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蜷川幸雄演出『元禄港歌 ‐千年の恋の森‐』

2016年06月08日 22時35分01秒 | 舞台
追悼として放送していたものを録画し、蜷川幸雄演出の『元禄港歌 ‐千年の恋の森‐』を見た。
蜷川幸雄演出の舞台を見るのは二度目だと思う。野村萬斎の『オイディプス王』をずっと昔に見たことがある。
『元禄港歌』は母と子の情愛を描いたような舞台で、美空ひばりの歌が流れるし、市川猿之助が女形で登場するし、で、ちょっと旅先でお風呂上がりに旅館で旅芸人が演じるのを見るような雰囲気だった。美空ひばりの歌を聴くともう田舎の歓楽街の雰囲気が醸し出されてしまう。寅さんが旅の途中でお酒を飲んでいるときに遠くで流れるBGMの感じになってしまっている。時代は流れているなあ。
そんなふうにちょっと田舎芝居じみた演劇なのだが、最後のほうはギリシャ悲劇風で、段田安則が目が見えなくなって登場するところは『オイディプス王』のようでもあった。谷崎潤一郎の『春琴抄』のようでもある。
最初に群衆がそれぞれにしゃべる場面があったが、蜷川幸雄にみっちりしごかれたんだろうなというふうに見えてしまって、自然に楽しめなかった。
蜷川幸雄の舞台ではすべて、あまり力のない無名の人々の芝居の後ろに蜷川幸雄のしごきが透けて見えてしまいそうでちょっと見ちゃいられないかもなと思った。蜷川幸雄のしごきが透けて見えないということが演技力があるということなのかもしれない。
宮沢りえはなんであんなに目が見えないふうに見えるのだろう。すばらしい。

これを見るまえに蜷川幸雄のインタビュー番組も見た。
蜷川幸雄は初めて訊かれた質問に対して前々から用意していたように答えを言う。こういうのに一時期ものすごく憧れた(いまはそうでもない)。
話し方としては鶴見俊輔に似ているのかもしれないなと思った。
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