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「不如帰」(岩波文庫);徳冨 蘆花

2011年03月05日 | 「Weekly 読書感想」
不如帰―小説 (岩波文庫 緑 15-1)
徳冨 蘆花
岩波書店

  ビジネス・ハウツー、カレント、故郷回帰読書の合間に自ら叱咤激励、英語学習を兼ねた原書や古典を読む。それも通勤電車で読める文庫本持参!

 明治31年「国民新聞」に連載され、一世を風靡した著名な作品名と著者は昔から知っているものの、正直ストーリ内容には不案内、暮の12月に読了。

 読み始め“これは日本語か”と擬古文に抵抗を覚えたものの、数ページ読むうちに抵抗感は薄れ、むしろその流暢な記述に魅せられました。

内容は読書人には今更書くまでも無いでしょうが、日清戦争の時代背景とは言え、今に通用する角逐ならぬ姑の嫁いびりという普遍のテーマー。肺結核を患った軍将校夫人の主人公・浪子が姑にいびられ、離縁され夫を慕いつつ死去する悲劇物語。

いびられる嫁も堪ったものではないが、ワイフと母親に挟まれる夫の懊悩も並大抵ではない。3者かくも悩みつつ古来、多くの悲劇が茶飯事に起きながら、何故長男夫婦に夫両親が扶養同居の制度は改まらないのか?私の経験から言っても両親は娘夫婦との同居がいい。そのためには長男相続制ではなく、扶養娘に両親の資産相続をさせればいいのに、一向に改まらない背景には男尊女卑価値観があるのか。

この著作が明治以来変わらず、読まれ続けているのは作家の高名と共に長男相続、嫁姑という不朽のテーマーが背景にあるのではと改めて思いました。明治初版以来70版を越える不朽の名著を前に、我ながら何と言う感想か!それにしても「不如帰」をなんでホトトギスと読むのか改めて考えました!

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