樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

鳥と隹と禽

2013年08月19日 | 野鳥
トリを意味する漢字はほとんどが鳥へんです。鳩、鴨、鷺、鶴、鷲などいろいろあります。
しかし、これ以外にもトリを表す漢字があります。例えば、雀、隼、雁など「隹」を部首にしたグループ。「隹」は「ふるどり」と呼びます。
漢和辞典を紐解くと、「鳥」は尾の長いトリ、「隹」は尾の短いトリを意味するとのこと。しかし、雉は尾が長いのに変だなと思ってさらに調べると、「矢のように飛ぶから雉という文字になった」と説明してあります。
私もキジが飛ぶところは何度か目撃しましたが、「速い」という意味での矢ではなく、尾が長くてシルエットが矢のように見えるからかも知れません。
面白いことに、「集」は「隹(とり)」がたくさん木に止まっている様子を表す会意文字だそうです。


こういう状態から「集」という漢字が生まれたわけです。集まっているのはムクドリ

さらに、「雄」「雌」が「隹」を部首にしているのも、トリに由来するようです。「雄」の左の「厷」は元々は「宏」で、羽を広げて威勢を示すオスのトリの意味。また、「雌」の左の「此」は「連れ添う」の意味で、オスに連れ添うメスのトリを表しているそうです。
トリを意味する漢字は「鳥」「隹」以外にもう一つあります。「禽(きん)」。よく使われるのは「猛禽」。水辺のトリを「水禽」と言いますし、「家禽」「野禽」という言葉もあります。
この「禽」は、網で覆う様子を描いた象形文字で、トリを生け捕りにするという意味があるようです。
だんだんややこしくなってきましたが、さらにもう一つ、十二支のトリは「酉」。しかし、この漢字は実際のトリとは関係がないようで、酒を醸す壺のことを意味するそうです。なぜそれが十二支のトリに使われたのかは不明です。
しばらく前、「翡翠」という熟語のルーツは宝石のヒスイではなくカワセミである、なぜなら「羽」を部首にしているからと書きました。
「羽」を部首にした鳥の漢字は「翡翠(かわせみ)」以外に「翟(きじ)」「翰(やまどり)」がありますが、漢和辞典にしか登場しないような文字です。また、ヤマドリは日本特産種なので、多分当て字でしょう。
それにしても、トリを意味する漢字はいろいろあるもんですね。漢字文化の豊かさをあらためて知りました。
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2 コメント

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以前 (fagus06)
2013-08-21 07:09:52
鳥の本を読んで、雀や隼が鳥へんでないことに気づいて、「なるほど」と思ったことがありました。同じ本かも知れませんね。
記事にするために、図書館で漢和辞典を調べて、「集」や「雄」「雌」も鳥がらみと知って、ちょっと驚きました。
返信する
Unknown (guitarbird)
2013-08-20 14:14:57
こんにちわ
私もつい最近、この話を本で読んで知りましたが、もしかして同じ本を読まれたのかなと思いました。
いずれにせよ、なるほどと思いました。
返信する

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