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梯久美子『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』

2019年10月30日 00時55分22秒 | 文学
梯久美子『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮文庫)を読んだ。
これはとんでもない本だった。ものすごくおもしろい。傑作。
島尾敏雄の『死の棘』を読んだ事はないのだが、読みたくなくなる。つらいだろうなと思う。
島尾敏雄も可哀想、息子も娘も「あいつ」も可哀想。島尾ミホも可哀想。
梯久美子は吉本隆明の本の聞き書きを担当していた事があったそうで、島尾ミホに話を聞きにいくのも吉本隆明がきっかけだったらしい。
島尾ミホが島尾敏雄の日記で読んだ(読まされた)「十七文字」というのが何度も出てきて、どういう言葉なのだろうと思っていたのだが、最後まで不明のままで残念だった。
『「死の棘」日記』は島尾ミホの追記や削除が入っているようで、あまり読む気にならない。ぜひ、完全版を出すべきだと思う。
島尾敏雄の愛人「あいつ」が「川瀬千佳子」という仮名になっているが、ここがどうも弱く感じてしまう。仕方のない事情があるのだろうが。
「あいつ」が電報などを送っているはずがないだろうと思ってしまった。ミホの自作自演だろう。
子どもがとにかく可哀想。そう思うと、『死の棘』が読めない。
でも買ってあるのでいつかは読むかもしれない。
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