「The Hankyoreh」 2024-11-27 09:16
■少女像と共に…ベルリンで女性に対する暴力撤廃の国際デー
【写真】25日(現地時間)、ベルリンのティアガルテン市庁舎前。ドイツの女性団体「極右に反対するおばあさんたち」と在独市民団体「コリア協議会」による女性に対する暴力撤廃の国際デー集会=トレプトウ・ケーペニック区緑の党青年部代表のサンティアゴ・ロドリゲス提供//ハンギョレ新聞社
「Ni Una Menos(ニ・ウナ・メノス)」
女性に対する暴力撤廃の国際デーの11月25日(現地時間)、ドイツのベルリンに設置されている「平和の少女像」(以下、少女像)の前に集まった人々が叫んだ。アルゼンチンの言葉で「1人として失うわけにはいかない」を意味する「ニ・ウナ・メノス」は、2015年に「フェミサイド」(女性であることを理由とするあらゆる殺害)に反対してアルゼンチンではじまったフェミニズム運動のスローガンだ。この日、ドイツの代表的な女性団体「極右に反対するおばあさんたち」と少女像を建てた在独市民団体「コリア協議会」は共同で集会を行い、家父長的暴力で命を落としたすべての女性を追悼し、撤去の危機に立つ少女像を守ろうと訴えた。
集会に参加した80人あまりの人々は、少女像の位置するミッテ区からティアガルテン市庁舎まで行進しながら、「フェミサイドをやめろ」、「私たちはここに来ていて、騒ぐつもりだ。あなたたちが『アリ(少女像の名前)』を盗もうとしているからだ」というスローガンを叫んだ。コリア協議会は「私たちは今日『慰安婦』女性たちを追悼する。戦争中の性暴力に対する警戒心を呼び覚まし、『慰安婦』女性追悼の象徴である少女像を守るための闘争は今も続いており、それは家父長的構造がドイツでも依然として深く根を張っていることを示している」と述べた。
【写真】=トレプトウ・ケーペニック区緑の党青年部代表のサンティアゴ・ロドリゲス提供//ハンギョレ新聞社
平和の少女像のあるミッテ区のシュテファニー・レムリンガー区長は、先月31日までに少女像を撤去すること、違反すれば3000ユーロ(約440万ウォン)の過料を課すことを通知してきた。しかし、コリア協議会は裁判所にミッテ区の命令の効力停止を求める仮処分を申し立て、現在は裁判所の判断を待っている。
この日の集会に参加したベルリンのトレプトウ・ケーペニック区緑の党青年部の代表を務めるサンティアゴ・ロドリゲスさんは、「私たち緑の党は少女像の永久保存を支持する」と述べ、同党に所属するレムリンガー区長の撤去決定を批判した。同氏は「緑の党が率いる区が銅像の撤去を主張し続けるのは、歴史的義務に対する深い無責任を表すものであるだけでなく、この問題に対する私たちの党の立場を尊重する意志が不足しているということを示している」として、「私は、犯罪被害者の歴史を消し去るために加害者の側に立つ政治家たちとは共に働かない」と述べた。
【写真】25日(現地時間)、ドイツの女性団体のメンバーがベルリン平和の少女像前からティアガルテン市庁舎まで行進している=サンティアゴ・ロドリゲス提供//ハンギョレ新聞社
女性に対する暴力撤廃の国際デー週間に際し、欧州各地ではベルリンをはじめとして抗議デモが行われた。フランスでは23日、400以上の団体の主導で、数千人の市民の参加を得て、女性に対する暴力に反対する集会が行われた。25日にはスペインやギリシャ、イタリアなどでも、ジェンダーにもとづいた暴力によって命を落とした女性たちを追悼する行事が行われた。ドイツのオラフ・ショルツ首相はこの日、X(旧ツイッター)への投稿で「3分に1度、女性や少女たちは家で暴力を受けている。これも警察の統計に表れた犯罪に限ったものだ」とし、「女性のためのシェルター、カウンセリングサービス、頼れる財政などのためのより多くの空間があるべきだ」と述べた。
【写真】25日(現地時間)、スペインのマドリードで、ジェンダーにもとづく暴力によって殺害された被害者の名前の書かれたプラカードを手にしたデモ隊が行進している=マドリード/ロイター・聯合ニュース
国連は1999年に、11月25日を公式に「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に定めた。国連女性機関と国連薬物犯罪事務所(UNODC)はこの日、昨年だけで世界で8万5000人あまりの女性が男性によって意図的に殺害されたと明らかにした。DPAの報道によると、ドイツも暴力にさらされる女性の数が増加しており、昨年は938人がフェミサイドの犠牲になるか、そのような危険にさらされ、そのうち360人が実際に死亡している。
また韓国女性の電話は、韓国で過去15年間に報道された件数だけを集計しても、親密な関係にある男性パートナーに殺害された女性とその周囲の人は少なくとも1672人おり、昨年1年間に少なくとも192人が死亡したと発表している。
【写真】25日(現地時間)、イタリアのミラノで行われた女性に対する暴力撤廃の国際デー記念集会に参加した女性たち=ミラノ/AP・聯合ニュース
ベルリン/チャン・イェジ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-11-26 09:05
「The Hankyoreh」 2024-11-19 10:08
■イタリアに少女像を建てた女性「韓国政府はなぜ日本の少女像脅迫に対応しないのか」
イタリアのサルデーニャ島に少女像を建てたロザマリア・カイアッツァさん
【写真】イタリアのサルデーニャ島に少女像を建立したロザマリア・カイアッツァさんが14日午後、ソウル麻浦区の戦争と女性人権博物館の前で記念撮影をしている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社
「一部の日本人は私たちに『日本軍慰安婦についてはすでに韓国に謝罪したので、もう問題はない』と主張する。韓国に聞いてみろといわんばかりだ。ところが、それよりさらに気になるのは、韓国はなぜこのような事態に対応をしないのかだ」
イタリアのサルデーニャ島の州都であるサッサリから来たロザマリア・カイアッツァ(Rosamaria Caiazza)さん(65)は、サッサリから約100キロメートル離れた海辺の休養都市スティンティーノ市に今年6月「平和の少女像」(以下少女像)を建てた一員だ。長年の友人であるスティンティーノ市のリタ・リンバニア・バッレベッラ市長と共に、日本軍「慰安婦」問題を女性の普遍的人権問題として捉え、スティンティーノを訪れる観光客にこの問題を知らせるために努力してきた。14日、ソウル麻浦区城山洞(マポグ・ソンサンドン)の「戦争と女性人権博物館」で会ったカイアッツァさんは、少女像をめぐる日本の一部勢力の脅威が続いていると語った。同時に、韓国政府が反応を示さないことについて疑問を感じるとも話した。
ForestellaとBTSファンとして慰安婦に関心
像建立後、日本側から脅迫メールと小包殺到
「共同通信の『文言変更検討』は事実ではない
何の反応もない韓国政府に疑問感じる」
外交部「政府が関与するのは望ましくない」
像建立後、日本側から脅迫メールと小包殺到
「共同通信の『文言変更検討』は事実ではない
何の反応もない韓国政府に疑問感じる」
外交部「政府が関与するのは望ましくない」
「日本の嫌韓・極右勢力が市長と市関係者たち宛てに脅迫メールをはじめ、関連内容が書かれた手紙や品物などを小包で送ってくる。韓国軍はベトナム戦争でもっと酷いことをしたという。そして、駐イタリア韓国大使館に立場を聞いてみろと言われた。ところが、韓国側からは何の返事もなかった」
そして、スティンティーノ市が(日本の主張を踏まえ)文言の変更を検討する意向を示したと共同通信などが報じたが、これは事実ではないと付け加えた。カイアッツァさんは「(このような脅威は)一種の脅迫、ストーキングだと思う。イタリアの人々はもっと否定的に捉えている」と強調した。イタリアメディアの「イル・フォッリョ」は6月24日、「戦争の被害女性たちの悲劇を巡る『政治的な操作』が、先週土曜日にサルデーニャに建てられた少女像でそのまま現れている」と報道した。韓国外交部は18日、ハンギョレに「少女像の設置は地域と市民社会など民間の自発的な動きであり、韓日政府が関与するのは望ましくない」と答えた。
【写真】今年6月、イタリア・サルデーニャ島のスティンティーノ市の海辺に設置された平和の少女像=正義記憶連帯提供//ハンギョレ新聞社
スティンティーノの少女像は、2013年に米カリフォルニア州グレンデール市立公園の公立図書館前に建てられて以来、海外で建てられた14体目の少女像。欧州では、ドイツのベルリン以来、公有地に設置されたものとしては2体目。スティンティーノの少女像には、韓国語の他にもイタリア語と英語で書かれた碑文が別途の案内板として設置されている。この碑文には、日本軍が第二次世界大戦当時、アジア太平洋地域で数多くの少女と女性たちを強制的に連れて行き軍隊の性奴隷として利用し、少女像はこの被害者たちを記憶する象徴だと書かれている。日本側はこの少女像の除幕式前から反対の声をあげてきたが、少女像は5カ月間揺るぎなくその場を守っている。少女像を見た現地の人々や世界の観光客の反応はどうかという質問に、カイアッツァさんは「イタリア人の反応も世界の人々と似ている。先進国だと思っていた日本の国家主導犯罪を知って驚き、まだ解決していない問題なので驚く」とし、「ソーシャルメディアを通じてさらに広く知られているようだ」と語った。カイアッツァさんはギリシャとスイスの都市にも少女像をさらに設置することについて協議している。韓国の海が見える都市と自分が住むサッサリの姉妹都市提携も進めている。
カイアッツァさんはローマ近郊で生まれたが、軍人だった父親とともにサルデーニャ島で50年間暮らした。教師として25年間働いた後、3年前から韓国とイタリアの文化を伝えるウェブマガジン「コタリア」の編集人を務めている。カイアッツァさんが少女像の建立にこれほどまで情熱を注ぐのは、韓国に対する愛情のためだ。ファッションの国イタリア人らしく韓国のファッションに関心があり、K-POPスターの中でForestella(フォレステラ)のカン・ヒョンホと防弾少年団(BTS)のジョングクの大ファンだ。記者に彼らの写真を見せながら笑顔を絶やさなかったカイアッツァさんは、韓服(韓国の伝統衣装)を着て雪岳山(ソラクサン)を登山するなど、韓国の多様な面をより深く学んでいる。韓国の桜の花咲く春先と紅葉が美しく染まった秋を見に訪れた昨年、戦争と女性人権博物館に立ち寄り、日本軍「慰安婦」被害の真実もさらに深く調べたという。
水曜デモで「韓日を越えた女性の人権問題
被害者のそばで共に歩んでいく」連帯発言
被害者のそばで共に歩んでいく」連帯発言
【写真】ロザマリア・カイアッツァさんが11月13日、ソウル特別市鍾路区寿松洞の日本軍性奴隷制問題解決のための水曜デモで連帯発言をしている=水曜デモのユーチューブ動画よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社
【写真】14日、ソウル麻浦区の正義記憶連帯事務所でハンギョレと会ってインタビュー中のロザマリア・カイアッツァさん(左)とペク・クァンヨル前延世大学教授=チェ・ウリ記者//ハンギョレ新聞社
カイアッツァさんと交流し、少女像の設置を手助けしたペク・クァンヨル前延世大学気候金融研究院長は同日、インタビューに同席し、「(カイアッツァさんは)博物館に来る前から日本軍『慰安婦』問題について知っていた」とし、「韓国はヨーロッパと遠く離れているが、ヨーロッパ人にとって身近な国」だと強調した。
カイアッツァさんは日本軍「慰安婦」被害問題が韓日両国の問題を越える女性の人権の象徴だと強調した。13日にソウル鍾路区の旧日本大使館前で開かれた第1674回水曜デモでは、イタリア語で「私たちは沈黙しない」とし、「被害者たちのそばに立って連帯しなければならない。苦痛を受けてきた人々に、正義が正当な認定と尊重をもたらすことを望む。私たちはこの道を共に歩んでいく」という連帯発言を残した。
チェ・ウリ、パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-11-18 19:33
「The Hankyoreh」 2024-11-01 11:25
■国連女性差別撤廃委、日本政府に「慰安婦問題は未解決…被害者の権利保障に努力を」
女性差別撤廃委、夫婦同姓規定の見直しなども勧告
【写真】日本軍「慰安婦」被害者メモリアルデーを迎え、ドイツ・ベルリンのミッテ区にある「平和の少女像」の前で開かれた集会に参加した市民たちが、少女像の前に花を置いている=ベルリン/チャン・イェジ記者//ハンギョレ新聞社
国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は日本政府に対し、日本軍慰安婦被害者の賠償請求など権利保障の努力を強化し拡大しなければならないと再度指摘した。
委員会は日本政府に向けて「戦争犯罪と反人道的犯罪の公訴時効排除」、「被害者の立場での賠償」が必要だという点を繰り返し強調した。
29日(現地時間)、ホームページに公開した「国連の女性差別撤廃条約に対する日本政府の定期履行報告」で「慰安婦の権利問題解決に関する当事国(日本)の努力を評価する」としつつも「被害・生存者の真実と正義、賠償に対する権利保障のための努力を持続し、拡大する必要がある」と明らかにした。
続けて、日本政府に向けて以前行なった勧告に再度言及し「国連経済社会委員会(ECOSOC)が国際法に基づいて採択した『戦争犯罪と反人道的犯罪には公訴時効がない』という原則を受け入れなければならないという点を繰り返し想起する」と強調した。
委員会は2016年3月、日本政府に対する「定期履行報告書」でも第2次世界大戦時の日本軍慰安婦被害者の救済策が不十分だとし、強く批判した経緯がある。
当時委員会は「われわれの最終見解は、慰安婦問題は(韓日政府間の2015年12月28日合意にもかかわらず)まだ解決されていない問題だということ」だと指摘。また、「(日本政府の)指導者や当局者が責任を軽んじる発言で被害者に改めて心的苦痛を与えている」とし、「慰安婦問題を『最終的かつ不可逆的に解決される』とする合意の発表は被害者中心のアプローチを十分に取らなかった」とも指摘した。「最終的かつ不可逆的解決に合意した」という一年前の2015年の韓日慰安婦合意の不当さを指摘したのだ。
今回も委員会は、前回の勧告から8年がたっても依然として問題が残っているという点を再び強調した。委員会は女性差別撤廃条約に対する主要国家の是正を一定期間ごとに審査して報告書を出すが、拘束力はない。
また、「選択的夫婦別姓」の導入も勧告した。日本では結婚後、主に女性が夫の姓を名乗る「夫婦同姓」を根幹に維持してきているが、性差別だという議論と共に、女性が社会的に受ける被害を改善する要求の声が大きかった。委員会は2003年、2009年、2016年に続き今年も日本政府に夫婦別姓導入を強く勧告した。委員会は前回の審査で「日本で結婚後に配偶者の姓に従う制度は、職場生活だけでなく私生活でも多くの日本女性に悪い影響を及ぼしている」と批判した。一方、日本政府代表団は審査で「夫婦別姓は国民の意見が分かれる事案であり、日本社会全体で家族の存在方式に関する重要な問題であるため、幅広い国民の理解を得る必要がある」として明確な答を避けた。
委員会は、皇室が男系男子に皇位を継がせることを規定した皇室典範についても、「男系男子だけの皇位継承を認めることは、(国連の)条約目的と趣旨に反する」と指摘した。委員会は「この問題について委員会が指摘するのは権限範囲を外れるという当事国(日本)の立場に留意する」としながらも「皇位継承で男女平等を保障するために他国の事例を参考にするよう」勧告した。先の審査で日本政府はこの問題に関して「皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項であり、女性差別撤廃条約の趣旨に照らし(委員会が)取り上げることは適切でない」という立場を明らかにしている。委員会はこの他にも最終見解に、日本政府が同性結婚を認めることなどを含めた。委員会の審査は国際法上拘束力はないが、女性差別撤廃という理念実現のために国際社会で尊重されている。
東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-10-30 21:00
「聯合ニュース」 2024.09.11 15:02
■韓国2大労組 独大使館前でベルリン少女像の撤去に反対
【ソウル聯合ニュース】ドイツの首都ベルリン市内にある旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」の撤去期限が28日に迫るなか、韓国労組の二大全国組織は11日、ソウルのドイツ大使館前で撤去反対を訴えた。
【写真】在韓ドイツ大使館前で行われた記者会見の様子=11日、ソウル(聯合ニュース)
全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)は、慰安婦被害者を支援する韓国市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」と共にドイツ大使館前で記者会見を開き、少女像の設置を認める期限(28日)以降の像の存続を求めた。
主催者は、ドイツ政府は過去の戦争犯罪の過ちを償うために努力してきたが、少女像を撤去することになれば、このような努力は水の泡になると主張した。
正義連の李娜栄(イ・ナヨン)理事長は「少女像は苦痛を受けながら息を殺して生きなければならなかった数多くの被害者と、その人たちの勇気を象徴する」として「帝国主義の過去から抜け出し人類普遍の価値を実現するために努力してきたドイツに少女像がなければならない理由」と強調した。
記者会見に参加した野党「祖国革新党」の国会議員は「少女像撤去の動きは全世界で平和と人権を守るために努力する多くの市民を見捨てる行為」とし「平和の少女像は全世界の平和人権のための連帯の象徴であるため永久に存置されなければならない」と要求した。
李理事長は記者会見後、ドイツ大使館を訪れ、少女像の存続を求める内容が盛り込まれた韓国とドイツの労働団体の共同声明を伝える書簡を伝達した。
「The Hankyoreh」 2024-09-09 08:59
■ベルリンの少女像存置のために訪独した韓国野党議員団…「代案検討を約束された」
連邦議会レベルでも代案の検討を約束
【写真】6日(現地時間)ドイツのベルリン韓人会で「国会ベルリン平和の少女像を守る国会議員団」が会見をしている。左から民主党のキム・ヨンマン議員、祖国革新党のイ・ヘミン議員、民主党のチュ・ミエ議員、イ・ジェガン議員、チョン・ヨンギ議員//ハンギョレ新聞社
ドイツ・ベルリンのミッテ区にある「平和の少女像」(以下、少女像)の撤去期限まで3週間ほどに迫るなか、韓国の野党の国会議員団がドイツを訪問し、ベルリン市と連邦議会のレベルで少女像存置のための「代案を検討する」という返事を得たことを明らかにした。
「国会ベルリン平和の少女像を守る国会議員団」(「共に民主党」のチュ・ミエ議員、チョン・ヨンギ議員、イ・ジェガン議員、キム・ヨンマン議員、「祖国革新党」のイ・ヘミン議員。以下議員団)は6日(現地時間)、ベルリンの韓人会館で記者団に4~7日間の日程で訪独した成果を伝えた。議員団は5~6日の2日間、ミッテ区のシュテファニー・レムリンガー区長をはじめ、ベルリン市と連邦下院を相次いで訪問し、少女像の存置の必要性とそれに対する韓国世論を伝えたと述べた。特に、連邦下院の社会民主党所属で家族高齢者女性青少年委員会のウルリケ・バッハ委員長との面会で、バッハ委員長は「下院議員たちとともに、少女像を保存するための方策を要請してみる」と述べ、議員団との連絡チャンネルを維持し今後の代案を議論できるようにした。議員団の団長のチュ・ミエ議員は、家族や隣人、国家から捨てられた少女の姿をした銅像が象徴するものを説明し、「政治家として、私たちがまず動かなければならないのではないか」とバッハ委員長を説得したと語った。
少女像の撤去など行政執行の実質的な権限はミッテ区にあるが、連邦議会レベルで少女像に関する議論を始める意向を明らかにしたのは、今回が初めて。ミッテ区では、区議会レベルで2020年から数回にわたり少女像の存置を求める決議案を出し、区庁に圧力をかけてきた。
議員団はこの日、ミッテ区のレムリンガー区長にも面会して書簡を渡し、少女像撤去を保留してほしいと要請した。団長のチュ・ミエ議員は、レムリンガー区長に「(少女像は)法的・行政的手続きでだけで扱うテーマではない。戦時性暴力に対する過去の問題だけでなく、現在直面する問題、さらには、これからはそれを予防しようという(メッセージを込めた)市民的な平和連帯の象徴になっていると(レムリンガー区長に)伝えた」と述べた。議員団は書簡に「少女像は韓日両国の過去の歴史の論争の種を作ることが目的ではない」として、「少女像が外交事案として浮き彫りになることをベルリンが不都合に思うのであれば、世界の市民から多くの抗議にあうだろう」と書いた。レムリンガー区長は、今回の面会では原則的な立場を示したという。区長は、少女像の設置期限が終わる今月28日までに、少女像を建てたドイツの市民団体「コリア協議会」が銅像を撤去しなければ、過料を科す予定だと通知した状態だ。
議員団はベルリン市との面会でも、州政府レベルでの努力を要請した。チュ議員は「ベルリン市の外交担当次官は、少女像の象徴性、芸術性、公共性などに深く共感した」として、「(撤去に関しては)管轄区庁の行政執行の領域だが、少女像の存置を望む韓国国民の世論を受け止め、代案を検討してみると言っていた」と述べた。ベルリン市のカイ・ウェグナー市長は5月に日本を訪問し、上川陽子外相との会談の場で「変化を作ることが重要だ」として、少女像問題を解決するという趣旨の発言をし、物議を醸した。
これに対して、少女像を建てたドイツの市民団体「コリア協議会」は5日(現地時間)、ベルリン市庁舎の前でウェグナー市長の辞任を求め、「ウェグナー市長は、日本政府のために自身の政治的影響力を使うのではなく、ベルリン市民の要求に集中しなければならない」と主張した。さらに、ウェグナー市長が「日本政府と対立が生じる可能性がある」として、コリア協議会の『慰安婦』教育プログラムの基金への支援中止の圧力をかけた疑惑についても、調査をベルリン市議会に要求した。ドイツメディアは、日本大使館がプログラムへの支援可否の決定に影響を与えるために、関係する審査員に食事を提供したとも報じた。最終的にベルリン市は、3年間続いたプログラムへの支援を打ち切った。このプログラムに参加したフリッツ・カールセン学校の歴史教師のサシャ・マルティノビィッチさんは「少女像を通じて、生徒たちは『慰安婦』としての同性の苦痛を学ぶとともに、彼女たちの勇気も学んだ」として、「民主的決定を経るべきことが、国家的、政治的利害関係の道具になったという事実は驚くべきことだ」と批判した。
【写真】5日(現地時間)、ベルリン市庁舎の前でベルリン市のカイ・ウェグナー市長の辞任を求めて集会を開いたドイツの市民団体「コリア協議会」//ハンギョレ新聞社
文・写真:ベルリン/チャン・イェジ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1157418.html
韓国語原文入力:2024-09-08 11:27
「The Hankyoreh」 2024-09-09 07:40
■日本軍「慰安婦」被害女性が死去…残る生存者は8人
8人の生存被害者の平均年齢は95歳
【写真】日本軍「慰安婦」被害者追悼の日を翌日に控えた先月13日、京畿道広州市のナヌムの家のすでに故人となった被害女性たちの胸像の前に、花が供えられている/聯合ニュース
日本軍「慰安婦」被害女性がまた1人死去した。これで政府に登録されている生存被害者は8人のみとなった。
正義記憶連帯は7日、日本軍「慰安婦」被害者のAさんが前日に死去したことを発表した。
正義記憶連帯によると、Aさんは18歳の時に縫製工場に就職するために友人と行った中国で日本軍「慰安婦」とされた。Aさんは1945年の解放後も帰国できず、2000年代初めにようやく故国に戻って家族と再会した。Aさんは政府に日本軍「慰安婦」被害者として登録し、その後、水曜デモへの参加や国外での証言など、日本軍「慰安婦」問題の解決に向けた活動に積極的に参加してきた。
正義記憶連帯は、遺族の意向により被害者の氏名などは公開せず、葬儀も非公開で行うと明かした。
女性家族部のシン・ヨンスク次官はこの日、「また日本軍『慰安婦』被害者をおひとかた見送ることになり、非常に胸が痛い」とし、「故人の逝く道に最大限の礼儀を尽くす」と述べた。続けて「今や政府登録被害者で生存者はたった8人となった」として、「日本軍『慰安婦』被害者の方々が安らかな余生を送れるよう細心に配慮するとともに、被害者の名誉と尊厳を回復するための記念事業も持続的に推進していく」と述べた。
これまでに政府に登録されている日本軍「慰安婦」被害者は240人で、この日までに232人が死去し、生存者は8人。8人の生存者は全員が94~96歳で、平均年齢は95歳だ。居住地域はソウル、大邱(テグ)、仁川(インチョン)、慶尚北道、慶尚南道が各1人、京畿道が3人。
チョン・インソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-07 16:31
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240906000700882
「聯合ニュース」 2024.09.06 09:56
■撤去危機のベルリン少女像 現地市民らが市長辞任を要求
【ベルリン聯合ニュース】ドイツの首都ベルリン市内にある旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」が撤去の危機にある中、市庁舎前の広場で5日午後(現地時間)、現地の韓国系市民団体「コリア協議会」などが主催した集会が開かれ、参加者らは像の存続と同市のウェグナー市長の辞任を求めた。
【写真】ベルリン市庁舎前の広場で行われた集会で、平和の少女像の存続とウェグナー市長の辞任を求める参加者ら=5日、ベルリン(聯合ニュース)
市当局は今月28日を少女像の撤去期限としている。
2020年9月の少女像設置を主導したコリア協議会は「ウェグナー市長は日本政府のために自身の政治的影響力を使うのではなく、市民の要求に集中すべきだ」と主張した。
ドイツの公共放送rbbは先月、ウェグナー市長が日本政府との紛争が生じる可能性を理由に、コリア協議会の青少年人権教育プログラム支援の可否を審査する諮問委員会に対し予算を削減するよう圧力をかけたと報じた。
同協議会は、ウェグナー市長が日本企業の投資誘致のために予算審査に不当に介入したとして、関連疑惑を徹底的に調査するようベルリン市議会に要請した。
青少年人権教育プログラムは予算削減により5月に中止された。同プログラムに講師として参加した歴史教師は「重いテーマであるにもかかわらず学生たちが熱心に参加し、教育者としてとても感動した」とし、民主主義社会で教育に対する政治的影響力を最小化すべきだと語った。
一方、韓国の最大野党「共に民主党」と野党「祖国革新党」の国会議員5人は同日、ベルリン市を訪問し、同市当局者と面談するなど少女像存続に向けた活動を行った。6日には少女像がある同市ミッテ区を訪れ、行政処分の権限を持つ同区長に対し像を撤去しないよう要請する予定だ。
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