日々のことを徒然に

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吊るし柿

2007年11月22日 | 生活・ニュース


お訪ねした家の軒下に吊るし柿があった。冷たい風にさらされ表面が少し硬くなり始めた柿はこれから甘みを増すことだろう。

渋柿の皮をむき、少し残してあった枝を縄目に通し軒下へ吊るす。これからの管理者は祖父だった。黒色で白い粉がふくまでは1個も口にした覚えがない。少し硬めのそれは、冬の陽と風がかもし出した自然の甘さが詰まっていた。おやつとしては最高の物だった。

本当の名前は知らないが富士山柿と呼んでいた。子どもの手では包みきれない大きさで、形は霊峰富士山に似ていた。もぎ取った柿は皮付のままもみがらを敷いた木箱にいれ旧正月まで置く。透き通ったあめ色のとろりとした実とその甘さは吊るし柿とは違った味だった。

最近は柿を採らない人たちが多い。信号待ちしているときそばの柿木で数羽のからすが悠々と食していた。熟れて落ちた柿は車に押しつぶされるなどして道も汚している。

海外勤務した同僚が「食材に不自由したことはないが、ひとつだけ好きな柿が手に入らなかった。実家からの縄のついたつるし柿が楽しみだった。海外で初めて柿の味を知った」と話したことを思い出した。柿を食するのは日本だけなのだろうか。

先日、朝市で吊るし柿を売っていた。10個あまりのひと縄の値を聞いてみた。「毎度、1,400円です」。そっともとの位置へ戻した。一緒にお訪ねした方から富有柿をもらった。仏壇にお供えしてある。明日いただくことにする。

(写真:陽射しに気持ちよさそうな吊るし柿)
コメント (10)
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