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2024年5月11日 リニア2027年開業断念 「静岡工区」だけじゃない山積する課題(毎日新聞 有料記事 2746文字)

 リニア中央新幹線(品川―名古屋)を巡り、事業主体のJR東海は今年3月、2027年の開業を断念した。まだ着工許可が出ていない静岡工区は完成まで10年以上かかるとされ、開業は早くて34年以降にずれ込む公算が大きい。これまで静岡県の対応が注目されてきたが、リニアが抱えるリスクは他にもある。

 地元との調整、技術的ハードルも

 「静岡以外にも、完成まで10年以上かかりそうな地域がある」。リニアに詳しいジャーナリストの樫田秀樹さんはそう指摘する。JR東海は24年3月末現在、品川―名古屋間の用地の75%を取得済みだが、神奈川県や山梨県の一部地域では地権者の反対が強く「取得の見通しは立っていない」(樫田さん)という。

 沿線では少なくとも5件の住民訴訟が起こされた。そのうち東京都内の住民らが国にリニア事業の工事認可取り消しを求めた訴訟は、23年に東京地裁で請求を退けられたが、山梨県南アルプス市の住民らが工事差し止めなどを求めた訴訟は近く判決を迎える。JR東海は「地域との連携重視」を掲げており、住民の意向は無視できない。訴訟が年単位で長引けば、計画の進捗(しんちょく)に響く。

 技術的ハードルも高い。東京・北品川のトンネル工事は、21年10月から半年で約300メートル掘るはずが、掘削機の故障で中断を繰り返し、2年半たった今なお半分も進んでいない。岐阜県中津川市のトンネル工事では21年10月、爆破による掘削作業中に岩盤が崩落し、作業員2人が死傷した。今後は地下1000メートル超の大深度を掘り進める予定で、難易度はさらに上がる。

 こうした中でJR東海は4月4日、「山梨県駅」(甲府市、中央市)と長野県飯田市の高架橋の完成が、いずれも31年中になるとの見通しを明らかにした。軟弱地盤への対応や地元との調整に手間取っていることが主因だという。静岡工区以外でも当初予定された27年に間に合わない実態を公式に認めた形だが、同社は「いずれも静岡工区の遅れの範囲内だ」とし、さらなる遅れには直結しないと説明する。これに対し樫田さんは「遅れの原因を『静岡のせい』と強調することで、自分たちに批判の矛先が向かないようにしている」と批判する。

 開業遅れ むしろ「財務の負荷軽減」

 リニアの建設資金は、JR東海が既存事業で得た手元資金を中心に、不足分は借入金で補うことになっている。同社の「健全経営」が前提だが、開業の遅れは影響しないのか。
【有料記事なので此処まで】
2024年5月15日 樫田秀樹 様 Facebookで 毎日新聞のこの記事をご紹介されました
 毎日新聞の記事に私のコメントが掲載された。
 先月だったか、東京新聞でもやはり「静岡だけではない」リニア工事の遅れ、もっと正確に言えば、「静岡以上に遅れている」他都県でのリニア工事の遅れについて、私のコメントが掲載された。
 ただし、両紙の記者には、どの工事が何年遅れているかを具体的に話したのだが、新聞としては、ある個人の試算をそのまま載せるわけにもいかず、「ジャーナリストの樫田秀樹氏によれば、10年遅れの工事もある」との大まかな表現にせざるを得ない。
 時間があれば、是非、新聞社が独自で各工区の遅れを試算してほしい。必要なのは、小学校で習った足し算と引き算だけ。工事の進捗率が10%台であることに必要なのは、加えて掛け算と割り算だけ。
 ともあれ、こうやって熱意のある記者が少しずつ現れているのはいい傾向なので、良好なネットワークを作っていきたい。
【文章は複数行にさせていただきました】

【追録】岐阜 リニアトンネル工事の現場周辺で井戸の水位低下
 これは2024年5月15日に掲載した記事で、多数の報道記事を記録しましたが、久し振りの記事に驚きながら拝読しました。


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