消されたライセンス(1989年 映画)

2015-08-13 00:00:36 | 映画・演劇・Video
kesareta007シリーズの第16作。冷戦前最後の作だが、もはや冷戦とは何の関係もないストーリー。ボンドは麻薬取引のボスを捕まえにアメリカに行くわけだ。そして、逃亡する飛行機ごと捕獲してしまうのだが、米国の警察官が200万ドルで買収されてしまい脱走される。

ティモシー・ダルトンは前作と本作の二作で降板。前任のロジャー・ムーアは本物のスパイのように硬派の顔をして、実際はコミックを演じていたが、ダルトンは逆で、コミカルな面相なのにやることが冷酷卑劣。殺人マシーンだ。

題名の消されたライセンスというのは原題では単にLicence to Killとなっていて、殺しのライセンスということなのだが、ボンドは組織の軟弱な方針に反対し拳銃を返さず、退職。あくまでも逃げた麻薬王を殺す目的で活動を続ける。まず、裏切った警官をサメに食わせて、買収資金を略奪し、活動資金にする。

基本的にロジャー・ムーアもショーン・コネリーも無暗に殺人をおかさないのに、ダルトンは、組織を離れたのにまったく意に介さず、邪魔者は次々に殺害していく。こんなことしていいのだろうかと思うが、水中銃が活躍して海は赤く染まる。登場人物は、全員一筋縄ではいかないので、敵も味方も裏切り者が続出。

殺人方法も過激で、シリーズの今までの作ではサメに食われるというのは、最高級の恐怖だったが、本作では、歯車に巻き込まれて肉塊になったり、減圧室に閉じ込められて頭蓋骨が爆発したり、ボンドの方も、乗り移った飛行機からパイロットを突き落したり、やり放題。最後は敵をガソリンローリーごと爆発させてしまう。

コミカルな容貌でシリアスな演技をするのとシリアスな容貌でコミカルな演技をするのとではどちらが観客に喜ばれるかというと後者ではないだろうか。ということで、次作ではボンド交代となる。本作ではボンドガール二人との二股交際が破たんの危機となるのだが、結論は不明のままとなる。


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