三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「強制徴用被害者側、第三者弁済を拒否…解決どころか法律紛争継続も」

2023年01月16日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2023.01.14 10:02
■強制徴用被害者側、第三者弁済を拒否…解決どころか法律紛争継続も
 強制徴用解決案を準備するための公開討論会で政府と被害者の葛藤が深まっている中、韓日外相が13日、電話で関連問題を議論した。韓国外交部は「(双方は)強制徴用問題など韓日間の懸案と相互関心事について意見を交換し、今後も韓日関係の発展および諸般懸案の解決のために外交当局間で緊密に意思疎通していくことにした」と伝えた。
 訪米中の林芳正外相はこの日、米ニューヨークで記者らに対し、韓国政府が進める強制徴用解決案に関連して「韓国国内の動きの一つ一つについてコメントすることは差し控えたい」とし「1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な形に戻し、さらに発展させていくため、韓国政府と緊密に意思疎通をしていく」と述べた。
 日本側は韓国政府が進める強制徴用解決案を「現実的な代案」と評価する雰囲気だ。共同通信は12日、日本政府関係者の言葉を引用し、「韓国の財団(日帝強制動員被害者支援財団)が肩代わりした賠償金の返還を被告日本企業に求める求償権を放棄する場合、日本企業による財団への寄付を容認する案が日本政府内で浮上している」と報じた。
 問題は強制徴用被害者側の激しい反対だ。被害者側は支援財団が基金を募金して賠償金を支給するとしても受領しない方針だ。損害賠償金を支給すべき主体は第三者である財団ではなく日本戦犯企業という理由からだ。被害者側は戦犯企業の基金出捐と日本側の謝罪が前提になってこそ、政府の今回の解決案を受け入れるという立場を固守している。
 賠償金を肩代わりしようとする支援財団とこれを拒否する被害者側の衝突は結局、裁判所供託手続きに帰結する可能性が高い。この場合、支援財団は賠償金を裁判所に供託して法的に債務を終結させようとするはずで、これに対抗して強制徴用被害者側は「供託無効訴訟」を提起する可能性がある。強制徴用問題の解決案は結局、問題を解決できないまま別の形態の法律紛争につながるという懸念が出ている理由だ。
 外交筋は「強制徴用被害者が第三者の弁済を拒否することで供託手続きに突入する瞬間、政府の解決案は被害者を満足させることができなかったという点を公開宣言する意味を持つことになる」とし「さらに被害者側がまた訴訟を提起して新しい法律争いが始まれば、政府は解決案を発表したものの本来の問題は解決されずに葛藤が続く混乱した状況が続くだろう」と話した。
 政府と支援財団は被害者側との法律紛争などを懸念し、ひとまず賠償金は準備しておくものの、実際の支給は日本企業の出捐が確定した後に先延ばしする案を検討している。被害者側が韓国企業の出捐金を活用した第三者弁済を「屈辱的解決案」と批判する状況を意識した措置だ。こうした案が実現すれば、強制徴用被害者に支給される賠償金の性格は「韓国企業のお金」から「韓国・日本企業が共に出捐したお金」に変わる。財団側は日本企業が基金出捐に参加するまで弁済を猶予するこうした案が日本側の呼応措置を促す効果につながる可能性があるとみている。


「中央日報日本語版」 2023.01.14 11:41
■ポスコ「日帝強制動員支援財団の寄付金出捐要請あれば検討」
 ポスコが13日、日帝強制動員被害者支援財団に対する寄付金出捐に関連し「政府と財団から公式的な要請があれば手続きを踏んで検討する計画」と明らかにした。続いて「寄付金を出捐してほしいという政府・財団の要請はまだない」と伝えた。
 韓国政府は前日の討論会で、韓国大法院(最高裁)の賠償確定判決を受けた徴用被害者が日本被告企業の代わりに日帝強制動員被害者支援財団から判決金の弁済を受けることが可能だとし、「第三者弁済」解決案を事実上公式化した。これを受け、どの企業が寄付に参加するかに関心が傾く状況だ。
 まず注目されるのがポスコだ。韓国政府は1965年に韓日請求権協定を締結しながら、対日請求権を放棄する代わりに5億ドルの経済協力資金を受けた。この一部が企業支援資金として使用されたが、代表的な支援対象が当時の浦項(ポハン)総合製鉄だった。ポスコの前身の浦項総合製鉄には全体請求権資金の24%に相当する1億1948万ドルが投入された。ポスコは2012年に財団に100億ウォンを出捐すると約束し、2016年と17年にそれぞれ30億ウォンずつ現在まで計60億ウォンを出捐した状態だ。
 ポスコグループの関係者は「当時の出捐約束は強制徴用とは関係ない人道的レベル」とし「残りの40億ウォンの出捐に関する部分も公式要請があれば手続きを進める」と説明した。
 ポスコのほか韓国道路公社、韓国鉄道公社、外換銀行、韓国電力公社、KT、KT&G、韓国水資源公社など10社が請求権資金の恩恵を受けた企業に該当する。外換銀行の場合、原材料導入などのために請求権資金で最も多い1億3200万ドルが投入された。外換銀行の関係者は「当時は外換銀行が国策銀行だったが、今は状況が違う」とし「寄付金に関するいかなる要請もなかったし、関連の内部検討もしたことがない」と伝えた。
 韓国産業化の大動脈の役割をした京釜(キョンブ)高速道路建設事業も日本の請求権資金のために可能だった。韓国道路公社は「政府の賠償方式が確定すれば内部検討に着手する」と明らかにした。
 KT&Gも具体的な賠償方式が確定していないため状況を見守っているという立場だ。KT&Gは前身の専売庁当時に請求権資金を一部が支援され、事業資金として活用したが、当時の資金がどこに使われたかに関する資料は残っていないという。


「聯合ニュース」 2023.01.13 21:14
■ポスコ 徴用被害者支援財団から要請あれば拠出検討
【ソウル聯合ニュース】韓国鉄鋼大手のポスコは13日、韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」への拠出について「政府と財団から正式に要請があれば手続きを経て検討する計画」と明らかにした。

【写真】徴用問題の解決策を議論するための公開討論会が12日にソウルの国会議員会館で開かれた=(聯合ニュース)

 日本による植民地時代の徴用問題を巡り、韓国政府は徴用被害者が日本企業からの賠償に代わり第三者から弁済を受けることが可能との認識を示している。財源確保のための寄付にどの企業が参加するかに関心が集まっている状況だ。
 ポスコは韓日請求権協定に基づいて日本から支払われた資金で設立された代表的な企業。2012年に財団に100億ウォン(約10億円)の拠出を約束した。16年と17年に30億ウォンずつ、計60億ウォンを拠出した。
 ポスコの関係者は「当時の拠出の約束は徴用問題とは関係のない人道的レベルのものだった。残りの40億ウォンの拠出についても正式に要請があれば手続きを進める」と説明した。


「The Hankyoreh」 2023-01-14 09:12
■「日本のための屈辱的な強制動員解決策、廃棄せよ」ろうそくを持った韓国市民たち
 「人権のために闘った被害者を『債権者』扱い」 
 主権を損なう政府の賠償案に反対

【写真】13日夕方、複数の市民団体からなる「歴史の正義と平和な韓日関係のための共同の行動」のメンバーがソウル世宗路のファイナンスビルの前で尹錫悦政権の屈辱的な強制動員解決策を糾弾するろうそく集会を開いている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 日本の謝罪や賠償責任なしに、韓国政府が財源を用意し強制動員被害者への支払いを肩代わりする賠償案が公式化された。これを受け13日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を糾弾する市民のろうそく集会が開かれた。
 この日午後7時、雨が降るなかソウル中区のソウルファイナンスセンターの前に集まった市民たちは、明かりの灯ったろうそくを持ち、「尹錫悦政権の屈辱外交を糾弾する」「日本のための強制動員解決策、廃棄せよ」というシュプレヒコールを叫び、政府の対応を批判した。12日、外交部と韓日議員連盟のチョン・ジンソク会長が共同主催した「強制徴用解決策を議論するための公開討論会」で、政府は、日帝強制動員被害者支援財団が韓日請求権協定(1965年)で恩恵を受けた韓国企業から賠償金財源を集め、「債権者」である強制動員被害者に支給する「並存的債務引受」案に言及し、論議が広がった。
 その討論会に参加した民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長はこの日発言し、「政府は、80年あまりにわたり被害者が日本と闘ってきた努力を2時間の討論会で終わらせようとした。人権の尊厳のために闘争し一生闘ってきた方々を、単なる債権者に転落させた」と批判した。さらにキム氏は「最高裁の勝訴判決を勝ち取った被害者が、日本の謝罪の証拠として受け取らなければならない賠償金に対して、あたかも被害者が乞うているかのように『日本にこれ以上期待するな』と言う。被害者は怒るのは当然だ」と批判した。

【写真】13日、ソウル中区のファイナンスセンター前で開かれたろうそく集会で、市民たちが尹錫悦大統領と日本の岸田首相が「歴史の審判」を受ける様子のパフォーマンスを行っている=写真:チャン・イェジ記者//ハンギョレ新聞社

 政府の賠償案は、司法主権を損なうものだとする指摘も出てきた。慶北大学法学専門大学院のキム・チャンロク教授は「被害者たちは、韓国の法廷で日本の戦犯企業と争い勝訴確定判決を勝ち取り、それにしたがって日本企業は損害賠償をしなければならない。これを履行しないのであれば、強制執行をしなければならない。だが、政府はそれをしてはならないと言う。主権国家として政府がそのようなことを言うという事実自体が驚くべきことだ」と述べた。また、「日本政府は、韓国の最高裁判決は国際法違反であり、日本の朝鮮半島支配は合法であり、そもそも強制動員はなかったと主張しているが、尹錫悦政権の解決策は、そのような日本政府の主張をそのままにしておこうとするもの」だとした。
 世宗大学の保坂祐二教授は、韓国政府が出した賠償案に対する日本の雰囲気も伝えた。保坂教授は「韓国政府は、あたかも政府が先に(賠償案の問題を)解決すれば、日本企業が謝罪し寄付金も出すかのように約束するが、日本はまったくそうではない。あまりに食い違う話が韓日双方から出ているが、これは韓国国民を愚弄するものだ」と述べた。保坂教授はさらに、「韓国政府は、韓米日の軍事安全保障の協力に集中し、これを邪魔する人権問題は軽視または無視するしかないという考えのようだが、大韓民国は人権を無視して戦争に行くための準備ばかりに没頭してはならない」とも主張した。
 この日の集会に参加した市民たちは、尹錫悦大統領と日本の岸田首相の仮面をかぶり、裁判で使う木槌で「歴史の審判」を受ける様子のパフォーマンスも行った。
チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1075664.html
韓国語原文入力:2023-01-14 00:32


「The Hankyoreh」 2023-01-14 07:35
■日本側、自国抜けた尹政権の「強制動員解決策」に「受け入れる余地はあるが…」
 「韓国側が日本の主張に歩み寄った」と評価 
 韓国内部の反発を課題として指摘

【写真】強制徴用被害者の関係者たちが12日午前、国会議員会館で行われた強制動員解決策を議論する公開討論会で強く抗議している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国外交部が韓日関係の最大懸案である強制動員被害者賠償問題の解決策として、日本側の参加のない第3者による補償を内容とする案を公開したことについて、日本側は受け入れる余地はあるが尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が内部の反発を押し切って実行できるかを見極めるという反応を示した。強制動員被害者が求める日本の謝罪と被告企業の賠償参加については応じることができないという方針を再度明らかにした。
 読売新聞は13日、外交部が公開した解決策について「韓国政府が(強制動員被害者賠償過程で)原告の求める日本企業の資金拠出や謝罪を引き出すことが事実上難しいことを認めた」と報じた。日本政府高官は同紙に、「(韓国の解決策について)受け入れる余地がある」と述べた。ただし同紙は「韓国の国内では、訴訟の原告らが反発しており『尹錫悦政権が実行に移せるかは予断は許さない』との見方も出ている」と報道した。
 日本側は、尹錫悦政権が内部反発にもかかわらず、この案を実行できるかを見極める構えだ。同紙は「日本政府は広島市で5月19~21日に開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)へ尹大統領の招待を検討していることから、尹政権は、遅くともサミット前に最終的な解決策の発表を目指すとの見方がある。尹氏が、どのような政治決断を下すのか注目が集まっている」と報じた。
 日本経済新聞は「日本は1965年の日韓請求権協定を踏まえ『解決済み』との立場を貫いてきた。韓国側が日本の主張に歩み寄った」と評価した。同紙は「日本政府は外交当局間の協議を進めつつ、韓国国内がこの案を受け入れるかを見極める」と報じた。それと共に「4年後に革新系への政権交代が起これば、再び方針も変わりうる」と付け加えた。
 外交部は「政府案」を発表し、日本側に「誠意ある呼応」を引き続き求めていく方針を明らかにしたが、実現可能性は低いものとみられる。日本外務省の幹部は朝日新聞に「解決に向けて進めたいが、日本としては譲れないものは譲れない」と語った。毎日新聞も政府関係者の話として「原告側が望む日本企業による謝罪や賠償は受け入れない考え」だと報道した。
 日本政府は今回、強制動員被害者問題を完全に終結させなければならないと考えている。日本政府関係者は産経新聞に「日本企業に債務がないことをはっきりさせ、不可逆的なものにしなければならない」と述べた。韓国側が言及した日本政府が過去に表明した「痛切なおわびと反省」などが盛り込まれた談話の継承については、「過去の談話の範囲内なら問題ない」(日本政府関係者)という立場だ。
 韓国外交部は12日に行われた「強制徴用問題の解決策を議論するための公開討論会」で、強制動員被害者賠償問題の解決策として、行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団が財源を用意し、日本企業の代わりに被害者に返済する案を公式化した。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1075577.html
韓国語原文入力:2023-01-13 12:52


「The Hankyoreh」 2023-01-14 08:10
■韓国野党第1党代表、政府の強制動員賠償案に「第三者供賄罪ではないか」

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が13日午前、国会で開かれた最高委員会議で発言している/聯合ニュース

 韓国の野党第1党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は、政府の日帝強制動員「第三者返済」方式に対して「屈従外交」、「第三者供賄罪」だとして強く批判した。
 イ代表は13日、国会で開かれた最高委員会議で、「日本の戦争犯罪に免罪符を与え、韓国企業に賠償責任を転嫁しようとする容認できない方式だ」だとし、「被害者が『謝れ、責任を取れ』と言っているのに、横から財布を取り出して被害者に『いくら必要なのか』と言うのと同じようなもの」だと述べた。そして、「日本との関係改善のためなら何でも差し出すという態度に見えるが、このような低姿勢の屈従外交は直ちにやめるべきだ」と語った。これに先立ち、政府は12日、強制動員問題の解決策を議論するための公開討論会で、行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団が韓日請求権協定で恩恵を受けた国内企業から寄付を募って基金を作り、日本の戦犯企業が支払うべき賠償金を肩代わりする案を公式化した。
 イ代表は同日「国内企業に国がすべきことを代わりに果たすよう拠出を求めるならば、いま検察が無理に主張している第三者供賄罪に当たるのではないか」とも述べた。「城南FC後援金疑惑」事件を捜査中の検察がイ代表に適用しようとしている第三者供賄罪を取り上げて政府を批判したのだ。
チョ・ユニョン、シム・ウサム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1075596.html
韓国語原文入力:2023-01-13 14:25


「The Hankyoreh」 2023-01-14 07:21
■「強制動員屈辱解決策」に高まる怒り…韓国政府はアクセルべた踏み

【写真】尹錫悦大統領が11日午前、青瓦台迎賓館での2023年度の外交部と国防部による業務報告で、国旗に敬礼している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 日本政府の新たな防衛戦略を擁護するとともに、韓国企業による寄付金で日帝強制動員被害者に対する賠償を決着させるとする尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と政府に対する懸念が高まっている。世論を見極めぬまま韓日関係の改善を急げば、大きな反発を招くだろうと指摘する声があがっている。
 パク・チン外交部長官は13日、日本の林芳正外相と電話で会談し、日帝強制動員被害者問題などの懸案について協議した。外交部の当局者は「両外相は強制徴用問題などの韓日間の懸案、および相互の関心事について意見を交換した」と語った。強制動員の解決策作りのための公開討論会を終えたまさにその翌日に日本側と意見交換を行うという対応の早さだ。
 外交部は前日に国会で行った討論会で、日本製鉄など賠償責任のある日本の戦犯企業に代わって韓国企業が出す寄付金によって強制動員被害者に賠償するとの内容を盛り込んだ案を発表した。外交部はその席で、日本の戦犯企業の謝罪と賠償がなくてもこの方針を履行すると述べた。被害者側は「日本を直ちに免責するもの」と反発した。
 日本の立場に立ったような発言は、尹錫悦大統領からも飛び出している。尹大統領は11日、日本政府による防衛費増額について、「頭上にミサイルが飛び交い、核が来る可能性があるが、それを防ぐのは容易ではない。誰がとやかく言えるだろうか」と語った。防衛費増額と敵基地攻撃能力の強化を盛り込んだ日本政府の新たな国家安保戦略(NSS)を事実上擁護した発言だった。

【写真】強制徴用被害者の関係者たちが12日午前、国会議員会館で行われた強制動員解決策を議論する公開討論会で強く抗議している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 専門家たちは、米中対立の激化と南北の緊張の高まりの中で「韓米日協力の強化」基調を掲げる尹錫悦政権が対日関係の回復を急いでいると指摘する。
 国立外交院のキム・ジュンヒョン前院長は、「尹錫悦政権発足以降、韓国外交は米国と日本しかなくなった」とし「韓米日が今のようにまとまれば、朝中ロも互いにまとまらざるを得ないし、そうなれば朝鮮半島は新冷戦構図のど真ん中に入っていくことになる」と指摘した。ムン・ヒサン元国会議長もこの日のハンギョレと文化放送(MBC)ラジオとのインタビューで、外交部の強制動員解決策について、「国会と被害者の同意をすっ飛ばして強制動員問題が解決できると考えているなら、大きな勘違いだ。政府は何か日程に合わせようとしているかのように焦って事を進めているが、そのように進めてはならない」とし「(後に)影響が広がっていくと思う」と語った。
 政府は韓米日協力という大前提から外れる強制動員問題などは付随的なものと考えているとの指摘もある。ソウル大学日本研究所のナム・ギジョン所長は「韓日関係の復元という大きな青写真をまず描いておいて、そこに強制動員のようなパズルを合わせていっているのだと思う」とし「問題は日本の岸田文雄首相の支持率が低く、日本が譲歩できる状況ではないため、韓国が一方的に譲歩するかたちへと向かっていること」だと語った。
 こうした批判に対し、大統領室の高官は「まだ最終的に決まってはいないため、憂慮と批判に対する立場もない」と述べた。
 共に民主党は政府の強制動員解決策を強く批判した。イ・ジェミョン代表は、「大統領にしてからが日本の顔色ばかりをうかがう屈従外交を続けていることで、強制徴用(動員)被害者への賠償問題が非常に誤った道を進んでいる。日本との関係改善のためなら何もかも差し出すという態度を示す低姿勢屈従外交は直ちにやめるべきだ」と述べた。被害者側と韓日歴史正義平和行動はこの日、ソウル中区(チュング)のファイナンスビル前で、屈辱的な強制動員解決策発表に反対するろうそく集会を行った。
シン・ヒョンチョル、キム・ミナ、チョ・ユニョン、シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1075647.html
韓国語原文入力:2023-01-13 17:26


「The Hankyoreh」 2023-01-13 06:56
■「日本の基金参加、期待してはならない」…強制動員被害者から「売国奴」との怒号も
 日帝強制動員問題の解決策模索するための公開討論会場、抗議やヤジで飛び交う中 
 日本の謝罪抜けた「第3者返済案」に被害者間の意見の相違も

【写真】強制徴用被害者の関係者たちが12日午前、国会議員会館で開かれた強制徴用解決策を模索するための公開討論会で、強く抗議している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 12日、国会で開かれた日帝強制動員の解決策を模索するための公開討論会では、討論者たちの発言と被害者たちの抗議と野次が入り混じっていた。
 外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長が討論会で「第3者賠償案」を発表した後、民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長と被害者代理人であるイム・ジェソン弁護士が政府案の問題点を一つひとつ一批判すると、傍聴席からは「そうだ」という同意と共に拍手が沸き起こった。一方、政府案に同意する被害者たちは野次を飛ばした。日本の戦犯企業を相手にした訴訟に参加していない一部の被害者は、最高裁(大法院)の判断で戦犯企業の資産が現金化すれば、事実上賠償を受ける道がなくなるため、(原告たちとは)意見の相違がある。彼らは討論会場に「(裁判の原告)15人だけが被害者なのか」という垂れ幕を掲げた。
 討論者である高麗大学のパク・ホンギュ教授が「もう日本の謝罪と基金参加のようなものに期待を持ってはならない」と主張すると、被害者たちからは「売国奴」との怒号が飛んだ。チェ・ウギュン弁護士が請求権協定で恩恵を受けた韓国企業が日本の戦犯企業の賠償金を肩代わりするという政府案の法理を説明すると、被害者たちは「徴用は違う」と反発した。チェ弁護士は結局、最後まで発言を続けられず、討論が終了した。
 傍聴席にマイクが渡ると場内はさらに騒がしくなった。政府側の意見に同意するある被害者が、1965年の韓日請求権協定締結の際、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が行った発言を長々と説明すると、反対側が強く反発し、主催側は「正常な進行が難しい状況だ」とし、2時間以上続いた討論会を急いで終了させた。最後まで発言を続けられなかった人がマイクを投げつけたり、出席者たちは壇上に駆け上がって抗議したりする場面もあった。
 被害者側は討論会場の外でも声を高めた。同日の討論会に先立ち、韓日歴史的正義平和行動などの市民団体と、野党「共に民主党」のキム・サンヒ議員、ナム・インスン議員、ヤン・ギデ議員、イ・スジン(比例)議員や正義党のカン・ウンミ議員、無所属のキム・ホンゴル議員、ユン・ミヒャン議員などは国会本庁階段前で尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の強制動員被害者賠償案を批判する「非常時局宣言」記者会見を行った。討論会が拙速だとして出席を拒否した日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は記者会見で、「お金だけが目的ならば、このような闘いをしてこなかっただろう。三菱が謝罪し、賠償すべきだ。他の人が肩代わりした賠償金をもらうなんて、無様すぎる。日本が私をどれほど馬鹿にするだろうか」という強制動員被害者のヤン・クムドクさんの発言を伝えた。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075491.html
韓国語原文入力: 2023-01-13 02:44


「The Hankyoreh」 2023-01-13 10:14
■日本の戦犯企業の賠償金、韓国企業が返済するという「日本のための解決策」
 尹錫悦政権「第三者返済」公式化

【写真】「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動」と野党国会議員らが12日午前、国会本庁前の階段で開いた「尹錫悦政権の屈辱的強制動員解決法反対!非常事態宣言」で政府の強制動員問題の解決策は拙速だと糾弾している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、最高裁の確定判決を受けた日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者に対する賠償を、加害戦犯企業の謝罪と賠償への参加なしに、第三者(日帝強制動員被害者支援財団。以下、支援財団)を通じて履行する方針であることを明確にした。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、韓米日協力の基本方針を強化し、強制動員問題を急いで解決しようとしているが、被害者側は強く反発しており、法的弱点を指摘する声も強く、論議はよりいっそう広がる兆しをみせている。
 外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長は12日、外交部と韓日議員連盟のチョン・ジンソク会長が国会議員会館で共同主催した「強制動員解決策の議論のための公開討論会」に発表者として出席し、強制動員被害者の賠償問題を「法定債権」と表現した。また、法律検討を経て「被告である日本企業の代わりに第三者が返済」する可能性があることを確認したと強調した。強制動員問題は日帝の不法な植民地支配から派生したにもかかわらず、2018年に最高裁が日本の戦犯企業の賠償責任を認めた「民事事件」という側面だけを浮上させたわけだ。これは、「最高裁で確定判決され、判決債権者が法にともなう補償を受けとることになっている。日本が懸念する主権問題の衝突なしに債権者が補償を受けられるような案を、現在、詳細に検討している最中」だとして強制動員被害者を債権者と規定した尹錫悦大統領の認識(就任100日目の記者会見)にも相通じる。
 ソ局長はさらに「第三者による返済がなされる場合、支援財団が望ましい主体」だと述べた。これは、政府がすでに言及していた、いわゆる「第三者による重複的・並存的債務引受」を最終解決策としていることを意味する。最高裁の確定判決により賠償責任を負った日本の戦犯企業の「債務」を、「第三者」である支援財団が引き受けた後、ポスコなど1965年の韓日請求権協定で恩恵を受けた企業から寄付金を集め、被害者に代理で賠償する方式だ。
 特にソ局長は、日本政府の追加の謝罪に加えての戦犯企業の賠償参加は「事実上難しい」と述べた。被害者側がこれまで要求してきた2つの重要な前提をすべて避けるという話だ。支援財団のシム・ギュソン理事長も「請求権資金の恩恵を受けた企業から基金を募ることになるだろう」とし、具体的な履行案まで提示した。支援財団は、強制動員被害者への賠償などを事業目的に加える方向に定款を変更し、9日に行政安全部の承認を受けるなど、「第三者債務引受」のための事前準備まで済ませている。
 ソ局長は「この問題が2012年の最高裁で破棄差戻しされてから10年がたった。確定判決を受けた15人のうち生存者は3人だ」と述べ、「現政権も適当に交渉して持ちこすことはできるが、政府が勇気を出し、(解決策を摸索)しているもの」だと説明した。外交部当局者はこの日、「討論会で明らかにしたものは、政府の最終案でない」と述べたが、前日にパク・チン外相は、今回の討論会を解決案作成のための「最後の重要イベント」と規定した。韓日当局間の協議を経て「日本の参加がない第三者返済」案がまもなく公式に発表されるという見通しが有力だ。
 被害者団体側は「加害者の謝罪も賠償参加もない政府解決策は、屈辱的であり没歴史的」だと批判した。討論会に参加したイム・ジェソン弁護士(法務法人ヘマル)は「韓国企業の資金で韓国の被害者の債権を消滅させるという政府案は、日本側にいかなる負担も負わせないという意味」だと批判した。
 政府案の法的弱点を指摘する声も強い。支援財団が賠償をするためには、日本の加害企業と債務引受約定を結ばなければならない。だが、日本側は債務の存在(不法行為)自体を認めずにいる。
 支援財団が定款を変更したことについては、「施行令で法律を無力化させた事例の典型」だとする評価が出ている。チェ・ボンテ弁護士(法務法人サミル)は「財団の設立根拠である『強制動員調査法』は『死亡した者を追悼し、歴史的意味を再確認して平和と人権を伸張』することを事業目的と規定している。親法が付与した権限を越える定款変更は無効」だと述べた。
 財団が請求権協定で恩恵を受けた企業側に基金を要求することは「権限外の不法行為」だとする指摘もある。慶北大学法学専門大学院のキム・チャンロク教授は「最高裁判決の重要な部分は、日帝による朝鮮半島の植民地支配は不法な強制占領であり、そこから派生した強制動員は請求権協定の適用対象ではないということ」だとしたうえで、「財団は、請求権交渉で恩恵を受けた企業側に基金参加を要請する法的権限がないだけでなく、当該企業が財団の要請で基金に参加すれば『背任』に該当しうる」でと指摘した。
チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075573.html
韓国語原文入力:2023-01-13 07:00


「中央日報日本語版」2023.01.13 07:59
■被害者「日本、負担もせず謝罪もない」討論会で怒声・ヤジ

【写真】強制徴用解決案を議論するための公開討論会が12日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)国会議員会館で開かれた。討論会の出席者がポスコ拠出金に反対する内容の垂れ幕を掲げている。キム・ソンリョン記者

 12日に国会で開かれた公開討論会は傍聴席から怒声やヤジが続き、騒然とした雰囲気の中で進行された。特に被害者側が要求してきた日本戦犯企業の賠償参加、日本企業・政府の謝罪などが、政府の解決法に明確に示されていないからだ。
 日帝強制動員市民会と三菱勤労挺身隊訴訟代理人団はこの日、討論会に参加しなかった。「外交部が保安を理由に主要内容さえも提供しないなど被害者を中心にしない討論会は中断すべきだ」と主張しながらだ。
 討論会に出席した被害者側のイム・ジェソン法務法人ヘマル弁護士は「過去に政府は韓日の政府と企業が共に賠償に参加する『2プラス2案」、または韓日の企業が参加する『1+1案』を提示したが、今回出した案は日本は全く負担せず今後の日本側の呼応も担保できない『2+0解決法』だ」と指摘した。政府が韓日関係の改善を急ぐあまり、韓国政府が主導して韓国企業だけが参加する解決法を出したということだ。
 イム弁護士は「日本は遺憾または謝罪表明なく過去の談話の確認に終わる」とし「外交部がこれまで話してきた日本の『誠意ある呼応』は果たして何だったのか、今後、日本の基金出捐を担保する合意文でもあるのか尋ねたい」と問いただした。
 民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「被害者の方々は青春を取り戻す手段がないため謝罪を話す」とし「日本の誠意ある謝罪が重要だ」と強調した。続いて「政府がすでに答えを決めておいて要式行為として討論会をするのではなく、必ず光州(クァンジュ)被害者団体も参加した中で全員が同意できる案をまた議論しなければいけない」と要求した。この日の討論会は関係者の意見を聞く事実上最後の手続きと見なされた。
 討論会は後半に入ると騒々しくなり、結局、傍聴席に座っていた一般参加者の意見を聞けずに終わった。趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官は終了後に記者らに対し「今日出てきた話を朴振(パク・ジン)長官に報告し、相談して(今後の日程を)決める」と話した。
 一方、この日の討論会に参加しなかったイ・グクオン日帝強制動員市民会代表は中央日報の電話で「政府が韓国企業からお金を受けて代わりに弁済すれば、大法院(最高裁)の判決が間違っているという日本政府の主張を認めること」とし「政府は渡ってはいけない危険な川を渡ろうとしている」と批判した。


「AFP」 2023年1月12日 19:32 発信地:ソウル/韓国
■元徴用工問題 原告側支援者らが韓国政府の解決策に抗議

【写真】韓国・ソウルの国会前で、元徴用工問題をめぐる政府の解決策を批判する原告側支援者や野党議員(2023年1月12日撮影)。(c)Jung Yeon-je / AFP

【1月12日 AFP】韓国・ソウルの国会前で12日、元徴用工問題をめぐる政府の解決策を批判する原告側支援者や野党議員が、政府の公開討論会に合わせて抗議デモを行った。
 デモ参加者は、「尹錫悦(ユン・ソンニョル、Yoon Suk-yeol)政権の元徴用工問題への屈辱的な解決策に抗議する」といった文言が書かれたプラカードを掲げていた。
 韓国政府は同日、元徴用工問題の解決に向け、被害者が日本企業から直接ではなく、第三者を通じて補償を受ける案を検討していると表明した。
 韓国は北朝鮮の脅威に対抗していく上で、日本との関係改善を模索している。


「聯合ニュース」 2023.01.12 15:45
■韓国政府 徴用問題で「日本企業の賠償肩代わりも可能」=被害者側は猛反発
【ソウル聯合ニュース】韓日関係の最大の懸案となっている徴用訴訟問題を巡り、韓国外交部と超党派の韓日議員連盟の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)会長は12日、問題解決に向けた公開討論会を共催した。政府は韓国の徴用被害者が日本企業からの賠償に代わり第三者から弁済を受けることが可能との認識を示したが、被害者側は改めて政府案に激しく反発した。

【写真】ソウルの国会議員会館で開かれた公開討論会=12日、ソウル(聯合ニュース)

 討論会で外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長は「債権債務履行の観点から、判決金(賠償金)は法定債権として被告である日本企業の代わりに第三者が弁済可能ということが(これまでの官民協議会で)検討された」と説明した。
 第三者による弁済を行う場合、政府として原告の被害者と遺族に直接説明し、受け取りの意思を尋ね、同意を求める過程を必ず経ると強調した。主体は政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」とする方向だ。
 日本側の謝罪に関して徐氏は「日本がこれまでに表明した(歴史問題での)痛切な謝罪と反省を誠実に維持、継承することが重要だ」と述べた。この発言は、徴用問題に対する直接の謝罪でなく、日本政府がこれまでに示した反省の姿勢を確認する程度にとどまる可能性を示唆したものとみられる。
 また徐氏は、両国の立場が対立する状況では被告企業の賠償金支払いは事実上困難なことを官民協議会の出席者と被害者側も分かっているようだとし、「創意あるアプローチが必要になる」と述べた。
 日本企業はいかなる形だろうと賠償金支払いのための資金の拠出に応じようとしていない。被害者への支払いの財源に関し、日帝強制動員被害者支援財団の沈揆先(シム・ギュソン)理事長は「財団がこの問題に関わる機関となる場合、まずは請求権協定で恩恵を受けた企業の基金を用いることになりそうだ」と述べた。
 1965年に締結された韓日請求権協定により日本からの資金で設立された韓国鉄鋼大手ポスコなどの拠出を指す。沈氏はまた、今回対象となる判決以外の徴用被害者全体のための解決策として特別法の制定を提案した。
 一方、討論会に出席した被害者側は政府案に反対する姿勢を明確にした。被害者の代理人を務める林宰成(イム・ジェソン)弁護士は、韓国が日本企業の賠償を肩代わりする代位弁済などを「本質をごまかす、ゆがんだフレーム」と指摘し、政府案に対し真剣な討論を重ねる必要があるとした。日本側の謝罪は以前の談話をなぞる程度にとどまるとの懸念も示した。 
 民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「韓国が先に資金を拠出して日本の呼応を待つというのは、残念ながら日本に免責を与えることではないか」と問題提起した。
 専門家の間では意見が分かれている。日本の謝罪と資金拠出を現実的に期待できない状況では「重畳的債務引受」が解決策になるとの意見もあれば、政府が解決を急ぎすぎているとの声も上がる。
 政府は問題解決が急務としており、この日の討論会を最後に解決策の正式発表へ進みたい考えだ。ただ、被害者側の反対は依然として激しく、さらに世論の取りまとめに迫られる可能性もある。
mgk1202@yna.co.kr


「聯合ニュース」 2023.01.12 15:03
■徴用被害者支援団体「人権侵害が金の問題に」 賠償肩代わり案批判=韓国
【光州聯合ニュース】韓国政府が12日、韓日関係の最大の懸案となっている徴用訴訟問題の解決に向けた公開討論会で、政府傘下の財団が被告の日本企業の賠償金を肩代わりする案を検討中だと発表したことに対し、原告の徴用被害者の支援団体が痛烈な批判を浴びせた。

【写真】国会前で開いた記者会見で、公開討論会への不参加を巡り発言する李国彦氏=12日、ソウル(聯合ニュース)

 市民団体「日帝強制動員市民の集まり」の李国彦(イ・グクオン)代表は聯合ニュースに「政府が人権侵害の事件を単なる金の問題に転落させた」と主張した。徴用問題は単なる債権・債務の関係ではなく人権侵害事件だとし、「補償は副次的な問題で謝罪が先だ」と強調した。
 また、韓国政府が韓国企業から金を集めて賠償を肩代わりすれば、日本企業に徴用被害者への賠償を命じた大法院(最高裁)の判決が間違いだとする日本政府の主張を韓国政府が認める形になると指摘。「強制動員問題に関するわれわれの主張の根拠と論理そのものを韓国政府が自ら崩すことになる」と懸念を示した。
 政府が検討する財団による賠償肩代わり案は、この日の公開討論会で外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長が発表した。
 同団体と元朝鮮女子勤労挺身隊の訴訟代理人は前日、「外交部が部外秘であることを理由に発題文(発表資料)すら提供していない」として公開討論会の不参加を宣言した。討論会は被害者を脇役扱いするものだとして中止も求めていた。


「聯合ニュース」 2023.01.12 12:15
■徴用解決策「屈辱的」と政府に撤回要求 野党議員と市民団体=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓日間の徴用問題の解決策を探る韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対し、韓国野党の国会議員と市民団体は12日、「屈辱的な解決案を直ちに撤回せよ」と要求した。

【写真】記者会見する野党議員と市民団体=12日、ソウル(聯合ニュース)

 多数の市民団体でつくる「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」と、革新系最大野党「共に民主党」の24人、革新系野党「正義党」の6人、無所属2人の計32議員はこの日国会前で、「非常時局宣言」とする記者会見を開いた。
 日本による植民地時代の韓国人徴用被害者への賠償問題を巡る韓国政府の解決の方向性について、一同は「被害者に対する日本の加害企業の謝罪と賠償が抜け落ちたまま、韓国企業の寄付金だけで判決金(賠償金)を代わりに支払わせる案」と指摘。「司法府の判決を行政府が無力化する措置で、三権分立に反し、憲法を否定するもの」と見なし、「日本の圧力に屈服し、韓国の司法の主権を放棄するも同然だ」と批判した。
 また加害企業からの正当な謝罪と賠償を求める被害者を、寄付金を乞うような立場に追い込み、人権を踏みにじるものだとし、「誰のために韓日関係を正常化しようというのか」と問いただした。
 政府はこの日、徴用問題の解決策を取りまとめるために最後の意見集約となる公開討論会を開催している。


「聯合ニュース」 2023.01.12 12:03
■徴用問題巡りソウルで公開討論会 韓日議連会長「いい加減な解決策望まない」
【ソウル聯合ニュース】韓日関係の最大の懸案となっている徴用問題を巡り、解決策を議論するための公開討論会が12日午前、ソウルの国会議員会館で開かれた。超党派の韓日議員連盟の会長を務める与党「国民の力」の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長は開会の辞で、「いい加減な解決策は望まない」と強調した。

討論会で開会の辞を述べる鄭氏=12日、ソウル(聯合ニュース)
 鄭氏は「大法院(最高裁)が日本企業の賠償責任について言及した2012年5月を起点にすると10年が過ぎた懸案だが、いまだに明確な解決策が打ち出されていない」として、「きょうの討論会は被害者のハン(恨)を晴らすための場」と述べた。
 また「われわれは過去を直視しつつ、未来に向かって進まなければならない」とし、「1998年、(当時の)金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が宣言した『韓日パートナーシップ』の精神を生かし、両国関係を最も良好だった時期に戻すことがわれわれの外交の目標であり、われわれの国益に合致すること」と強調した。そのうえで、「強制徴用問題の解決のためには日本政府と日本企業が担わなければならない部分が明確にある」とし、「韓日両国の誠意のあるアプローチが同時に行われるべきだ」との認識を示した。
 討論会は韓国政府が徴用問題の解決策を発表する前の事実上最後の意見集約の場となる。当初は外交部と韓日議連の共催で開かれる予定だったが、連盟所属の野党議員らが反発し、外交部と鄭氏の共催となった。被害者を支援する一部の団体と三菱重工業を被告とする訴訟の原告代理人らは討論会に参加しなかった。
 韓国政府の解決案としては、行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が韓国企業などから寄付を募り、日本企業の賠償金を肩代わりする案が有力視されている。だが、被害者側は日本企業の拠出や日本政府と企業の謝罪を求めている。


「聯合ニュース」 2023.01.12 14:14
■韓国政府「財団による日本企業の賠償肩代わりも可能」 徴用問題
【ソウル聯合ニュース】日本による植民地時代の徴用問題を巡り、韓国政府は12日、日本企業からの賠償に代わり韓国の徴用被害者が第三者から弁済を受けることが可能との認識を示し、被害者に受け取りへの同意を求めていく方針を明らかにした。外交部と超党派の韓日議員連盟の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)会長が共催した公開討論会で、外交部の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長がこれまでの検討結果として説明した。この日の討論会は徴用問題の解決に向けた事実上最後の意見集約の場で、政府が追って発表する解決策の骨子になるとみられる。

【写真】討論会の開始に当たりあいさつする外交部の趙賢東第1次官=12日、ソウル(聯合ニュース)

 徐氏は「債権債務履行の観点から、判決金(賠償金)は法定債権として被告である日本企業の代わりに第三者が弁済可能ということが(これまでの官民協議会で)検討された」とし、検討を重ねるうち、被害者が第三者を通じて賠償金をまず受け取ってもいいと考えるに至ったと説明した。
 同氏は「政府としては原告の被害者と遺族に直接お会いし、丁寧に説明して受け取りの意思を尋ね、同意を求める過程を必ず経るようにする」と強調した。新たな財団や基金の設立に要する手続きと時間を省くため、行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」を活用するのが望ましいとの意見でまとまったという。
 日本側の謝罪に関しては、被告の日本企業が徴用問題全体を代表して謝罪するのは不可能なこと、韓日間には他にも歴史問題が山積していることに言及した上で、「日本がこれまでに表明した痛切な謝罪と反省を誠実に維持、継承することが重要だ」と述べた。
 また、両国の立場が対立する状況では被告企業の賠償金支払いは事実上困難なことを官民協議会の出席者と被害者側も分かっているようだとし、「この部分では創意あるアプローチが必要になる」との見解を示した。
 日本側は判決履行と映りかねない被告企業による資金拠出を極度に避ける姿勢のため、別の方法を模索するしかないとの認識のようだ。
 被害者が十分に満足できる解決策を見いだすことの難しさに触れた後、「記憶と追悼、研究、重要な人権問題としての未来世代への教育を強化することも役立ち、答えになるのでないかと考える」と述べた。
 また、討論会開会のあいさつに立った外交部の趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官は、大変に難しい問題ながら解決が急がれると繰り返し強調し、「われわれが決断力ある第一歩を踏み出せば、日本もこれに呼応し足並みをそろえて未来に進むことができると期待する」とした。被害者に対しては「忘れない。記憶する」と語りかけ、徴用を巡る議論が今回の判決に関する問題の解決で終わってはならないとも述べた。
 一方、討論会に出席した被害者側は、政府案に反対する姿勢を重ねて示した。

【写真】ソウルの国会議員会館で開かれた公開討論会=12日、ソウル(聯合ニュース)


「The Hankyoreh」 2023-01-12 06:26
■[独自]強制動員支援財団「特別法制定で被害者問題の解決を」

【写真】12日、国会で強制動員問題解決のための公開討論会が開かれる。写真は9月1日、光州市議会市民疎通室で日帝強制動員市民の会が最高裁に意見書を提出した外交部の謝罪を求める記者会見を行っている姿/聯合ニュース

 行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団のシム・ギュソン理事長が、強制動員問題解決法と関連し、「被害者の問題を包括的に解決できる唯一の方法は特別法の制定しかない」と述べた。
 11日、本紙が入手した「強制動員問題の解決に向けた公開討論会」でのシム・ギュソン理事長の発題文によると、シム理事長は年末と年初4日間、強制動員被害者で構成された特別委員会と諮問委員会と面会し、「遺族支援のための特別法、いわゆる『ムン・ヒサン法案』のようなものを作るため、財団が先頭に立つと説明した」とし、このように明らかにした。
 シム理事長が言及した「ムン・ヒサン法案」とはムン元国会議長が2019年12月に代表発議した法案で、記憶・和解・未来財団に韓日両国企業と個人などからの寄付で基金を作り、強制徴用被害者に慰謝料を支給する内容が含まれていたが、最高裁(大法院)判決を形骸化しようとする法案という批判を受け、国会では議決されなかった。
 シム理事長が特別法の制定に言及したのは、寄付によって基金を作り財団が被害者に賠償を行った場合、法的問題が生じかねないと判断したためだ。韓国政府はこれまで強制動員被害者支援のために設立された日帝強制動員被害者支援財団が韓日両国企業の自発的寄付を募り、その金で戦犯企業の日本製鉄と三菱重工業に代わって被害者に支給する「併存的債務引受方案」を進めてきた。問題は財団の設立根拠となる「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者など支援に関する特別法」には財団が被害者に対する補償と賠償問題に関与できる根拠条項がない点にある。財団は定款に「被害者補償および返済」内容を追加したが、親法を越える改正と指摘された。これを踏まえ、ムン・ヒサン法案のように被害者認定の範囲、賠償方式まで全て盛り込んだ特別法を新たに作り、法的な問題を避けようとしているものとみられる。
 シム理事長はこれと関連して「現在、政府が考えている案よりはるかに良い案があるにもかかわらず、それが可能であるにもかかわらず、屈辱的な外交をしているわけではなく、不可能な最善よがりは可能な次善を選ぼうとしているようだと、(被害者に)説明した」と強調した。
 シム理事長は強制動員賠償に使われる財源と関連しても「『社会的貢献』や『企業の社会的責任』(CSR)という側面から自発的に参加するよう誘導することが被害者と企業の互いにウィンウィンする方法」だと強調した。また「請求権協定の恩恵を受けた企業は財団に寄付金を出す法的義務もなく、財団も寄付金を要求する権利がない。しかし被害者たちは当然これら企業の参加を要求し、期待しているのも事実」だと語った。
 外交部は12日、国会議員会館で「韓日強制動員被害者問題の解決に向けた討論会」を開催し、このような案などを公開し、最終的な意見収集に乗り出す予定だ。シム理事長は「財団が特別法の制定のために努力すると公開的に明らかにしたのは初めて」だとし、「私はこの約束を守るために最善を尽くす予定だ。財団内に特別法研究支援チームを作る予定であり、すでに予算も割り当てた」と明らかにした。
 しかし、シム理事長の主張どおり特別法を制定するためには、野党の同意が欠かせない。だが、被害者と野党は戦犯企業の反省と謝罪もなく、損害賠償ではない他の企業の寄付金で賠償金を支給するのは明らかに強制徴用犯罪に免罪符を与えることだとして、併存的債務引受案に反対しており、難航が予想される。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1075357.html
韓国語原文入力:2023-01-11 20:37


「聯合ニュース」 2023.01.11 17:37
■徴用被害者支援財団 韓国政府が定款変更承認=賠償肩代わりの根拠に
【ソウル聯合ニュース】韓国行政安全部が、日本による植民地時代の徴用被害者への賠償問題を巡って日本企業の賠償金を肩代わりするために「日帝強制動員被害者支援財団」が届け出た定款の変更を9日に承認し、同財団に通知していたことが分かった。同部の関係者が11日、聯合ニュースの取材に明らかにした。

【写真】2022年12月19日、徴用被害者である梁錦徳(ヤン・クムドク)さんへの「人権賞」(国民勲章)授与が見送られたことに抗議する記者会見を開く韓国市民団体「日帝強制動員市民の集まり」のメンバー(同団体提供)=(聯合ニュース)

 定款の変更は今月2日、諮問を経て先月21日の理事会で決定された内容のままで提出された。
 理事会では定款第1条の設立目的に「被害者に対する補償・弁済・支援など」「国民統合および韓日両国間の過去を直視し、成熟した関係に進むことに寄与する」という文言を追加し、目的事業を規定する第4条に「日帝(日本)の国外強制動員被害者と遺族に対する被害補償と弁済」を新設する案が可決された。これまでの定款には被害者への賠償に関する内容は含まれていなかった。
 行政安全部は今回の定款変更について、財団が民間の財源を用いて賠償金を肩代わりすることが決まった場合に備えた事前準備だと説明している。


「中央日報日本語版」 2023.01.11 14:51
■「被害者を脇役にする」…日本強制動員被害者側が公開討論会ボイコット

【写真】(社)日帝強制動員市民会が11日、オンラインコミュニティーに政府に対する「糾弾声明」と共に載せた写真 ネイバーカフェ キャプチャー

 韓国外交部が12日に日帝強占期強制徴用賠償問題の解決策を模索する公開討論会を開こうとしたが、強制動員被害者と市民団体、代理人団が全面ボイコットを宣言した。
 被害者側は先週まで討論会に参加するという立場だったが、外交部との意思疎通の過程で雑音があり、結局、「被害者を脇役にする粗雑な討論会は直ちに中断すべきだ」として不参加の意思を明らかにした。
 社団法人の日帝強制動員市民会(市民会)は11日、糾弾声明を出し、「悩んだ末、今回の討論会に『不参加』することを決めた」とし「最も重要な当事者である被害者側は今回の討論会に関する基本的な情報さえも受けていない」と理由を明らかにした。
 市民会によると、外交部は討論会前日の11日午前10時まで被害者側に行事の概要や参加者名簿、主要内容など基本的な情報を提供しなかったことが明らかになった。市民会側は「アパート住民総会でもこのようなやり方はしない」とし「国益と直結する重大な問題をこのように追われるようにする理由が気になる」と強く批判した。
 そして「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の一方通行式意思疎通、傍若無人の態度は初めてでない。今回の討論会も政府が一方的に答えを決めておいて、それに合せるものにすぎない」と主張した。
 市民会側は「(強制動員被害者賠償は)加害者の日本被告企業が負うべき賠償金だが、政府は突然、韓国企業から寄付金を集めて原告に支払おうとする」と指摘した。
 これに先立ち外交部は5日、強制動員被害者賠償問題を解決するための公開討論会を国会で開くと発表した。政府は討論会の後、強制徴用関連の解決案を発表し、これに基づいて日本との関係改善も加速するという構想だった。
 しかし討論会開催の過程でも、共同主催者が韓日議員連盟所属の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国民の力非常対策委員長という点などで雑音があった。当初、外交部が韓日議員連盟の支援を受けて討論会を開催すると明らかにしたが、連盟所属の野党議員らは「内部で一度も議論されていない」と否認した。
 さらに当事者の被害者まで最終的に不参加を決め、討論会が不完全な形態で開かれる可能性が高まった。
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