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☆司馬文学の脂身

2006年07月27日 03時09分23秒 | 文学
よく知らなかったけれど、司馬遼太郎の小説の登場人物はすべてが実在の人物ではないらしい。
「竜馬がゆく」のお田鶴さまも寝待の藤兵衛も「燃えよ剣」のお雪や七里研之助も架空の人物みたいだ。
全員実在の人物かと思ってたが、七里研之助あたりから、いや、竜馬の旅にはいつもついて来る寝待の藤兵衛あたりから、おかしいとは思っていた。しかしやっぱりそうなのかあ。ちょっと残念な気もする。
山田風太郎の明治ものとあまり変わらないんだなあ。
司馬遼太郎は正統で山田風太郎は異端であると、なんとなく思っていたけれど。

竜馬にしても歳三にしても恋愛対象が架空の人物であるというのはどういうことだろう。なんだか変な感じだ。
恋に恋して、というか、MajiでKoiする5秒前というか(広末涼子です)、なんだかそんなことを思わせる。
竜馬と歳三はぜんぜん違う人物なのになんとなく共通点があると思われるのはこんなところからなんだろう。司馬遼太郎にとって、こういう話が気持ちいい、という型があるんだろうなあ。
「燃えよ剣」の歳三はいまお雪と夫婦ごっこをして、これから(たぶん)別れるところ。しかし、ほんとうは居もしない人物とお別れするというのはなんだか不思議とセンチメンタルな、余りに文学的なものを感じさせる。
大林宣彦の「さびしんぼう」みたいな感じ。
ひどく心を閉ざしている感じもする。

司馬文学の架空の存在というのはなかなか研究の題材として興味深いテーマだと思う。
牛肉でいうと脂身(あぶらみ)みたいなものか。

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2 コメント

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Unknown (ますい)
2006-07-27 09:25:48
時代小説なんて、多かれ少なかれ嘘を交えないとただの歴史小説になってしまいエンターテインメントにはなりませんからね。

司馬さんの小説に架空の人物や虚の出来事が含まれているはずが無いと勘違いしている方は多いですよ。

山風との違いはその嘘が大きいか小さいかというだけで。
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コメントありがとうございます ()
2006-07-27 12:21:06
司馬遼太郎は山田風太郎ほどわかりやすく嘘をついていないですからね。事実だと思っている人は多いと思います。

司馬遼太郎本人がそのへんのことをどのように思っていたのかも興味のあるところです。

機会があれば調べてみたいですね。
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