湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

1/2 父の老健に行く/震災津波メモ01

2013-01-03 06:38:14 | 引きこもり
2013/01/02 記
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こんなことは始めてなのだ。左手側の肩が異様に凝って、やたらと怪我をした古傷が痛み出した。母が使っている貼り薬を分けてもらった。笑い話のようだが、昨日弟夫婦と姪や甥が我が家に居座った。狭い茶の間、普段と違う席に座り、身体をひねってTVを見ていたからだ。

しかし、私のように所帯を若いうちに壊した者にとっては、弟の妻が熱く語る、稼いだ給料を元手にどう家計を切り盛りしていくかという話、口角泡飛ばして話しては、消費生活を夢と語る百万の言葉に、悲しくなる。その都度同意を求められると、悲しみを超えてうんざりしてくる。

彼らには他人の家族も、単身者も眼中にない。私は妻を亡くした、親の代わりに家族の介護とともに、両立できる私教育の仕事を行ってきた。ともに教育・福祉活動に生きがいを感じてきた。弟夫婦にも介護は重くのしかかっている。しかし、その現実の隅々に社会の歪みが潜んでいることに、全く無自覚であることだ。東日本大震災の映像は、私たちの積み上げてきた生活が、いつなんどき、根こそぎ裸にさせてしまうが、船板一枚下の地獄の上に踊る寒けのような時代感覚が、片鱗も共有できない悲しさがここにあった。私の部屋に踏み込んで、読みかけになっている本をみながら、「東北のことは国と本人に任せておけばいい」と忠告してくれる始末だった。

「私のお父さんは、私を車で迎えに来て、津波に飲まれました。」

と淡々と語る被災者の子どもの悲しさに、何ができるかわからないが、象徴的な言い方をすれば「寄り添いたい」と思う。その部分を「国と被災者に任せて」と言い切る感覚がわからないと反論すると、「行けるひとが、東北にいけばいいんだ」「防災は大事」という。彼の腰は1mmたりとも、動かない。

こういう徹頭徹尾「普通」のひとには、単身者は見えない、男の介護者もざるの目から抜け落ちる。場面に立ち会わない互いの言葉は通じない、凍ってしまう。

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翌日(2日)、知人の仕事場を拝借していたので、窓を明けに行く。彼は工場機械設計屋だが、どうも余芸稼ぎの痕跡有り。しかし、黒田さんを紹介する文書や、進行する社会状況という「事態」に食らいつく道探し。私の仕事を始めて1時間半、時間が来てしまい、父の入所する老健に向かった。

年末に老健に行った際、父が誤嚥で入院した。事務的には施設出所ということで、所有物、買い物袋4つを持ち帰るようにと押し出された衣類を洗濯した。それを少しずつセーターから老健に戻しておいた。

ところが年始の挨拶もそこそこに、「この荷物は持ち帰ってください」ときた。病院には1週間いたのだが、退院したらもとの老健にもどることになっていた。日が落ち天候も悪かったので、融通のきかない突然の荷物を運ぶのに、我が家までタクシーを使い8千円かかっていた。

融通の効かない対応の矛盾を飲み込んで、「冬場用に暖かい衣類を」と施設からの連絡を受けて持ち込んだセーターだった。それを突き返してきたのだった。

なぜ職員によっていうことが違うのか、誤嚥入院大体1週間という話は入院させるとき、話し合ったではないか。また「規則ですからと逃げずに、釈明してくれ」と正月早々衝突してしまった。男性の尿路感染症、誤嚥性肺炎はケアのきめ細かさを表しているではないか。

父の認知症は進み、初め私が誰であるかわからなかった。家族の記憶の連続性が壊れた。時間記憶、因果率が壊れたからだ。10分ほどの会話だったが、高齢者の体調は段階的に、出来事を境目にころげ落ちていく。片目に白内障の雲が見える。困った。

食材を買い足して事務所に飲料をおいて帰宅した。日曜には部屋を持ち主に返さねばならないが、ここは落ち着く。第一、家庭用照明、部屋の真ん中に吊り下げられている我が家の照明は、本や原稿面に露骨な反射があって字が読み取りにくい、目が疲れる。ところがここは、壁面照明と部分照明がうまく配置されていて、目が疲れない。この差は羨ましかった。

今年は年賀状が極端に少ない。応答を書くものもなく、夕食を急いで片付けて、

「NHK あの日 わたしは~証言記録 東日本大震災~『福島県富岡町 松村直登さん』」

がペットレスキュー活動紹介の起点のような内容なので、これを紹介。記事にした。通信No.14記載。

岩波新書「津波災害」(河田惠昭著)から引用。

・50cmの深さのところに50cmの高さの津波が来たら、その津波は速度2mで砂利を巻き上げており、0.3t強の力をかけるから、立っておられず、人は流される。

・砂浜でこの波を受けた場合、サンドペーパーに磨かれたようになって、「大やけど」を負う。

第一章冒頭から、こんな内容(要約)が書かれている。津波のイメージがいわゆる常識とは、全く異なっていることがわかる。実際大船渡の50cm高の津波は浮遊物の影響もかさなって、1階が突き抜けるように全壊したのだった。(>東海新報10/09/2011『浸水50cmで5割超全壊』大船渡市)

また高さだけの問題ではなく、建物の強度によって、被害は大きく開いていく。

夜間傾聴:なし

(校正2回目済み)

コメント
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