樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

落語の中の野鳥

2013年07月15日 | 野鳥
1カ月前に「落語の中の樹木」をご紹介したので、今回はその鳥バージョン。YouTubeで聞きまくっていた落語の中に、野鳥を題材にした演目が3つありました。
1つは「鶴」。「ツーと飛んできてルーと木に止まるからツルと呼ぶようになった」という他愛もない話です。
もう1つは「抜け雀」。ある男が旅館の代金を払えないので、襖に雀の絵を描きます。その雀が朝になると襖から飛び出して外で遊び、夕方になると戻って絵に収まる。それが評判になって旅館は大繁盛するうえに、お殿様が雀の絵を大金で買い上げる話まで舞い込むというお話です。
桂米朝ならではの格調高い一席でした。
落語らしいのは「鷺取り」。ある男が鳥を捕まえて金を稼ごうとします。雀でも鶯でも失敗したので、ご隠居に教えを乞うて、夜中、池で眠っている鷺を取りに出かけます。簡単に捕まるので、調子にのってたくさんの鷺を取って首を帯に差し込みます。
鷺としか表現されていませんが、多分コサギのことでしょう。



ところが、朝になって鷺が目を覚まし、いっせいに羽ばたいたので、男は空中へ運ばれます。目の前に現れた鉄の棒につかまって助かったものの、五重塔のてっぺんだったというお話。
桂枝雀では天王寺の五重塔ですが、東京の柳家小せんでは浅草寺の五重塔になっています。
この男が考え出した雀の捕獲法は、こぼれ梅(味醂の搾りカス)を地面にまき、それを食べた雀が酔った頃に殻付きの落花生をばらまいて、雀が枕代わりにして眠ったところを一網打尽にするというもの。
鶯の捕獲法は、梅の木のような色糊を塗りたくった腕を天窓から突き出し、止まった鶯を捕まえるというもの。いずれも荒唐無稽で、いかにも落語らしい展開。
落語そのものも面白いですが、昔の人の野鳥観察の視点がうかがえて面白いです。
コメント (2)
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