前回、雁が枝をくわえて飛ぶという話をご紹介しましたが、雁と枝を結びつけたものがもう一つあります。
宇治に住んでいるからというわけではありませんが、私は緑茶が好きで、1日に10杯くらい飲みます。使っているのは「雁が音(かりがね)」という種類。
柔らかい茶の葉は玉露など高級な煎茶にしますが、葉の軸や小さな枝が混じったものは、味はさほど変わらないのに見た目が悪いので普及品として売られます。これが「雁が音」。
私が愛飲している「雁が音」。軸や枝が混じっています
なぜお茶の名前に鳥が登場するのか? 宇治のお茶屋さんのWebサイトを見ると、「雁が枝をくわえて飛ぶことにちなんで、枝が混じった茶葉をこう呼びます」みたいなことが書いてあります。
この「雁が音」も多分、出所は前回ご紹介した江戸時代の書物でしょう。
雁の一種、オオヒシクイ(湖北で撮影)
しかし、それならなぜ「雁が枝」ではなく「雁が音」なのでしょう。枝をくわえることに由来するなら、雁の「音」というネーミングにはならないはず。しかも、ややこしいことに、ガンの仲間には「カリガネ」という種類もいるのです。関西にもたまに飛来しますが、私はまだ見たことがないです。
なぜ雁の「音」なのか? お茶の「雁が音」が先か、鳥の「カリガネ」が先か? また疑問が増えました。
そういう話を聞くと、「雁が音」を飲むとき、胸がキュンとなりますね(笑)。
今もお茶を飲みながら、これを書いています。
お茶にお詳しいようですが、宇治にお住まいですか?
『茶壺に追われて』 小山 茂樹
民話そのものは確認していませんが、サントリーのCMもまんざらフィクションではないかも?
オオヒシクイはヒシクイの亜種扱いですが、天然記念物に指定されているそうです。
「根」や「値」は考えませんでした。「雁がね~」というのは考えました(笑)。
他に「ね」と読むのはと考えると「根」「値」「寝」などありますが枝と根は同じ植物のものだから、というのはfagus06さんも考えたことかと思いました・・・
琵琶湖にはオオヒシクイが行くんですね。
千歳の長都沼は両方います。