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「浦崎信子をめぐる人たち」発行;浦崎信子の子どもたち

2005年10月02日 | 「Weekly 読書感想」
 戦後琉大卒で創業から一部上場会社社長になったのは本書編者の一人、浦崎雅博氏以外いないのではないか。経営者として私が一目も二目を置く人だ。
日本列島最西端与那国出身で琉大数学科卒、10人兄弟の末っ子SEとは聞いていたが、本書によってご尊父が島初の町長で受勲者、本書編者の兄外親族に教職が多い等、島の名家であることが分る。

 王府や本土からの単身赴任の教師や役人の落子は私の故郷奄美でも「里主子」としてよく見られたが、編者兄弟の祖母は明治・鹿児島からとして渡海してきた土地測量士の島庶子で、そのルーツを鹿児島まで訪ねている編者らの熱意と書中不断に使う美しいカラー写真からも一族の誇りと祖先への思慕を感ずる。

 最近流行りの個人情報保護なんのその、一族の系図が多く出て来るが、父母双方が連子で再婚、10人近い子を成し、慣習で成人後名前を変えるので私のような一読者は系譜を追うのが大変だったが、被祖父の母方勝目家を鹿児島まで渡航する調査結果には同郷奄美出の知人勝目氏との繫がりにも興味を惹かれた。
 題名のとおり浦崎兄弟の言わば慕母記だが、私情を抑制した筆致で与那国に関する古くは李朝実録、笹森儀助、近くは谷川健一、沢木耕太郎の著書・記述フォローと父君二代に渡るルーツ探訪の執念と与那国から見た琉球史とも言える編者兄弟のマクロな歴史視点を感じた。編者兄弟の熱意と偉業に敬意を表したい。本書を贈呈頂いた銀座「芭蕉布」の瑞慶覧ママに感謝!

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