国道315号線を周南市街から同市鹿野町へ向けて車を進めると「向道湖」がある。それは向道ダムによってできた人造湖で700万立方㍍の貯水が可能という。ダムは多目的ダムで洪水調整・工業用水・上水道・発電と、特に珍しい内容は無い。
退職前の数年間、山陰側への仕事でこの湖のそばを車を運転しながらよく通った。出張は公共交通機関が原則だが、車なら日帰りが出来ることを理由にし山合のドライブも楽しんだ。
通るたびに「この湖の満水の姿を見て見たい」と思っていた。退職してからも同じだった。その湖が満水だった。先日から続いたざんか梅雨のお陰だろう。しばらく車を止めて湖面を眺めた。満水はいい。
湖とはいいながら眺めはちょっと広い川巾だね、くらいにしか見えないくねくねとした細長い姿だ。ここから流れ出た水は下流の菅野ダムへと流れ込み、2度目の役目を果たすことになる。その菅野ダムは満水の位置からかなり低い位置に水面があった。
このダム湖にはちょっと自慢できることがある。まず日本で最初に運用が開始された多目的ダムである。次にその完成が私の誕生年月と同じことだ。来年は古希を迎える。この間、戦争の波にもまれ所管部署の変遷はあったが今に続いて働いている。
ダムの有用性について議論がある。それは置いておいて自分と同い年のダムと知っていつまでも役目を果たしてほしい、そう思いながら暮れかかる湖面を後にした。
(写真:ダム湖上流の満水の様子、向かいの山が綺麗)
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