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樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

トルストイとヤマシギ

2014年04月07日 | 野鳥
芥川龍之介に『山鴫』という短編があります。ロシアの文豪、トルストイとツルゲーネフがヤマシギを撃ちに行って意地を張り合うという、いわば文学界の楽屋話。
そんな小説のモデルになるほどトルストイは狩猟好きだったようで、ある時、鳥撃ちから帰って袋から獲物を取り出すと、1羽のヤマシギがまだ生きていたので、羽根を1本抜き、頭を突いてとどめを刺したというエピソードが残っています。
そのヤマシギを私は見たことがなかったのですが、某所に出没するというので出かけてきました。1回目は6時間待ったものの出会えずじまい。2回目、「主に夕方活動する」という図鑑の情報を頼りに3時から6時過ぎまでねばって、ようやく目撃できました。夕方の日陰なので暗いですが、私にとっては貴重な映像です。



トルストイはこのヤマシギをたくさん殺生したわけですが、なぜか59歳のとき狩猟をやめ、菜食主義者になります。
肉が好きな義妹が訪ねてきた際、生きた雛鳥と包丁を食卓に出し、「君は生き物を食べるのが好きだそうだから鶏を用意したが、僕は殺したくない。この包丁で自分で殺してください」と言ったとか。義妹は雛鳥を放し、みんなで肉なしの夕食を食べたそうです。
後に「肉食をするすべての人が、自分でそれらの動物を殺すことになったら、彼らの大部分は肉食を敬遠するようになるであろう」と書き残しています。
トルストイをこんな過激な菜食主義者に変貌させたのは、ヤマシギへの殺生に対する自責の念だったのではないでしょうか。
なお、ヤマシギはジビエ料理の最高級食材のようですが、乱獲で減少したため、本場フランスでは狩猟禁止。一方、日本ではまだ狩猟鳥とされていて、環境省はレッドリストには掲載していませんが、京都府は「絶滅危惧種」(=狩猟禁止)に指定しています。
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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (guitarbird)
2014-04-07 21:51:57
こんばんわ
ヤマシギは私は早朝から午前によく見ますが、でもそれは私が午後から夕方にはほとんど鳥見行動をしないからだと思われます。
それはともかく情報を頼りについに撮影した執念は、私にはないものなので、見習いたいです。
ヤマシギが狩猟鳥のリストから外れていないのは、多くもないし少なくもない(東日本では)鳥でどっちつかずだから意識に昇らないのだと思いました。
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ヤマシギは (fagus06)
2014-04-08 08:23:25
東日本と西日本で生息数がかなり違うようですね。
この記事を書くためにネットでいろいろ調べていたら、ある人がヤマシギを狩猟して料理する記事を写真入りでアップされているのを見てビックリしました。
最初は、海外に住んでいる日本人のブログかと思いましたが、国内在住の方でした。「え~、これは法律違反じゃないの?」と思って調べたら、日本では狩猟鳥のままでした。
絶滅危惧種に指定しているのは京都府だけみたいですね。こちらでは珍鳥です。
私はあまり執念がない方で、1か所に何時間も待つのは苦手ですが、ヤマシギは2回も通いました。
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Unknown (ちどり)
2014-04-08 19:40:00
粘り勝ちですね。待つこと3時間でも辛いのに6時間とはすごい!

京都御苑でむかし見たことありますよ。
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自分でも (fagus06)
2014-04-09 07:47:53
よく粘ったな、と思います。暇だったんですね(笑)。
京都御苑で見られたのですか。以前は府立植物園でも例年のように出現したそうですね。
府が絶滅危惧種に指定するくらいですから、現在はほとんど見られないということでしょうね。
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最近では (moriyume)
2014-04-10 01:15:36
沖縄で見たっきりですね。
その前は大阪城公園に入ったことがありましたが野鳥図鑑に載せているものがそれです。

別件ですがアオシギも先日見せていただきました。
これはfagusさんのおかげです。
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沖縄の記録を (fagus06)
2014-04-10 07:23:26
見ると、アマミヤマシギもヤマシギも見ていますね。でも、記憶がないです。
映像が浮かんでこないです。なぜだろう?
あの動画は大阪城でしたか。
アオシギいましたか、それはよかった。
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