日々のことを徒然に

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道辺の花

2022年11月02日 | 生活・ニュース

 「路傍の石」は私の生まれる前に出た山本有三の代表小説。愛川吾一の貧しい生まれから苦難に耐えて成長していく姿が筋書きとなっている。戦時に走る背景で官憲の圧力を嫌って1940年8月に作者の断筆決意により最終的には未完となった。

 映画で4回、TVで2回ドラマ化されており、吾一の生き方が国民性に共感するところがあったのだろう。路傍は「道路のかたわら。みちばた。路辺(広辞苑)」、路傍の人が参考に載っている。そのどれもが人の目にはふれない、ふれても自分とは関係ないそんな存在にしか思えない言葉に思える。

 みちばたの雑草も冬支度に入ったのか夏のような勢いを失っている。そんな黄昏の路傍のあちこちに野菊は咲いている。群生しているところ、整列したように横並びのところ、数本が親子のようにまとまっているところ、どの花も思い思いに晩秋の日を浴びて咲いている。豪華さはないが純白の姿は目を引く。

 あれほど繁茂していた芭蕉の葉が枯れ始めた。やがて枯れ芭蕉となって姿をけすが、まだ芭蕉の実は暑いころのまま下がっている。鈴なりだった栗も姿が見ないし、木守柿が熟しすぎて真っ赤になってまだ留まっている。秋の気持ちよい空の下で草木は音もなくそれぞれが静かに身じまいをし次世代への準備をしているようだ。

 (今日の575) 秋の暮道辺を飾る野菊かな
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