(2009年11月11日 朝日新聞「声」掲載)
寒い日が続くという予報が出た日、暖房用の灯油を買いに行った。持参のポリタンクにセルフで購入。店独自のサービスポイントが積み立てられ、さらにグリーンスタンプの点数も加算される。何か得した気持ちになった。
そこのスタンドの従業員数が少なくなっている。以前は3人くらいで働いていたが、前回も今回も1人の姿しか見えない。セルフ以外の車へのガソリン給油や灯油の量り売り、ポイントの入力に電話応対と、若い男性が小走りで忙しく働いていた。
報道では雇用の厳しい状況が続いている。有効求人倍率は低いまま推移し、失業者数は増加している。中小企業では明るい望みは見えてこない。そんな背景の中でその若者はひとりもくもくと働いていた。
トイレや弁当の時間は確保出来るのだろうか、人のことだが心配になる。たまたま立ち寄った時間が勤務表で少ない時間帯だったら救いではある。だが、前回と同じように1人で働く忙しさを目にして気になった。
スタンドを出るとき、「ありがとうございました」という若者の大きな声が後ろから届いた。なにか救われたようで、直ちに「頑張れよ」の意味を込めて車の窓から手を出して応えた。
(ひと押し願います)