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ちょっとした用事で出かけた先の事務所でのこと。偶然そこに事務所の家主さんがおられ「ちょっと一服してください」とお茶をたてられた。お茶を頂くのは久しぶりというか、何十年ぶりというのが正直なところ。添えられた菓子を頂き、緊張しながら作法通りの真似をしていただく。
「一服」と書いて「いっぷく」。若い人にはなじみの少ない言葉かもしれない。辞書により説明のニュアンスはことなる。それを私流にまとめると「お茶を飲む、薬をのむ、煙草を吸う、休憩する」などで、これを組み合わせて使うことがある。ほかには乱高下する株価が安定した時などにも使う。時代劇で悪代官の手先が「一服盛るか」は決してやってはならないこと。
今夏も夏日や猛暑日の気象予報が出ると「水分をしっかり摂る、しっかり水分を補給する」と予報士の注意喚起を幾度も聞いた。どうしてお茶と言わないのだろうか、へそ曲がりなことを思いつく。水と茶、喉を潤すのは同じだが、茶には昔から薬効成分があり、ひと休みしようという感覚がある。水は飲んだらすぐに仕事を続ける、そんなニュアンスの違いがある。
何十歳も若い時、会社の茶道クラブに初釜の写真撮りを頼まれた。何せ初めてのこと、聞いてはいたが茶室へ入るにじり口の狭さに驚いた。室内は狭く、数名の参加者の間を縫いながら撮影した。その時いただいたお茶の味は記憶していないが、気ぜわし屋の私に茶道は向かないと思った。あのとき撮った8㍉の映像はどこにあるのだろうか。