樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

高速道路の街路樹

2013年08月29日 | 街路樹・庭木
全国の街路樹について国交省が5年ごとに調査しています。先日ネットでその報告書を読んでいたら、一般道だけでなく高速道路の調査データも掲載されていたので興味深く読みました。
まず驚いたのは、一般道よりも樹木の数が多いこと。高木だけ比較しても、一般道668万本に対して高速道路784万本。一般道には国道はもちろん、県道、市町村道も含まれています。ただ、さすがに樹種は少なく、一般道496種に対して高速道路283種。
ベスト3は、マツ(クロマツ、アカマツ)、スギ、ドイツトウヒとすべて常緑針葉樹。一方、一般道のベスト3は、イチョウ、サクラ、ケヤキ。イチョウは学術的には便宜的に針葉樹扱いですが、すべて落葉樹と対照的です。
さらに面白いのは、都市部の高速道路にはなぜかキョウチクトウが多いこと。例えば、首都高速では最多の4万本で、全体の36%を占めています。東京都全体の樹種でも1位。


都市部の高速道路に多いキョウチクトウ

「京都府はどうかな?」と思って見てみると、9800本で1位。さらに、大阪府でも1位、福岡県でも1位、愛知県では3位。なぜか大都市のある府県の高速道路にはキョウチクトウが多いのです。
国交省の報告書にはその理由が書いてないので、私が勝手に分析しました。
第一の理由は、有害物質に強いから。大都市周辺の高速道路は交通量が多く、排気ガスも相当な量になります。それに耐える樹種という条件でキョウチクトウが選ばれたのでしょう。
工場の生垣などによく使われるのもこのため。また、原爆が投下された広島でいちはやく植生が回復したのもこの樹。広島市がキョウチクトウを市の花に選定した理由もここにあります。
第二の理由は、毒性。キョウチクトウは花も葉も枝も有毒なので、一般道に植えられることは少ないですが、高速道路なら人が手にしたり口にすることがないので、管理者側も安心して植えられるのでしょう。
第三の理由は、花期とその長さ。夏に花が咲くので、渋滞が激しくなるお盆休みの頃に白やピンクの花でドライバーの気持ちをなだめようという意図があるのではないでしょうか。しかも、7月頃から10月頃まで咲いているので、長期間ドライバーの気持ちをなごませてくれます。
みなさんも高速道路を利用されるときは、キョウチクトウの花を楽しんでください。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2013-08-30 17:29:27
こんにちわ
こちらにはキョウチクトウはないと思います、残念ながら。
道央道の千歳の辺りに広い中央分離帯があって、そこがちょっとした林になってきていて、ハルニレがだいぶ育っていました(笑)。
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国交省のデータで (fagus06)
2013-08-31 07:35:06
北海道の街路樹を調べてみると、一般道のベスト3は、ナナナカマド、イチョウ、サクラでした。ハルニレは6位、ギタバさんが天ぷらにされるニセアカシアは7位でした。
高速道路のベスト3は、トドマツ、ドイツトウヒ、シラカンバでした。
キョウチクトウは高速道路では1本もありません。一般道の樹種は上位50位までしか表示されていませんが、その中には入っていませんでした。
インド原産の樹木なので寒冷地では育たないのかも知れませんね。
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