど馬鹿にするだろうか」という強制動員被害者のヤン・クムドクさんの発言を伝えた。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075491.html
韓国語原文入力: 2023-01-13 02:44


「The Hankyoreh」 2023-01-13 10:14
■日本の戦犯企業の賠償金、韓国企業が返済するという「日本のための解決策」
 尹錫悦政権「第三者返済」公式化

【写真】「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動」と野党国会議員らが12日午前、国会本庁前の階段で開いた「尹錫悦政権の屈辱的強制動員解決法反対!非常事態宣言」で政府の強制動員問題の解決策は拙速だと糾弾している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、最高裁の確定判決を受けた日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者に対する賠償を、加害戦犯企業の謝罪と賠償への参加なしに、第三者(日帝強制動員被害者支援財団。以下、支援財団)を通じて履行する方針であることを明確にした。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、韓米日協力の基本方針を強化し、強制動員問題を急いで解決しようとしているが、被害者側は強く反発しており、法的弱点を指摘する声も強く、論議はよりいっそう広がる兆しをみせている。
 外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長は12日、外交部と韓日議員連盟のチョン・ジンソク会長が国会議員会館で共同主催した「強制動員解決策の議論のための公開討論会」に発表者として出席し、強制動員被害者の賠償問題を「法定債権」と表現した。また、法律検討を経て「被告である日本企業の代わりに第三者が返済」する可能性があることを確認したと強調した。強制動員問題は日帝の不法な植民地支配から派生したにもかかわらず、2018年に最高裁が日本の戦犯企業の賠償責任を認めた「民事事件」という側面だけを浮上させたわけだ。これは、「最高裁で確定判決され、判決債権者が法にともなう補償を受けとることになっている。日本が懸念する主権問題の衝突なしに債権者が補償を受けられるような案を、現在、詳細に検討している最中」だとして強制動員被害者を債権者と規定した尹錫悦大統領の認識(就任100日目の記者会見)にも相通じる。
 ソ局長はさらに「第三者による返済がなされる場合、支援財団が望ましい主体」だと述べた。これは、政府がすでに言及していた、いわゆる「第三者による重複的・並存的債務引受」を最終解決策としていることを意味する。最高裁の確定判決により賠償責任を負った日本の戦犯企業の「債務」を、「第三者」である支援財団が引き受けた後、ポスコなど1965年の韓日請求権協定で恩恵を受けた企業から寄付金を集め、被害者に代理で賠償する方式だ。
 特にソ局長は、日本政府の追加の謝罪に加えての戦犯企業の賠償参加は「事実上難しい」と述べた。被害者側がこれまで要求してきた2つの重要な前提をすべて避けるという話だ。支援財団のシム・ギュソン理事長も「請求権資金の恩恵を受けた企業から基金を募ることになるだろう」とし、具体的な履行案まで提示した。支援財団は、強制動員被害者への賠償などを事業目的に加える方向に定款を変更し、9日に行政安全部の承認を受けるなど、「第三者債務引受」のための事前準備まで済ませている。
 ソ局長は「この問題が2012年の最高裁で破棄差戻しされてから10年がたった。確定判決を受けた15人のうち生存者は3人だ」と述べ、「現政権も適当に交渉して持ちこすことはできるが、政府が勇気を出し、(解決策を摸索)しているもの」だと説明した。外交部当局者はこの日、「討論会で明らかにしたものは、政府の最終案でない」と述べたが、前日にパク・チン外相は、今回の討論会を解決案作成のための「最後の重要イベント」と規定した。韓日当局間の協議を経て「日本の参加がない第三者返済」案がまもなく公式に発表されるという見通しが有力だ。
 被害者団体側は「加害者の謝罪も賠償参加もない政府解決策は、屈辱的であり没歴史的」だと批判した。討論会に参加したイム・ジェソン弁護士(法務法人ヘマル)は「韓国企業の資金で韓国の被害者の債権を消滅させるという政府案は、日本側にいかなる負担も負わせないという意味」だと批判した。
 政府案の法的弱点を指摘する声も強い。支援財団が賠償をするためには、日本の加害企業と債務引受約定を結ばなければならない。だが、日本側は債務の存在(不法行為)自体を認めずにいる。
 支援財団が定款を変更したことについては、「施行令で法律を無力化させた事例の典型」だとする評価が出ている。チェ・ボンテ弁護士(法務法人サミル)は「財団の設立根拠である『強制動員調査法』は『死亡した者を追悼し、歴史的意味を再確認して平和と人権を伸張』することを事業目的と規定している。親法が付与した権限を越える定款変更は無効」だと述べた。
 財団が請求権協定で恩恵を受けた企業側に基金を要求することは「権限外の不法行為」だとする指摘もある。慶北大学法学専門大学院のキム・チャンロク教授は「最高裁判決の重要な部分は、日帝による朝鮮半島の植民地支配は不法な強制占領であり、そこから派生した強制動員は請求権協定の適用対象ではないということ」だとしたうえで、「財団は、請求権交渉で恩恵を受けた企業側に基金参加を要請する法的権限がないだけでなく、当該企業が財団の要請で基金に参加すれば『背任』に該当しうる」でと指摘した。
チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075573.html
韓国語原文入力:2023-01-13 07:00


「中央日報日本語版」2023.01.13 07:59
■被害者「日本、負担もせず謝罪もない」討論会で怒声・ヤジ

【写真】強制徴用解決案を議論するための公開討論会が12日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)国会議員会館で開かれた。討論会の出席者がポスコ拠出金に反対する内容の垂れ幕を掲げている。キム・ソンリョン記者

 12日に国会で開かれた公開討論会は傍聴席から怒声やヤジが続き、騒然とした雰囲気の中で進行された。特に被害者側が要求してきた日本戦犯企業の賠償参加、日本企業・政府の謝罪などが、政府の解決法に明確に示されていないからだ。
 日帝強制動員市民会と三菱勤労挺身隊訴訟代理人団はこの日、討論会に参加しなかった。「外交部が保安を理由に主要内容さえも提供しないなど被害者を中心にしない討論会は中断すべきだ」と主張しながらだ。
 討論会に出席した被害者側のイム・ジェソン法務法人ヘマル弁護士は「過去に政府は韓日の政府と企業が共に賠償に参加する『2プラス2案」、または韓日の企業が参加する『1+1案』を提示したが、今回出した案は日本は全く負担せず今後の日本側の呼応も担保できない『2+0解決法』だ」と指摘した。政府が韓日関係の改善を急ぐあまり、韓国政府が主導して韓国企業だけが参加する解決法を出したということだ。
 イム弁護士は「日本は遺憾または謝罪表明なく過去の談話の確認に終わる」とし「外交部がこれまで話してきた日本の『誠意ある呼応』は果たして何だったのか、今後、日本の基金出捐を担保する合意文でもあるのか尋ねたい」と問いただした。
 民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「被害者の方々は青春を取り戻す手段がないため謝罪を話す」とし「日本の誠意ある謝罪が重要だ」と強調した。続いて「政府がすでに答えを決めておいて要式行為として討論会をするのではなく、必ず光州(クァンジュ)被害者団体も参加した中で全員が同意できる案をまた議論しなければいけない」と要求した。この日の討論会は関係者の意見を聞く事実上最後の手続きと見なされた。
 討論会は後半に入ると騒々しくなり、結局、傍聴席に座っていた一般参加者の意見を聞けずに終わった。趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官は終了後に記者らに対し「今日出てきた話を朴振(パク・ジン)長官に報告し、相談して(今後の日程を)決める」と話した。
 一方、この日の討論会に参加しなかったイ・グクオン日帝強制動員市民会代表は中央日報の電話で「政府が韓国企業からお金を受けて代わりに弁済すれば、大法院(最高裁)の判決が間違っているという日本政府の主張を認めること」とし「政府は渡ってはいけない危険な川を渡ろうとしている」と批判した。


「AFP」 2023年1月12日 19:32 発信地:ソウル/韓国
■元徴用工問題 原告側支援者らが韓国政府の解決策に抗議

【写真】韓国・ソウルの国会前で、元徴用工問題をめぐる政府の解決策を批判する原告側支援者や野党議員(2023年1月12日撮影)。(c)Jung Yeon-je / AFP

【1月12日 AFP】韓国・ソウルの国会前で12日、元徴用工問題をめぐる政府の解決策を批判する原告側支援者や野党議員が、政府の公開討論会に合わせて抗議デモを行った。
 デモ参加者は、「尹錫悦(ユン・ソンニョル、Yoon Suk-yeol)政権の元徴用工問題への屈辱的な解決策に抗議する」といった文言が書かれたプラカードを掲げていた。
 韓国政府は同日、元徴用工問題の解決に向け、被害者が日本企業から直接ではなく、第三者を通じて補償を受ける案を検討していると表明した。
 韓国は北朝鮮の脅威に対抗していく上で、日本との関係改善を模索している。


「聯合ニュース」 2023.01.12 15:45
■韓国政府 徴用問題で「日本企業の賠償肩代わりも可能」=被害者側は猛反発
【ソウル聯合ニュース】韓日関係の最大の懸案となっている徴用訴訟問題を巡り、韓国外交部と超党派の韓日議員連盟の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)会長は12日、問題解決に向けた公開討論会を共催した。政府は韓国の徴用被害者が日本企業からの賠償に代わり第三者から弁済を受けることが可能との認識を示したが、被害者側は改めて政府案に激しく反発した。

【写真】ソウルの国会議員会館で開かれた公開討論会=12日、ソウル(聯合ニュース)

 討論会で外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長は「債権債務履行の観点から、判決金(賠償金)は法定債権として被告である日本企業の代わりに第三者が弁済可能ということが(これまでの官民協議会で)検討された」と説明した。
 第三者による弁済を行う場合、政府として原告の被害者と遺族に直接説明し、受け取りの意思を尋ね、同意を求める過程を必ず経ると強調した。主体は政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」とする方向だ。
 日本側の謝罪に関して徐氏は「日本がこれまでに表明した(歴史問題での)痛切な謝罪と反省を誠実に維持、継承することが重要だ」と述べた。この発言は、徴用問題に対する直接の謝罪でなく、日本政府がこれまでに示した反省の姿勢を確認する程度にとどまる可能性を示唆したものとみられる。
 また徐氏は、両国の立場が対立する状況では被告企業の賠償金支払いは事実上困難なことを官民協議会の出席者と被害者側も分かっているようだとし、「創意あるアプローチが必要になる」と述べた。
 日本企業はいかなる形だろうと賠償金支払いのための資金の拠出に応じようとしていない。被害者への支払いの財源に関し、日帝強制動員被害者支援財団の沈揆先(シム・ギュソン)理事長は「財団がこの問題に関わる機関となる場合、まずは請求権協定で恩恵を受けた企業の基金を用いることになりそうだ」と述べた。
 1965年に締結された韓日請求権協定により日本からの資金で設立された韓国鉄鋼大手ポスコなどの拠出を指す。沈氏はまた、今回対象となる判決以外の徴用被害者全体のための解決策として特別法の制定を提案した。
 一方、討論会に出席した被害者側は政府案に反対する姿勢を明確にした。被害者の代理人を務める林宰成(イム・ジェソン)弁護士は、韓国が日本企業の賠償を肩代わりする代位弁済などを「本質をごまかす、ゆがんだフレーム」と指摘し、政府案に対し真剣な討論を重ねる必要があるとした。日本側の謝罪は以前の談話をなぞる程度にとどまるとの懸念も示した。 
 民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「韓国が先に資金を拠出して日本の呼応を待つというのは、残念ながら日本に免責を与えることではないか」と問題提起した。
 専門家の間では意見が分かれている。日本の謝罪と資金拠出を現実的に期待できない状況では「重畳的債務引受」が解決策になるとの意見もあれば、政府が解決を急ぎすぎているとの声も上がる。
 政府は問題解決が急務としており、この日の討論会を最後に解決策の正式発表へ進みたい考えだ。ただ、被害者側の反対は依然として激しく、さらに世論の取りまとめに迫られる可能性もある。
mgk1202@yna.co.kr


「聯合ニュース」 2023.01.12 15:03
■徴用被害者支援団体「人権侵害が金の問題に」 賠償肩代わり案批判=韓国
【光州聯合ニュース】韓国政府が12日、韓日関係の最大の懸案となっている徴用訴訟問題の解決に向けた公開討論会で、政府傘下の財団が被告の日本企業の賠償金を肩代わりする案を検討中だと発表したことに対し、原告の徴用被害者の支援団体が痛烈な批判を浴びせた。

【写真】国会前で開いた記者会見で、公開討論会への不参加を巡り発言する李国彦氏=12日、ソウル(聯合ニュース)

 市民団体「日帝強制動員市民の集まり」の李国彦(イ・グクオン)代表は聯合ニュースに「政府が人権侵害の事件を単なる金の問題に転落させた」と主張した。徴用問題は単なる債権・債務の関係ではなく人権侵害事件だとし、「補償は副次的な問題で謝罪が先だ」と強調した。
 また、韓国政府が韓国企業から金を集めて賠償を肩代わりすれば、日本企業に徴用被害者への賠償を命じた大法院(最高裁)の判決が間違いだとする日本政府の主張を韓国政府が認める形になると指摘。「強制動員問題に関するわれわれの主張の根拠と論理そのものを韓国政府が自ら崩すことになる」と懸念を示した。
 政府が検討する財団による賠償肩代わり案は、この日の公開討論会で外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長が発表した。
 同団体と元朝鮮女子勤労挺身隊の訴訟代理人は前日、「外交部が部外秘であることを理由に発題文(発表資料)すら提供していない」として公開討論会の不参加を宣言した。討論会は被害者を脇役扱いするものだとして中止も求めていた。


「聯合ニュース」 2023.01.12 12:15
■徴用解決策「屈辱的」と政府に撤回要求 野党議員と市民団体=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓日間の徴用問題の解決策を探る韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対し、韓国野党の国会議員と市民団体は12日、「屈辱的な解決案を直ちに撤回せよ」と要求した。

【写真】記者会見する野党議員と市民団体=12日、ソウル(聯合ニュース)

 多数の市民団体でつくる「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」と、革新系最大野党「共に民主党」の24人、革新系野党「正義党」の6人、無所属2人の計32議員はこの日国会前で、「非常時局宣言」とする記者会見を開いた。
 日本による植民地時代の韓国人徴用被害者への賠償問題を巡る韓国政府の解決の方向性について、一同は「被害者に対する日本の加害企業の謝罪と賠償が抜け落ちたまま、韓国企業の寄付金だけで判決金(賠償金)を代わりに支払わせる案」と指摘。「司法府の判決を行政府が無力化する措置で、三権分立に反し、憲法を否定するもの」と見なし、「日本の圧力に屈服し、韓国の司法の主権を放棄するも同然だ」と批判した。
 また加害企業からの正当な謝罪と賠償を求める被害者を、寄付金を乞うような立場に追い込み、人権を踏みにじるものだとし、「誰のために韓日関係を正常化しようというのか」と問いただした。
 政府はこの日、徴用問題の解決策を取りまとめるために最後の意見集約となる公開討論会を開催している。


「聯合ニュース」 2023.01.12 12:03
■徴用問題巡りソウルで公開討論会 韓日議連会長「いい加減な解決策望まない」
【ソウル聯合ニュース】韓日関係の最大の懸案となっている徴用問題を巡り、解決策を議論するための公開討論会が12日午前、ソウルの国会議員会館で開かれた。超党派の韓日議員連盟の会長を務める与党「国民の力」の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長は開会の辞で、「いい加減な解決策は望まない」と強調した。

討論会で開会の辞を述べる鄭氏=12日、ソウル(聯合ニュース)
 鄭氏は「大法院(最高裁)が日本企業の賠償責任について言及した2012年5月を起点にすると10年が過ぎた懸案だが、いまだに明確な解決策が打ち出されていない」として、「きょうの討論会は被害者のハン(恨)を晴らすための場」と述べた。
 また「われわれは過去を直視しつつ、未来に向かって進まなければならない」とし、「1998年、(当時の)金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が宣言した『韓日パートナーシップ』の精神を生かし、両国関係を最も良好だった時期に戻すことがわれわれの外交の目標であり、われわれの国益に合致すること」と強調した。そのうえで、「強制徴用問題の解決のためには日本政府と日本企業が担わなければならない部分が明確にある」とし、「韓日両国の誠意のあるアプローチが同時に行われるべきだ」との認識を示した。
 討論会は韓国政府が徴用問題の解決策を発表する前の事実上最後の意見集約の場となる。当初は外交部と韓日議連の共催で開かれる予定だったが、連盟所属の野党議員らが反発し、外交部と鄭氏の共催となった。被害者を支援する一部の団体と三菱重工業を被告とする訴訟の原告代理人らは討論会に参加しなかった。
 韓国政府の解決案としては、行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が韓国企業などから寄付を募り、日本企業の賠償金を肩代わりする案が有力視されている。だが、被害者側は日本企業の拠出や日本政府と企業の謝罪を求めている。


「聯合ニュース」 2023.01.12 14:14
■韓国政府「財団による日本企業の賠償肩代わりも可能」 徴用問題
【ソウル聯合ニュース】日本による植民地時代の徴用問題を巡り、韓国政府は12日、日本企業からの賠償に代わり韓国の徴用被害者が第三者から弁済を受けることが可能との認識を示し、被害者に受け取りへの同意を求めていく方針を明らかにした。外交部と超党派の韓日議員連盟の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)会長が共催した公開討論会で、外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長がこれまでの検討結果として説明した。この日の討論会は徴用問題の解決に向けた事実上最後の意見集約の場で、政府が追って発表する解決策の骨子になるとみられる。

【写真】討論会の開始に当たりあいさつする外交部の趙賢東第1次官=12日、ソウル(聯合ニュース)

 徐氏は「債権債務履行の観点から、判決金(賠償金)は法定債権として被告である日本企業の代わりに第三者が弁済可能ということが(これまでの官民協議会で)検討された」とし、検討を重ねるうち、被害者が第三者を通じて賠償金をまず受け取ってもいいと考えるに至ったと説明した。
 同氏は「政府としては原告の被害者と遺族に直接お会いし、丁寧に説明して受け取りの意思を尋ね、同意を求める過程を必ず経るようにする」と強調した。新たな財団や基金の設立に要する手続きと時間を省くため、行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」を活用するのが望ましいとの意見でまとまったという。
 日本側の謝罪に関しては、被告の日本企業が徴用問題全体を代表して謝罪するのは不可能なこと、韓日間には他にも歴史問題が山積していることに言及した上で、「日本がこれまでに表明した痛切な謝罪と反省を誠実に維持、継承することが重要だ」と述べた。
 また、両国の立場が対立する状況では被告企業の賠償金支払いは事実上困難なことを官民協議会の出席者と被害者側も分かっているようだとし、「この部分では創意あるアプローチが必要になる」との見解を示した。
 日本側は判決履行と映りかねない被告企業による資金拠出を極度に避ける姿勢のため、別の方法を模索するしかないとの認識のようだ。
 被害者が十分に満足できる解決策を見いだすことの難しさに触れた後、「記憶と追悼、研究、重要な人権問題としての未来世代への教育を強化することも役立ち、答えになるのでないかと考える」と述べた。
 また、討論会開会のあいさつに立った外交部の趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官は、大変に難しい問題ながら解決が急がれると繰り返し強調し、「われわれが決断力ある第一歩を踏み出せば、日本もこれに呼応し足並みをそろえて未来に進むことができると期待する」とした。被害者に対しては「忘れない。記憶する」と語りかけ、徴用を巡る議論が今回の判決に関する問題の解決で終わってはならないとも述べた。
 一方、討論会に出席した被害者側は、政府案に反対する姿勢を重ねて示した。

【写真】ソウルの国会議員会館で開かれた公開討論会=12日、ソウル(聯合ニュース)


「The Hankyoreh」 2023-01-12 06:26
■[独自]強制動員支援財団「特別法制定で被害者問題の解決を」

【写真】12日、国会で強制動員問題解決のための公開討論会が開かれる。写真は9月1日、光州市議会市民疎通室で日帝強制動員市民の会が最高裁に意見書を提出した外交部の謝罪を求める記者会見を行っている姿/聯合ニュース

 行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団のシム・ギュソン理事長が、強制動員問題解決法と関連し、「被害者の問題を包括的に解決できる唯一の方法は特別法の制定しかない」と述べた。
 11日、本紙が入手した「強制動員問題の解決に向けた公開討論会」でのシム・ギュソン理事長の発題文によると、シム理事長は年末と年初4日間、強制動員被害者で構成された特別委員会と諮問委員会と面会し、「遺族支援のための特別法、いわゆる『ムン・ヒサン法案』のようなものを作るため、財団が先頭に立つと説明した」とし、このように明らかにした。
 シム理事長が言及した「ムン・ヒサン法案」とはムン元国会議長が2019年12月に代表発議した法案で、記憶・和解・未来財団に韓日両国企業と個人などからの寄付で基金を作り、強制徴用被害者に慰謝料を支給する内容が含まれていたが、最高裁(大法院)判決を形骸化しようとする法案という批判を受け、国会では議決されなかった。
 シム理事長が特別法の制定に言及したのは、寄付によって基金を作り財団が被害者に賠償を行った場合、法的問題が生じかねないと判断したためだ。韓国政府はこれまで強制動員被害者支援のために設立された日帝強制動員被害者支援財団が韓日両国企業の自発的寄付を募り、その金で戦犯企業の日本製鉄と三菱重工業に代わって被害者に支給する「併存的債務引受方案」を進めてきた。問題は財団の設立根拠となる「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者など支援に関する特別法」には財団が被害者に対する補償と賠償問題に関与できる根拠条項がない点にある。財団は定款に「被害者補償および返済」内容を追加したが、親法を越える改正と指摘された。これを踏まえ、ムン・ヒサン法案のように被害者認定の範囲、賠償方式まで全て盛り込んだ特別法を新たに作り、法的な問題を避けようとしているものとみられる。
 シム理事長はこれと関連して「現在、政府が考えている案よりはるかに良い案があるにもかかわらず、それが可能であるにもかかわらず、屈辱的な外交をしているわけではなく、不可能な最善よがりは可能な次善を選ぼうとしているようだと、(被害者に)説明した」と強調した。
 シム理事長は強制動員賠償に使われる財源と関連しても「『社会的貢献』や『企業の社会的責任』(CSR)という側面から自発的に参加するよう誘導することが被害者と企業の互いにウィンウィンする方法」だと強調した。また「請求権協定の恩恵を受けた企業は財団に寄付金を出す法的義務もなく、財団も寄付金を要求する権利がない。しかし被害者たちは当然これら企業の参加を要求し、期待しているのも事実」だと語った。
 外交部は12日、国会議員会館で「韓日強制動員被害者問題の解決に向けた討論会」を開催し、このような案などを公開し、最終的な意見収集に乗り出す予定だ。シム理事長は「財団が特別法の制定のために努力すると公開的に明らかにしたのは初めて」だとし、「私はこの約束を守るために最善を尽くす予定だ。財団内に特別法研究支援チームを作る予定であり、すでに予算も割り当てた」と明らかにした。
 しかし、シム理事長の主張どおり特別法を制定するためには、野党の同意が欠かせない。だが、被害者と野党は戦犯企業の反省と謝罪もなく、損害賠償ではない他の企業の寄付金で賠償金を支給するのは明らかに強制徴用犯罪に免罪符を与えることだとして、併存的債務引受案に反対しており、難航が予想される。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075357.html
韓国語原文入力:2023-01-11 20:37


「聯合ニュース」 2023.01.11 17:37
■徴用被害者支援財団 韓国政府が定款変更承認=賠償肩代わりの根拠に
【ソウル聯合ニュース】韓国行政安全部が、日本による植民地時代の徴用被害者への賠償問題を巡って日本企業の賠償金を肩代わりするために「日帝強制動員被害者支援財団」が届け出た定款の変更を9日に承認し、同財団に通知していたことが分かった。同部の関係者が11日、聯合ニュースの取材に明らかにした。

【写真】2022年12月19日、徴用被害者である梁錦徳(ヤン・クムドク)さんへの「人権賞」(国民勲章)授与が見送られたことに抗議する記者会見を開く韓国市民団体「日帝強制動員市民の集まり」のメンバー(同団体提供)=(聯合ニュース)

 定款の変更は今月2日、諮問を経て先月21日の理事会で決定された内容のままで提出された。
 理事会では定款第1条の設立目的に「被害者に対する補償・弁済・支援など」「国民統合および韓日両国間の過去を直視し、成熟した関係に進むことに寄与する」という文言を追加し、目的事業を規定する第4条に「日帝(日本)の国外強制動員被害者と遺族に対する被害補償と弁済」を新設する案が可決された。これまでの定款には被害者への賠償に関する内容は含まれていなかった。
 行政安全部は今回の定款変更について、財団が民間の財源を用いて賠償金を肩代わりすることが決まった場合に備えた事前準備だと説明している。


「中央日報日本語版」 2023.01.11 14:51
■「被害者を脇役にする」…日本強制動員被害者側が公開討論会ボイコット

【写真】(社)日帝強制動員市民会が11日、オンラインコミュニティーに政府に対する「糾弾声明」と共に載せた写真 ネイバーカフェ キャプチャー

 韓国外交部が12日に日帝強占期強制徴用賠償問題の解決策を模索する公開討論会を開こうとしたが、強制動員被害者と市民団体、代理人団が全面ボイコットを宣言した。
 被害者側は先週まで討論会に参加するという立場だったが、外交部との意思疎通の過程で雑音があり、結局、「被害者を脇役にする粗雑な討論会は直ちに中断すべきだ」として不参加の意思を明らかにした。
 社団法人の日帝強制動員市民会(市民会)は11日、糾弾声明を出し、「悩んだ末、今回の討論会に『不参加』することを決めた」とし「最も重要な当事者である被害者側は今回の討論会に関する基本的な情報さえも受けていない」と理由を明らかにした。
 市民会によると、外交部は討論会前日の11日午前10時まで被害者側に行事の概要や参加者名簿、主要内容など基本的な情報を提供しなかったことが明らかになった。市民会側は「アパート住民総会でもこのようなやり方はしない」とし「国益と直結する重大な問題をこのように追われるようにする理由が気になる」と強く批判した。
 そして「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の一方通行式意思疎通、傍若無人の態度は初めてでない。今回の討論会も政府が一方的に答えを決めておいて、それに合せるものにすぎない」と主張した。
 市民会側は「(強制動員被害者賠償は)加害者の日本被告企業が負うべき賠償金だが、政府は突然、韓国企業から寄付金を集めて原告に支払おうとする」と指摘した。
 これに先立ち外交部は5日、強制動員被害者賠償問題を解決するための公開討論会を国会で開くと発表した。政府は討論会の後、強制徴用関連の解決案を発表し、これに基づいて日本との関係改善も加速するという構想だった。
 しかし討論会開催の過程でも、共同主催者が韓日議員連盟所属の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国民の力非常対策委員長という点などで雑音があった。当初、外交部が韓日議員連盟の支援を受けて討論会を開催すると明らかにしたが、連盟所属の野党議員らは「内部で一度も議論されていない」と否認した。
 さらに当事者の被害者まで最終的に不参加を決め、討論会が不完全な形態で開かれる可能性が高まった。
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「子ども3000万人が急性栄養失調、緊急支援呼び掛け 国連」

2023年01月15日 | 国家・社会
「AFP」 2023年1月13日 18:40 発信地:ジュネーブ/スイス
■子ども3000万人が急性栄養失調、緊急支援呼び掛け 国連

【写真】イエメン西部ホデイダで、治療を受ける栄養失調の子ども(2022年2月15日撮影、資料写真)。(c)Khaled Ziad / AFP
【写真】ケニアのトゥルカナ郡ロドワルの病院で、子どもの診察をする医師。干ばつが深刻化し、多くの人が栄養失調に苦しんでいる(2022年9月26日撮影、資料写真)。(c)Tony KARUMBA / AFP 
【写真】ソマリアの首都モガディシオの病院で、栄養失調の子ども抱く母親(2022年6月1日撮影、資料写真)。(c)Ed RAM / AFP 

【1月13日 AFP】国連(UN)5機関は12日、食糧危機に見舞われている国で子ども約3000万人が急性栄養失調に苦しんでいるとし、緊急支援を呼び掛けた。
 共同声明を出したのは、国連食糧農業機関(FAO)や国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)、世界保健機関(WHO)など。
 声明では、紛争や気候変動、新型コロナウイルスの世界的な大流行や物価上昇により、深刻な栄養失調に陥る子どもが増えていると指摘。最悪の影響を受けている15か国では、子ども3000万人以上が急性栄養失調に苦しんでいる。うち800万人は栄養失調の中で最も致命的な症状とされる重度の消耗症だという。
 15か国とは、アフガニスタン、ブルキナファソ、チャド、コンゴ民主共和国、エチオピア、ハイチ、ケニア、マダガスカル、マリ、ニジェール、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン、スーダン、イエメン。
 共同声明は、「深刻化する危機において、前例のないニーズに手遅れになる前に対応する」ための努力を支援するため、さらなる資金が必要だと訴えている。
 5機関は、食糧や水、公衆衛生などの制度に介入することで、子どもの急性栄養失調を予防、発見、治療する計画。
 FAOの屈冬玉(Qu Dongyu)事務局長は「2023年は状況がさらに悪化する可能性が高い」と述べている。
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「「光州民主化運動での北朝鮮軍介入説」主張したチ・マンウォン氏に実刑確定…懲役2年」

2023年01月14日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2023-01-13 11:35
■「光州民主化運動での北朝鮮軍介入説」主張したチ・マンウォン氏に実刑確定…懲役2年

【写真】5・18光州民主化運動の際に北朝鮮軍が侵入したと主張するチ・マンウォン被告/聯合ニュース

 光州民主化運動に参加した市民を「北朝鮮軍」と称し、名誉毀損の疑いで裁判にかけられたチ・マンウォン被告(81)に実刑が確定した。高齢を理由に下級審の段階で法廷拘束されなかったチ被告は、近いうちに拘禁される予定だ。
 最高裁3部(主審:ノ・ジョンヒ最高裁判事)は12日、情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律違反(名誉毀損)・死者名誉毀損などの疑いで裁判に付されたチ被告に懲役2年を宣告した原審を確定した。
 チ被告は自身が運営するホームページで、5・18民主化運動に参加した光州市民を「光州で活動した北朝鮮特殊軍」という意味で「クァンス(光殊)」と称し、映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の実在人物である故キム・サボク氏に対して「アカ」とレッテルを貼り、名誉棄損の疑惑を受けている。チ被告はカトリック光州大教区の正義平和委員会に対して「共産主義者」と称し、名誉毀損の疑いも持たれている。
 一審はチ被告に懲役2年と罰金100万ウォン(約10万6000円)を宣告した。一審は「(チ被告の行為は)5・18光州民主化運動の歴史的意義と価値を卑下するもので、誹謗の目的が認められる」と判断した。二審もチ被告に対して「罪質と犯情が悪く、犯行回数が少なくない。被害者から許しを受けられておらず、これらの事件に関して反省しているとみられない」としつつも「5・18民主化運動に対する法的・歴史的評価が確立されたため、チ被告の犯行によって5・18民主化運動に対する社会的評価が根本的に変わることはないとみられる」とし、懲役2年を宣告した。ただし、チ被告が高齢である点を考慮して法廷拘束は行わなかった。
 最高裁は「原審の判断に、論理と経験の法則に違反し自由心証主義の限界を越えたり、法理を誤解した誤りはない」として原審判決を確定した。在宅起訴を受けた被告に実刑を宣告した判決が確定し、検察による判決執行手続きだけが残ることになった。チ被告を裁判に付したソウル中央地検は「チ被告に数日以内に出頭するよう告げ、刑を執行する予定」だと述べた。

シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1075446.html
韓国語原文入力:2023-01-13 09:53
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「慰安婦施設の元所長 補助金詐取で懲役2年6カ月の実刑判決=韓国地裁」

2023年01月13日 | 日本軍隊性奴隷
「聯合ニュース」 2023.01.12 18:44
■慰安婦施設の元所長 補助金詐取で懲役2年6カ月の実刑判決=韓国地裁
【城南聯合ニュース】韓国の慰安婦被害者が共同生活する施設「ナヌムの家」(京畿道広州市)への補助金を不正に受け取ったとして地方財政法違反の罪などで在宅起訴された同施設元施設長(所長)の安信権(アン・シングォン)被告に対する判決公判が12日、水原地裁城南支部であり、懲役2年6カ月の実刑判決が言い渡された。判決を受け、安被告は法廷で拘束された。

【写真】ナヌムの家に置かれている慰安婦被害者の胸像(資料写真)=(聯合ニュース)

 同じ罪で起訴された同施設元事務局長2人については、執行猶予付きの有罪判決が言い渡され、160時間の社会奉仕活動が命じられた。
 また寄付金品の募集および使用に関する法律違反などの罪で起訴された同施設の運営母体である社会福祉法人「大韓仏教曹渓宗ナヌムの家」には罰金1000万ウォン(約105万円)の判決が下された。
 地裁は、安被告が個人的に着服した部分はないと主張しているものの、犯行回数、被害規模などから有罪と認められるとし、「慰安婦被害者のための公益的な目的の支援の趣旨を毀損(きそん)し、国民の信頼に背いた」と指摘した。
 起訴状などによると、安被告らは2013年から14年にかけ、「慰安婦被害者資料の管理」を名目に受け取った補助金を職員に給与として支給してから返金させる方式で補助金1800万ウォンを着服した。
 また、特定の業者に12億ウォン相当の工事を依頼する過程で入札に関する資料を偽造し、7億ウォンの工事補助金を地方自治体から不正に受給した。
 そのほかにも書類を偽造し、死亡した慰安婦被害者の遺産約6000万ウォンを法人に寄付させた事実なども確認された。


「中央日報日本語版」 2023.01.10 10:10
■旧日本軍慰安婦被害者の生活施設「ナヌムの家」、後援金流用関連で3次是正命令
 韓国京畿道(キョンギド)が旧日本軍慰安婦被害者の生活施設「ナヌムの家」(京畿広州市)の後援金流用に関連して2件の土地売却など第3次是正命令を出したと9日、明らかにした。
 第3次是正命令が6カ月以内に履行されない場合、社会福祉事業法に基づき法人設立許可が取り消されることもある。
 該当の土地はナヌムの家の駐車場などに使用される農地1008平方メートルと後方の野山6479平方メートル。これらの土地は2015年と16年にそれぞれ3億9000万ウォン、2億ウォンを支払って取得した。
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月給16万円の労働…「酸がはねると爪に丸く穴があくんです」

2023年01月12日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2023-01-12 12:47
■月給16万円の労働…「酸がはねると爪に丸く穴があくんです」
 [2023年、工場を去る] 2022年、20歳のイェリンさんの脱出記 
 生産職に就職したイェリンさん、スヒョクさん 
 低熟練・繰り返し・代替可能な労働… 
 機械・効率万能主義に、退社で「抵抗」

<2023年、60歳のユン・ジョンミンさんは工場を去る。21歳のチェ・イェリンさんはすでに工場を去った。去る時に問いかけた。なぜ韓国は少数の人材だけでなく、多数の労働者が主人公となる成功を夢見ることができないのか。ハンギョレは3回にわたって、平凡な労働者の熟練と価値をかえりみない革新、経済成長が個人と韓国社会に残した不安と警告について伝える。>

【写真】工場労働者として就職した2001年生まれのキム・スヒョクさん(仮名)と2002年生まれのチェ・イェリンさん=カン・チャングァン先任記者、キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 特性化高校卒業、資格あり、仕事に対する情熱もある。2002年生まれのチェ・イェリンさんと2001年生まれのキム・スヒョクさん(仮名)は、2021年にそれぞれの初めての職場に入った。スヒョクさんは現代起亜自動車の4次協力会社に、イェリンさんはスマートフォンに入る印刷回路基板(PCB)をメッキ加工する工場に就職した。
 二人の学歴・年齢・業種・職業は、1980年代後半に民主労組を作り、初期の社会保障制度の対象であり、中産層を夢見たベビーブーム世代の生産職労働者であるユン・ジョンミンさんと似ている。当時も今も、韓国の製造業が国内総生産(GDP)の25~30%ほどの比重を占めるのも同じだ。さらにスヒョクさんとイェリンさんは、人口減少が本格的に始まった出生児数40万人時代に生まれた「貴重な」子どもたちだ。変わったのは時代だけだ。「最小限の労働権? そんなもの、何の役にも立ちませんよ」とイェリンさんは言った。韓国経済をリードしてきた製造業の効率的な生産構造の片隅に彼らはしばし留まり、そして逃げた。

◆機械補助
 スヒョクさんは幼い頃から機械が好きだった。「科学者も夢見たけれど、現実的に考えると技術を身につけたほうが良いと思いました」。スヒョクさんは年齢が若くても就職が可能で、大学入学も容易だという話を聞き、特性化高校への進学を決めた。中学校時代に似たような考えを持った同級生は9人で、3分の1程度だった。
 当然、機械科を選んだ。鉄を削って曲げるのが面白かった。3年生の2学期、現場実習生として入った初めての職場にも30台の機械が並んでいた。金属を削り加工する自動旋盤・ミーリングマシンだ。好きだった機械との不和は、これまで考えたこともなかった。
 手間のかかる機械だった。機械は絶えず「チップ」と呼ばれる油にまみれたかすを吐き出した。機械を冷まして円滑に動かすために、暇さえあれば切削油を補充した。休む間もなく油を入れ、かすでいっぱいになった「チップ受け」を袋にあけて運ぶことがスヒョクさんの業務だった。機械の世話をする人、実際のところは補助者だった。
 2021年の時点で労働者10万人あたり1千台。世界のどの国に比べても韓国の産業用ロボット密度は圧倒的だ。汎用製品をスピーディーに作り出すのに有利な代わりに、多数の労働者の自律性を疎外する韓国特有の機械化・自動化は、いまでは小規模下請け工場にも広がっている。
 機械の間でスヒョクさんのような生産職労働者の役割は多くない。江原大学のチョン・ジュンホ教授は「大企業であれ下請け企業であれ、労働者はマニュアルに従ってのみ動いたり機械を管理したりする低熟練の反復労働を担うようになり、代替可能なものとなった。だからといって労働の強度が弱くなったわけではない」と説明した。多額の投資費用がかかっているため、機械は休まず動き続けなければならず、誰かがそばでその機械を管理しなければならなかった。スヒョクさんに任された役割だ。
 工場の主人公は入れ替わった。休まず金属を削る機械を補助する中で、スヒョクさんの手と足には金属かすが刺さった。一番の悩みは真鍮のかすだ。手袋を突き破り、靴下の中に入り込み、指と足の裏に食い込んだ。「真鍮のチップはつながっては出てこず、途切れ途切れで尖っています。これがすごく細かくて刺さると痛いんですが、目にはよく見えないんです」。

【写真】現代起亜自動車の4次協力会社で働いていたキム・スヒョクさん(仮名)が2日夕方、京畿道安山市のスマートハブ展望台で自分の職場のある半月国家産業団地を見下ろしている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 手袋が不可欠だった。「1日に1個ずつもらっていた白い軍手は切削油がつくと傷んでよく破れてしまうんです。それで最初に手袋をもっとほしいと言ったんですがくれなくて、結局あきらめました」。 爪切りやピンセットで指と足の裏に刺さった真鍮のかすを抜き取り、つらい一日を終えた。現場部長が言った。「この仕事で(売上の)損害を出さないようにするためには(生産職労働者が)工場に朝早く出てきて、夜遅く退勤して、機械を点検して回さなきゃならない。他の技術職や事務職を探してみろ」。機械に合わせて回っている工場の風景を、50代の労働者は通達した。
 工場の機械のそばについて同じような作業を繰り返すスヒョクさんと友人たちは、労働の意味を見出せない。特性化高校の卒業生の集い「マニト」がここ3年間(2020~2022年)に工業団地に就職した安山(アンサン)・始興(シフン)地域の特性化高校卒業生を対象に行ったアンケート調査で、調査対象の98人中67人(68%)が「いまの業務を辞めたい」と答えた。

◆詐欺就職
 イェリンさんが現場実習生として初めてメッキ工場に入った時、信頼できると感じたのは匂いのためだった。「メッキ工場は匂いがして汚い」という先入観とは異なり、きれいな外観を保っていた。危険物技能士と環境技能士の資格を取ったイェリンさんは、有害化学物質の安全管理者として就職した。
 イェリンさんは「事務職」だったが、「基礎から身につけなきゃ」という担当部長の指示で現場に行った。ただし、メッキ溶液にどんな化学物質が入っているのか分からないまま、素手を入れなければならなかった。誰もこれについて話してくれなかった。周りの外国人と中高年の現場職労働者20人は手袋をはめていたので、「手袋ありますか?」と尋ねたが、部長は無視した。メッキ槽(メッキ溶液が入った容器)の周辺に硫酸・硝酸などの強酸が表記された容器が置かれていた。メッキ溶液に素手を突っ込み作業を始めて数日が経つと、手には膿みがにじみ、皮膚がはがれた。「爪が文字通りえぐれて溶けたり穴があいたりして出血したこともよくあります。酸がはねると、その跡のとおりに(爪の上に)丸く穴が開いて血が出るんです」。 イェリンさんの報酬は月160万ウォン(約16万4000円)だった。
 きれいだった外観にも秘密があった。「その日は匂いのしない金メッキ作業ばかりだったので、環境検査でも来るのかと思ったそうです。私が入ってきてから、新しい子がくる際に良くない環境に見えたら入ってこなくなるという理由でそのようにしたことを知りました」。作業を止めて工場をきれいにしたほど、イェリンさんは必要な労働者だった。
 若者が製造業の生産職を避ける雰囲気は、昨年特に目立った。2022年上半期現在で、製造業の不足人員は一年前より4万6千人増え、17万6千人に達した。全産業の未充員人員の大半(94.7%)は300人未満の事業体に集中していた。足りていない労働者は、たいてい高卒水準または短大卒水準の業務の熟練度が必要な仕事(56.9%)だ。
 なぜ若者が工場で働こうとしないのか、工場も分かっている。人材が定員に満たない理由について最も多い回答は「賃金水準など労働条件が求職者の期待と合わないため」(29.1%)であり、「求職者が忌避する職種であるため」(17.9%)が後に続いた(雇用労働部 2022上半期職種別事業体労働力調査の結果)。
 スヒョクさんも、人材が貴重な会社で事実上「詐欺就職」にあったと考えた。担当上司は面接で「兵役特例もさせてあげるし、希望するなら大学に通いながら働ける」と言ったが、就職後「兵役特例をさせてほしい」と要求しても毎回黙殺された。兵役特例期間が終わると同時に若者たちは退社するため、会社は兵役特例の開始時点を最大限遅らせようとするのだ。
 「もしそれ(兵役特例)がなかったら、若い人たちが行く工場なんてほとんどないですよ」。スヒョクさんの月給は170万ウォン(約17万5千円)。午後10時まで残業をすることも多かった。残業は元請けが審査にくる前日に集中した。「エスキュー(現代起亜自動車の協力会社の品質認証制度)の審査がくるといえば、残業するということです」。 元請けとの関係がなければ維持が厳しい会社、4次ベンダーのいちばん若い社員であるスヒョクさんは、巨大な下請け構造の最下層にいた。

◆それなりの抵抗
 軍手を得るために、兵役特例の約束を要求するためにできることは多くはなかった。労働者の権益、安全のために連帯する組織が、イェリンさんとスヒョクさんの働いていた工場にはなかった。2020年時点で30人未満の事業体の労働組合組織率はわずか0.2%。イェリンさんは「私一人で叫んだところで何にもならないと感じたので、労組が必要だ」と考えるが、実際に労働組合の存在を見たことがなかった。スヒョクさんは「自分が食っていくことで精いっぱい」と話した。

【写真】スマートフォンに入る印刷回路基板(PCB)をメッキする工場で働いていたチェ・イェリンさんが昨年12月28日午前、京畿道安山市の半月国家産業団地を背景に写真撮影に応じている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 それでも自分なりの方法で、誰かのために抵抗した。イェリンさんと友人たちは働いていた会社を 「レビューするように」 評価して先生に伝えた。工場は時を選ばず学校に連絡し人材支援を要請するので、後輩たちのためにも「ブラックリスト」を作る必要があった。イェリンさんは先生に「絶対に生徒を送らないでほしい」と言い、自身の体験談を伝えた。
 工場の現実に向き合った若者はそれぞれ「専攻と異なる仕事を与えられた」「差別を受けている」「兵役特例だといって見下される」と吐露した。学校は卒業した生徒たちの通報を受けてようやく問題を認知した。「私が退社した後、学校はその会社にはもう生徒を送っていないそうです」。イェリンさんは安堵して言った。
 最も積極的な抵抗は、工場を辞めることだ。イェリンさんが退社の意思を明らかにすると、上司は暴言と哀願を繰り返した。「出勤しなくていい。退職金は払わないからな」、「工業高校出身だから頭が回らないんじゃないか」と言ったかと思えば、ある日には「君みたいな人材はどこからも見つけられない」、「一緒にやってきた作業は仕上げなきゃならないだろう」と言った。イェリンさんはぶれなかった。「経歴のある人たちにやらせれば業務は円滑に回るでしょうが、年齢層が高くなれば(会社の運営が)厳しくなるからです。若い人は給料が少なくて済むから」
 スヒョクさんは「入社と同時に兵役特例をさせる」という約束をもらい、二番目の職場に通っている。新しい会社で学んでいる溶接自体は「面白くて続けたい仕事」だ。ただし、韓国にずっと留まるつもりはない。「体もきつくて処遇も良くないし、『工場で働いてる』というのは聞こえも良くないでしょ。だから外国に行きたいんです。オーストラリアかカナダかニュージーランドかな。まだあまり考えてはいないけど」。
 人口減少時代の子どもたち、イェリンさんとスヒョクさんはそれぞれ工場を、韓国を去る計画を立てた。貴重なのに大切にしない矛盾の前では、哀願も脅迫も無意味だ。

安山/チャン・ピルス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1075371.html
韓国語原文入力:2023-01-12 08:36
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「19世紀の奴隷制に似たシンガポールの移住労働…韓国も舌なめずり」

2023年01月11日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2023-01-09 07:55
■[寄稿]19世紀の奴隷制に似たシンガポールの移住労働…韓国も舌なめずり
 [ハンギョレS]ホン・ミョンギョの異床同夢 
 保護受けられない移住労働者

【写真】シンガポール市内にある移住労働者の寮/EPA・聯合ニュース

 19世紀初め、オランダなどと競争しながら東アジア植民地の開拓と商品市場の拡大に熱を上げていた英国の東インド会社は、マラッカ海峡の小さな島が地政学的に非常に重要だということに気づいた。14歳の時から東インド会社の忠実な構成員として働いていたスタンフォード・ラッフルズは、この地に貿易拠点を築くことを計画した。1819年1月末、マレー半島南部のジョホールを治めていたスルタンの長男トゥンク・ロンを脅して島を得た彼は、ここに町を建設した。まさにシンガポールという軍事・貿易都市が誕生した瞬間だった。
 約150年間、英国はこの町をいくつかの区域に分け、多様な移住民を分割統治した。植民統治の便宜のために華人街、インド人街、欧州人街、アラブ人街、マレー人街、ブギス人街などに区域を分け、新しい港に移住してきた人々を人種ごとに配置したのだ。

◆移住労働者に対する不平等
 植民都市計画のこのような起源は、今日のシンガポールの人口分布や特性にも表れている。2021年のシンガポール統計庁の資料によると、545万人の人口のうち市民権や永住権を持たない移住民は27%に当たる147万人(コロナ禍以前は168万人)に達する。人種分布も華人系74.3%、マレー系13.5%、インド系9.0%などで、多人種のアイデンティティを保っている。彼らはみな19世紀以降に移住してきた人々の子孫だ。
 一方、シンガポールのインド人は19世紀に南インドやスリランカ一帯から半強制的に連れてこられた労働者、軍人、囚人の子孫だと言える。彼らは時にはインド社会の激変に影響を受け、時には独自に自分たちの共同体文化を形成してきた。リトル・インディアはまさにそのようなインド人が密集する中心地だ。
 2013年12月、そのリトル・インディアで大規模なデモが発生した。日曜日の夜にも出勤して一日中建設現場で働いていたインド人労働者のサクティベル・クマラベルさんが、寮に戻る際に乗っていた私設バスの下敷きになって死亡した事故がその発端だった。仲間の労働者が全身つぶされて死んだことを知り、400人あまりの移住労働者が街に飛び出した。彼らはリトル・インディアの真ん中でパトカーを燃やし、警察と投石戦を繰り広げた。当局によって「暴動」と規定されたこのデモは、2時間が過ぎた深夜12時ごろに鎮圧された。
 集会・デモが禁止されているシンガポールにおいて、このデモは人々を驚かせた。当局は厳格な法執行を強調し、約4千人の移住労働者を呼び出して調査した。33人の積極加担者を起訴し、57人の単純加担者を追放した。さらに2015年からは、週末のリトル・インディアでの飲酒を禁止した。事故が起きたのは死亡した労働者が酒に酔っていたからだというのがその理由だった。この問題に取り組む活動家のロイ・ウンエルンさんは「シンガポールの根強い不平等が招いた恐ろしい結果」だとし、「(移住労働者は)シンガポールに大きな貢献をしてきたが、最も劣悪な労働条件、低賃金で働いている」と指摘する。
 事件後、移住労働者の移動の自由はなくなった。シンガポール政府は移住労働者の働くトゥアス港にコンビニエンスストア、居酒屋、映画館のある大規模な寮団地を建設したが、コンテナで作られた鶏小屋のような部屋には2段ベッドがぎっしりと並んでおり、1部屋に最大で20人が生活する。これは、もうリトル・インディアのある都心の方へは来るなという禁止通知も同然だった。トゥアス港で働く40万人の労働者のうち34万人がこの寮で寝食しているという。外国人雇用者寄宿舎法に則り、今年4月から衛生や保安の水準を向上させるといわれているが、そのように住居条件が改善された寮は10%未満に過ぎない。英国による植民統治の手法をより露骨に復活させたわけだ。
 シンガポール在住の移住労働者は労働力人口の約38%を占める。エリートも金融や情報技術(IT)分野に極少数いるが、大多数は製造業、建設業、家事労働において低賃金の非熟練労働者が必要なために積極的に受け入れた肉体労働者だ。東アジア全体が新自由主義的に構造化される過程で、安価な移住労働者は資本にとって必要不可欠だった。リー・シェンロン首相は2003年に「気難しいシンガポール人は(…)『格好悪い』分野では働きたがらない」と述べているが、これは資本の要求を正確に反映している。
 移住労働に対する政府と資本の態度は、概して臨時・契約職労働を好む方へと傾いている。経済が低迷した際には短期滞在労働者を簡単に追放できるからだ。だが、このような移住労働者政策もコロナ禍で一定の壁にぶつかった。コロナ禍において移住労働者の数は20万人以上減ったが、これが予想外の労働力不足を招いたのだ。
 移住女性によって担われる家事労働は、香港の悪名高い現実と類似している。労働法の保護も受けられないため決まった勤務時間もなく、超過勤務に対する保護条項もない。雇用主は週に一日休暇を与えなければならないが、このような義務はたやすく無視される。労働者は、解雇は容易にされる一方で自身の権利を守る手段はない。雇い主による性的暴行や監禁などの惨事が絶えないのもそのためだ。昨年9月、ソウル市のオ・セフン市長は国務会議に参加し、シンガポールでは外国人の家事労働者を安く使っていることを誇張しつつ、「外国人育児ヘルパー政策」を提案している。これは当時、雇用労働部が指摘したように、様々な問題を引き起こさざるを得ない。

◆訴える場所すらない労働者搾取
 移住労働者搾取に舌なめずりするこのひどい率直さは、オ・セフン市長だけのものではないようだ。昨年末、第36回外国人材政策委員会は「雇用許可制改編策」を決定した。2004年の導入以来初めて推進される今回の改編の要は、10年以上の滞留を可能にするとともに、雇用許可制の認定業種を荷役労働や家事・ケア労働にまで拡大することにある。未登録移住労働者が41万人にまで増えている中で「権利のない」、「安価な労働力」を必要とする資本の要求に応じたわけだ。
 しかし問題は、事業所移動の自由すら与えられないことにある。このような条件においては、移住労働者は人間としての権利の深刻な侵害を受けても訴える場所がない。移住労働者を奴隷として扱う中、10年以上働けるようにしたところで何になるというのか。熟練労働者をより安く搾取したいという雇用主の渇望を満たすに過ぎないのではないか。

 ホン・ミョンギョ|東アジア研究活動家。プラットフォームC活動家 。東アジアの話を書く。副題にはそれぞれの社会の違いを理解し同じ夢を目指す(異床同夢)という意味が込められている。理想を抱く東アジアの夢(理想東夢)という意味も込められている。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1074810.html
韓国語原文入力:2023-01-08 09:00
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「ソウル交通公社 地下鉄車内でデモ実施した障害者団体を提訴」

2023年01月10日 | 韓国で
「聯合ニュース」 2023.01.10 11:39
■ソウル交通公社 地下鉄車内でデモ実施した障害者団体を提訴
【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル交通公社が、地下鉄車内でのデモにより被害を受けたとして障害者団体「全国障害者差別撤廃連帯(全障連)」を提訴した。

【写真】地下鉄車内でデモを行う全障連の会員(資料写真)=(聯合ニュース)

 ソウル市によると、ソウル交通公社は6日に全障連と同団体代表を相手取り6億145万ウォン(約6400万円)の損害賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。2021年12月から約1年間、全障連が75回にわたり行った違法なデモにより地下鉄運行に遅れが生じるなどの被害を被ったと主張している。全障連は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の障害者権利保障関連予算の削減に反対し、通勤時間帯の地下鉄車内でデモを行った。
 今回の提訴は、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長の「違法行為に対する不寛容の原則」に基づくもの。呉氏は昨年末、全障連が地下鉄でのデモを再開すると発表したことを受け、SNS(交流サイト)で「違法行為についてはこれ以上、寛容はない」とし、「民事上、刑事上の対応を含め必要な全ての法的措置を取っていく」と警告した。全障連は2023年度(1~12月)予算が国会で成立するまでデモを中断するよう求めた呉氏の要請を受け入れたが、成立した予算に団体側の要求がほとんど反映されていないとし、デモを再開すると発表していた。
 これに対し、ソウル交通公社は今月2日、新たな訴訟を起こす方針を示していた。公社側は2021年末にも、全障連が同年1月22日~11月12日にかけ7回行ったデモが違法だとし、3000万ウォンを請求する訴訟を起こしている。
 ソウル中央地裁は先月19日、ソウル交通公社の「エレベーター設置」、全障連の「デモ中止」を条件とする調停案を提示した。デモにより列車の運行が5分以上遅延した場合、全障連が1回当たり500万ウォンを公社に支払うことも命じた。全障連は調停案を受け入れたが、公社とソウル市が受け入れなかったため対立が続いてきた。
 全障連は今月19日までのデモ中断を決め、呉氏との面談を求めた。呉氏も要請を受け入れたが、面談の日時はまだ決まっていない。


「東亞日報」 January. 04, 2023 08:46
■障害者団体が地下鉄4号線「誠信女大駅」で奇襲デモ
 全国障害者差別撤廃連帯(全障連)が3日午前、ソウル地下鉄4号線の誠信(ソンシン)女大駅や東大門(トンデムン)歴史文化公園駅で乗下車デモを行い、警察、ソウル交通公社と衝突した。
 同日午前8時30分ごろ、ソウル中区東大門歴史文化公園駅のプラットホームで、全障連の活動家約10人と彼らの地下鉄乗車を阻止しようとする警察、ソウル交通公社職員が2時間以上、衝突した。全障連は、「午前10時30分、地下鉄4号線三角地(サムガクチ)駅で宣伝戦を行う」と公表していたが、奇襲的にデモの時間と場所を変えた。
 全障連側は同日午前8時頃、4号線誠信女大駅で宣伝戦をした後、三角地駅方面に向かう地下鉄に乗った。彼らが東大門歴史文化公園駅で降りて再び乗車しようとし、これを阻止する警察と衝突した。午前11時頃、衝突は沈静化したが、全障連側はデモを続け、午後2時40分頃になってデモが終わった。
 彼らとは別に、全障連活動家の一部は同日午前、三角地駅で4号線に乗車し、乗下車デモを行った。この過程で、乗下車を阻止していた三角地駅長が電動車椅子にひかれ、救急車で搬送された。打撲傷を負った三角地駅長は、搬送された病院で治療を受け、午後1時頃に戻った。警察はデモ現場に警察官約200人を投入した。
 全障連側は同日、声明を通じて「今年、週末と祝日を除く約260日間、毎日出勤時間帯に地下鉄4号線で宣伝戦を行う」と明らかにした。
 チョ・ウンヒョン記者 イ・ムンス記者 yesbro@donga.com · doorwater@donga.com


「The Hankyoreh」 2023-01-03 10:28
■車椅子の障害者たちの乗車を阻止…ソウルの地下鉄駅に警官数百人投入
 全障連、裁判所の調停案にしたがい「5分以内」の乗車を試みる 
 ソウル市長・ソウル交通公社・警察は「全面封鎖」

【写真】全国障害者差別撤廃連帯(全障連)の会員たちが2日夕方、ソウル地下鉄4号線三角地駅のプラットホームで乗車を試みると、警官がこれを防ぎ、混雑が増加するなど危険な状況が長時間続いた=ソ・ヘミ記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル交通公社(公社)と警察は、発生もしていない電車遅延を理由に警官数百人を投入し、全国障害者差別撤廃連帯(全障連)の地下鉄への乗車自体を全面的に封じ込め、無停車通過まで行った。全障連は、裁判所の調停案にしたがい「5分以内」に乗車を終えるとしたが、公社側は「1分でも遅れると大変なこと」だとするオ・セフン・ソウル市長の強硬対応の基本方針にしたがい、一日中これらの人々の乗車を遮り、むしろ市民の通勤時にいっそうの不便を強いた。それどころか、公社側の安全管理の問題にともなう地下鉄の故障で電車が止まり、新年の出勤初日から遅刻が続出した。
 全障連は2日朝、ソウル地下鉄4号線の三角地(サムガクチ)駅で記者会見を行い、「私たちが増額を要求した障害者権利予算のうち、0.8%だけが国会を通過した」と明らかにした後、午前9時10分から電車への乗車を試みた。これに先立ち裁判所は「5分以内に乗車がなされなければ、電車遅延1回あたり500万ウォン(約51万円)を公社に支払うこと」とする調停案を出し、全障連はこれを受け入れると明らかにした。
 しかし、公社と警察は、約70人の車椅子の障害者の乗車自体を防ぐため、地下鉄4号線と6号線の地下乗り換え区間の狭いプラットホームに鉄製のフェンスを設け、盾を持った警官約600人(午前は約480人)を投入した。三角地駅の駅長は鉄道安全法を根拠に掲げ、「退去拒絶時には電車への乗車を拒否しうる」という放送を1~2分間隔で流した。
 出勤時間帯に始まった対立は、この日の夕方の退勤時間帯を越え、午後10時頃に全障連が解散したことで終わった。狭い地下空間に警官数百人と公社職員、全障連活動家、取材陣などが長時間もみあい、危険な状況が続いたが、警察は全障連側が退くまで対峙を解除しなかった。警官と公社職員は、市民の通行路を確保するとして、全障連の活動家のイ・ヒョンスクさんの車椅子を強制的に引き出し、その過程で、ある活動家が呼吸困難を訴えて倒れた。電車乗車を試みた全障連のパク・キョンソク共同常任代表も、警官との衝突で車椅子から落ちたりもした。対立が続くと、国家人権委員会は現場に調査官を急派した。警察は全障連の活動家が警官を暴行したとして、捜査する方針を明らかにした。
 パク・キョンソク代表は「オ・セフン市長の発言以降、公社と警察は『5分以内』の宣伝戦まで妨げている。平和な宣伝戦ができるよう、空間と時間を開けてほしい」と訴えた。前日、オ市長はMBNの番組に出演し、裁判所の調停案を拒否する意向を明らかにし、「1分でも遅れると大変なことになる地下鉄を、5分も遅延させることはできない」と述べた。
 2日に裁判所の調停案を拒否した公社はこの日、三角地駅を通過する電車を13回も無停車させ、むしろ市民に不便を強いた。イ・ジュオン弁護士(社団法人トゥル)は「裁判所も全障連の要請と市民の不便を考慮し、5分を超えないようにする調停案を作った。公権力を投じて乗車を全面的に防ぐのであれば、憲法訴訟などの検討もありうる」と述べた。
 このような状況のなか、この日の電車遅延は公社側の責任によって発生した。出勤時間帯の7時34分、地下鉄2号線で線路の支障が発生し、電車が10分ほど遅れた。その後、影響は1時間を超えて続いた。公社は全障連のデモはSNSで通知しながらも、地下鉄の故障については何の公示もしなかった。
全国障害者差別撤廃連帯(全障連)の会員たちが2日午前、ソウル地下鉄4号線三角地駅のプラットホームで5分が表示された時計を持ち、地下鉄への乗車を試みている。ソウル中央地裁は先月19日、ソウル交通公社が全障連と同団体のパク・キョンソク代表などを相手取った損害賠償訴訟を強制調整し、全障連が地下鉄乗降車デモで5分以上地下鉄の運行を遅延させた場合、1回あたり500万ウォンを公社に支払うようにした/聯合ニュース

コ・ビョンチャン記者、ソ・ヘミ記者、パク・チヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1074144.html
韓国語原文入力:2023-01-02 22:26
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「ウクライナと同様、虐殺に苦しむミャンマーにも関心を」

2023年01月09日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2023-01-09 08:52
■[現場から]「ウクライナと同様、虐殺に苦しむミャンマーにも関心を」
 ミャンマー人たちによる毎月のソウル上京集会が2年目 
 「軍部のテロで家を失い、家族はバラバラに」

【写真】在韓ミャンマー人たちが8日午後、ソウルの駐韓ミャンマー大使館の近くで集会を行い、ミャンマー軍部による民主陣営の抑圧、民間人の村への放火などの虐殺を暴露しつつ、軍部テロ勢力の即時退陣を求めている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 「ウクライナ戦争でミャンマーに対する関心がかなり低下したみたいで残念です」
 4年前に韓国にやって来て、現在は忠清北道忠州(チュンジュ)の工場で働いているミャンマー人のボントゥアカさん(28)は、ここ2年近く毎月ソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)のミャンマー大使館を訪れる。違法なクーデターで政権を握って民主陣営の人々を抑圧し、民間人の村を放火するなどのむごい虐殺を繰り広げるミャンマー軍事政権の退陣を要求するためだ。ボントゥアカさんは「新年にはウクライナのように米国をはじめとする国際社会が支援してくれて、ミャンマーの人々も力を合わせて軍部クーデターを終わらせられることを願う。韓国の人たちにもミャンマーに多くの関心を傾けてほしい」と訴えた。
 ミャンマー軍事政権は昨年12月30日、アウンサンスーチー国家顧問(78)に懲役33年を言い渡すなど、民主化勢力に対する弾圧を続けている。そんな中、8日午後、韓国ミャンマー連帯などに所属する50人あまりのミャンマー人が漢南洞のミャンマー大使館の近くで集会を行った。彼らは違法なクーデターを起こした軍部勢力による虐殺・放火の即時中止と、ミャンマーに対する国際社会の支援および関心を訴えた。

【写真】韓国ミャンマー連帯、ミャンマー支援市民の会などに所属する在韓ミャンマー人たちが8日午後、ソウル龍山区漢南洞の駐韓ミャンマー大使館の近くで集会を行っている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 彼らはミャンマー軍部が民主陣営の人々を抑圧し、民間人の村に放火するなどむごい虐殺を行っていると暴露した。2018年に韓国にやって来たというニエチャンさん(26)は、「軍部勢力が本国にある両親の家に火をつけたため、現在は家族がバラバラになってしまっている」とし、「ミャンマー軍部の脅迫を受けた人々は、食べていくことも困難なほど苦しんでいるのが実情だ」と語った。ハンシェウさん(41)は「韓国で民主化活動をしているミャンマー人の家族は、本国で軍人に取り調べを受けるなど、迫害を受けているという」と吐露した。実際、ミャンマーの民間戦略政策機関「ISPミャンマー」は、軍部勢力の放火などによって故郷を追われた人は、昨年12月14日現在でミャンマーの人口の3%ほどに当たる200万人にのぼると分析している。
 この日集ったミャンマー人たちは、新年に際して「ミャンマーの民主化」を祈りつつ、ミャンマー民主化運動の象徴である「3本の指」を空に向かって高く突き上げた。韓国ミャンマー連帯のジョモア代表は「2021年に軍部クーデターが起きるまでの5年間に民主主義と自由を感じてきたミャンマー人たちは、軍部独裁に反対して闘っている」とし、「新年には韓国のようにミャンマーも民主化を成し遂げることができると信じる」と語った。彼らはこの日、「ミャンマー軍事独裁は出てゆけ」というスローガンを叫び、「死んでも闘う」という意味を込めたミャンマーの歌「血の誓い」を歌った。
 彼らは、ミャンマーの民主化のためには国際社会の関心と支援が大切だと語った。ミャンマー支援市民の会のチョン・ヨンさんは「ロシアがウクライナを侵略した時、多くの人がウクライナを応援し共に闘ったように、韓国の政府と国民もミャンマーを支援してほしい」と語った。
 ミャンマー連邦民主主義勝利連合(MFDMC)は「闘争は成功し、国民は自由に」と書かれたパーカーを販売し、その収益金でミャンマー軍事政権と闘う民族解放軍と被害を受けたミャンマー人を支援している。

【写真】韓国ミャンマー連帯、ミャンマー支援市民の会などに所属する在韓ミャンマー人たちが8日午後、ソウル龍山区漢南洞の駐韓ミャンマー大使館の近くで集会を行っている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

コ・ビョンチャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1074865.html
韓国語原文入力:2023-01-08 16:48

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