樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

抽象画と樹木

2013年03月18日 | 木と作家
小さい頃から絵が好きで、ピカソのキュビズムまではついていけますが、カンデンスキーやモンドリアンの抽象画には感覚が何も反応しません。


モンドリアンの代表的な作品

ところが、モンドリアンは初期には樹木や風景の具象画を描いていたそうです。しかも、樹木の連作で、具象画がいかに抽象画に変化するかを示しています。
まずは、『赤い木』と題された1908年の作品。



色は現実的ではありませんが、幹や枝が写実的に描かれ、全体の樹形が分かります。
次に描かれたのが『灰色の木』(1912年)。



細かい枝や葉が省略され、樹木の姿が単純化されています。
その次が『花咲くリンゴの木』(1912年)。



単純化がさらに進み、樹木が円弧とT字型のラインだけで表現されています。
そして、最終的に『白と黒のコンポジション』(1915年)という抽象画にたどりつきます。



樹木がT字型の黒いラインだけで表現されるわけです。
さらに抽象度が増すと、一番上の絵のような、水平・垂直の線と赤・青・黄の3原色だけですべての世界が表現できるという地平に至るようです。
モンドリアンは「不要な部分を省き、本質的な要素だけを取り出せば、自然の再現ではなく本質の世界が表現できる」と考えたそうです。
分かったような分からないようなコンセプトですが(笑)、抽象画が樹木という具体的なモチーフから始まったことはガッテンできました。
※著作権の保護期間を過ぎた画像を使用しました
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする