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アリス・マンロー『ピアノ・レッスン』

2021年06月08日 20時10分22秒 | 文学
アリス・マンロー『ピアノ・レッスン』(新潮社)を図書館で借りて読んだ。
堀江敏幸の短篇集を読んでいて、こんなふうに短篇というものは終わるものだっけという違和感がありちょっと名高い作家の短篇集を読んでみようと思った。
やっぱりなんかすごいと思ったが、語り手が男なのか女なのかがすぐにわからないことが何度かあった。翻訳のせいなのか、そういうものなのかわからない。語り手を男として読んでしまう習慣がこちらにあるせいかもしれない。
続けて読んでいけるほどは好きになれなかった。

「ウォーカーブラザーズ・カウボーイ」
父親の人生の、あのころは楽しかったという風景を娘の眼を通して見せる。
すばらしい。
きちんと終わっている。

「輝く家々」
嫌われている人の味方をしたいけれど、できないときの気持ち。

「イメージ」
『トム・ソーヤーの冒険』にインジャン・ジョーという人物が出てきて怖いのだが、それを思い出した。
子どもが父親と出掛けていて、怖い人物に逢って、その人物と父親が親しく話をするがやっぱり子どもにとっては怖いという経験は、自分自身にもあるような気もする。

「乗せてくれてありがとう」
女の子と仲良くなりたい若い男の子たちの話で、そんなことあるだろうな、私にもあった、というような話。

「仕事場」
腹が立つ他人。

「一服の薬」
間違って酒を飲み過ぎた女の子。

「死んだとき」
妹を火傷で死なせてしまった女の子。怺えていたけど耐えられなくなる。

「蝶の日」
白血病で入院しているちょっとだけ仲の良い友人を、暮らすのみんなと一緒にお見舞いにいく女の子。仲が良いか悪いかは明確には分けられない。

「男の子と女の子」
女の子であることの悲しみ。「しょせん女の子だからな」

「絵葉書」
金持ちの男と結婚を前提に付き合っていたら、ふいに別の女と結婚された。

「赤いワンピース―一九四六年」
日本にいて、ダンスパーティのような習慣のない文化であることに感謝する。
いつも恋愛しなければならないという強迫観念のなかで生きるなんてぞっとする。

「日曜の午後」
若いメイドの気持ち。小旅行に期待する。

「海岸への旅」
催眠術士に殺される。

「ユトレヒト講和条約」
介護から逃げられない。

「ピアノ・レッスン」
不幸な生活のなかの一点の光。才能は一瞬の幸福をもたらす。
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