樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

福田平八郎が描く鳥

2024年05月09日 | 野鳥
先月、福田平八郎の絵が見たくて、大阪中之島美術館へ行ってきました。ポスターなどに使われている『漣』(重要文化財・下の左中段の作品)の展示が一時休止されているというので、「その方が人が少なくてゆっくり見られる」と出かけたものの、同じ会場で「モネ展」が開催されていて長蛇の列。入場券を買うために15分も並びました。



近代日本画の中では、東山魁夷が描く樹木や森、福田平八郎が描く竹や水面や屋根瓦に、なぜか引き付けられます。東山魁夷の作品については以前当ブログでご紹介しました。どちらも、日本画というよりデザインのように見えます。さらに、福田平八郎が描く水面や氷は抽象画ともいえます。具象から抽象に至るプロセスを知りたいというのが今回の動機の一つ。
会場に掲げられた平八郎の言葉、「このごろではもう装飾的になっても写実になってもかまわんと思っている。問題は内容だ。ただ単なる装飾に流されるきらいもあることに気がついているので、今後はもっと内部に食い込んでいきたい」。この「装飾」を「抽象」に置き換えると、そのプロセスが理解できます。
さらに、「抽象絵画は私には出来ませんが、そうした抽象的な色や形を求める気持が、こうしたものを生み出したものでしょうか」とも言っています。



もう一つの動機は、そういう福田が鳥を描いたらどうなるか?という興味。会場にはタンチョウ、カササギ、レンジャク、ジョウビタキなど鳥を描いた作品が15点ほど展示されていましたが、この作家はやはり写実的な鳥より、線や色を単純化して描いた鳥の方が魅力的です。



使いもしないのに、オシドリの絵葉書とマガモのファイルを買ってしまいました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする