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安良城盛昭「新・沖縄史論」(沖縄タイムス社;1880年)

2005年04月11日 | 「Weekly 読書感想」
 連休、懐かしく引っ張り出した。
 めくっている内に、70年代のおよそ10年間に亘り県内史学界を巻き込み、主として沖縄タイムス紙上で西里喜行琉大教授と延々続けられた、いわゆる「旧慣問題」を中心とする沖縄史論争を思い出し、手が離せなかった。

 「太閤検地」の画期的な研究実績を引っさげ、東大社研から勇躍、沖縄大学長に乗り込んで来た安良城氏が、西里史学を“実証を欠く被害者史観”とも言わんばかりに完膚無き迄に批判した論文集。

 安良城氏は東京育ちの沖縄二世ながら一高から東大へ。
 東大社研時代、周囲との摩擦から“異常”と見なされ精神病院に送り込まれ末に辞表を叩け付けた矯激とも言える性格。

 学術論争というものは、得てして面子を掛けた感情論・人格論になり、「下司の勘ぐり。かくて西里所論は完全に破産」等々、読んでいて思わず息を飲むほどの容赦のない筆致。

 有名な「昭和史論争」や「吉本隆明・黒寛論争」を挙げるまでも無く、読む方も思わず竦むほどだ。
 今で言うnet battleにも似る。

 失礼ながら、中央で名をなした高名・豪腕な研究者が、「何を小癪な!」と言わんばかりに郷土史学徒を罵倒したような構図で、あまりいい感じはしなかった。

 論争はヘビースモーク、多飲の末、体調を崩し沖縄を離れた筆者氏の死をもって終わるが、論争を追っている内に、私は一線の日本史研究課題や方法論に接する事が出来た。
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