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夏目鏡子述・松岡譲筆録『漱石の思い出』

2016年06月24日 23時54分09秒 | 文学
夏目鏡子述・松岡譲筆録『漱石の思い出』(文春文庫)を読んだ。
夏目漱石のことは小説は好きだがあまり伝記的なことはよく知らない。イギリスで狂ったと言われたとか、修善寺で死にそうになったとか、ところどころ聞いたことはあるが、このようにまとめて奥さんの話を聞くとおもしろかった。
夏目漱石は、修善寺の大患後に悟って、「則天去私」と言い出してそれまでひどい人物だったのに急に聖人になったような印象があったが、この本を読むと修善寺の大患後も怒りだすようなことはあったようで、人間はそう急には変われないものだよなと少し安心した。漱石は、特に若いころはとてもひどい夫だ。こんなひととは一緒に暮らせないなと思う。
夏目漱石の家に何度も泥棒が入っていた。昔はよく泥棒が入っていたのだろうか。それともたまたまなのかわからない。『吾輩は猫である』にも泥棒が(僕の記憶では登場人物の誰かに顔が似ている泥棒が)登場したと思う。
『坑夫』は突然近づいてきた怪しい人物の話を聞いて書いたものだということを知った。
『道草』だけではなくて、他の小説も自分の身の回りの人物を描いていることもよくわかった。モデルにされた人物はそれで迷惑したようだ。いま読むとそのようなことは全く分からないのだが、発表当時はモデルとされた人物がいるというような読まれ方をされたのだと思うと不思議な気がする。いきなり名作として新聞に発表されたわけではないということが、なかなか想像できない。

死にそうなときに側で子供が泣くのを奥さんがどこかに行かせようとするが、漱石が
「いいよいいよ、泣いてもいいよ」
と言うところに感動した。
僕も死ぬときに娘が泣いたらこう言いたい。
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モーム『片隅の人生』

2016年06月24日 22時44分07秒 | 文学
モーム『片隅の人生』(ちくま文庫)を読んだ。
医者の主人公があやしい二人組に連れられて船旅をするあたりまではたいへんおもしろく、わくわくして読んだ。
そこからはあまり惹かれることもなく読み終わった。死体があってその扱いに困るというところはこの前読んだ『女ごころ』に似ているなと思った。
モームはとても好きだった時期もあるのだけれど、今読むとあまりおもしろくない。これは読む作品のせいなのだろうか。
それとも、好きだった『かみそりの刃』や『お菓子とビール』なんかも今読むとそうおもしろくないのかな。どんなものだろうか。
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