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精子の老化 DNA配列の変異増加

2012-11-23 00:00:40 | 健康
読売新聞 11月8日(木) 配信
出産の高齢化で「卵子の老化」が注目されているが、精子は老化しないのだろうか?
男性不妊が専門の独協医大越谷病院(埼玉県越谷市)泌尿器科教授の岡田弘さんは、ここ5年間に「子どもが欲しい」という60歳以上の男性12人の治療にあたった。このうち4人が不妊治療に成功。夫の年齢は60歳から69歳、妻の年齢は35歳から44歳で、夫は初婚が2人、再婚が2人だった。「以前は60代の患者は診たことがなかった」と岡田さんは話す。
精子と卵子はもとは同じ細胞で、私たちが生まれる前の胎児の時に、精子のもとになる「精祖細胞」と卵子のもとになる「卵祖細胞」に変化する。これが成熟した精子や卵子になるためには「減数分裂」という細胞分裂が必要だ。人間の細胞は、2本で一組の染色体が46本あるが、これを半分の23本に減らす。精子と卵子が受精した時に再び46本に戻る仕組みだ。
卵子の減数分裂は胎児の時に始まり、いったん休止して思春期以降に再開する。このため、「卵子の年齢は女性の年齢とほぼ同じ」と、山王病院(東京都)院長の堤治さんは説明する。
卵子が老化すると減数分裂がうまく行かず、本来2本一組の染色体が1本や3本になる確率が高まる。流産やダウン症などの原因になる。

一方、精子が作られ始めるのは、思春期を迎えてからだ。精祖細胞が盛んに分裂を繰り返し、減数分裂を経て70日ほどで精子になる。精子でも減数分裂の不具合は起きるが、年齢による明らかな影響は見られない。
だが、今年8月、アイスランドの78組の両親と子どもの全遺伝情報(ゲノム)を解析した研究で、父親(平均年齢30歳)の年齢が高い子どもほど、染色体を構成するDNA配列の変異が起きやすいことがわかった。研究チームは「父親の年齢が高いほど子どもの自閉症や統合失調症が増えるとの報告があり、関係している可能性がある」としている。
また2年前、ドイツなどの研究者が世界の研究を分析したところ、自閉症や統合失調症以外にも、父親の年齢が高いと小児がんや1型糖尿病などのリスクが高まった。「少なくとも40歳より上では、妊娠率の低下や流産の増加、子どもの病気の増加に関与する」と結論づけている。
ただし、男性も女性も、高齢で異常の確率が高まるとは言え、大部分の子どもは健康に生まれてくる。堤さんによると、たとえばダウン症の確率は、母親が35歳で0・3%、40歳で1%程度だ。若ければゼロというわけでもない。
海外では「高齢の父親の子どもは、染色体のテロメアという、細胞の寿命に関わる部分が長く、長生きするかもしれない」という報告や、「40歳以上で自然妊娠した母親は長生きする確率が高い」という報告もある。
何歳であっても子どもを育もうと考えることはすばらしいことだし、仮に子どもに病気や障害があっても豊かな人生を送れる社会を作ることも大切だ。ただ、単純に生物学的に考えれば、男性にも加齢の影響はありそう。岡田さんは「女性だけでなく、男性も若い頃から子どもを持つことを考えた人生設計が必要だと思う」と話している。(館林牧子)
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