アクロス・ザ・ユニバース(試写会)

2008-08-07 00:00:23 | 映画・演劇・Video
ビートルズの名曲多数を使ったミュージカル映画の試写会の入場券を入手し、226事件で重要な役割(政府側対策本部)を果たした歴史的建造物である「旧・軍人会館」(現・九段会館)に向う。開演寸前なので、適当な席が見つからず、映画鑑賞ではありえない天井桟敷風の3階席に座る。なにしろ、3階席の底面は、スクリーンの上辺より上なので、両眼から入ってきた視覚情報を大脳の中で、台形補正することにする。普段、見ることのない天井の明かり取りのステンドグラスが手に届くようだ。



さて、映画には「ビートルズそのもの」は登場しない。ビートルズが誕生したリバプールに暮らすジュード青年の「父探しの旅」であるのだが、実際には、米国に住む生物学的父親を見つけて、落胆する、というのは、あまり重要なモチーフではない。現代から見て、1960年代の英国は、「誰もその時代に戻りたくない不景気の世界」であり、一方、同じ頃の米国は、「誰しもその時代に戻りたい良き世界(ただし白人の場合)」だった。その両極を描きながら、米国の幸福がベトナム戦争に深入りしていくことで、もろくも崩壊していく、その時代を描いている。

世界は善意から悪意に変わり、こどもが戦死した家族は幸福から一瞬にして絶望に変わり、戦場から戻った青年たちの性格は、戻らない。反戦活動家は、某共産国の指導者を偶像化し、手製の爆発物を作る。もちろん、フラワージェネレーションの教祖も登場。

その意味で、この映画は「カラオケでビートルズの歌を、少し現代的に歌ってみたい」というオジサン(オバサン)か、あるいは、「ベトナム戦争を同時代的に感じていた世代」でないと、感動イマイチ、と感じるかもしれない。

ビートルズの中で、もっとも好きな曲は「ストロベリー・ヒルズ・フォーエヴァー」だったのだが、映画を観ていて、『イチゴ畑』は、「血に染まったベトナムの大地を指す」ということを、やっと今頃知ったわけだ。酔っ払って歌うのは、もう止めることにする。



ミュージカル映画は時間が速く感じるもので、上映時間130分は、あっと言う間に過ぎ去っていくのだが、エンドロールは、この上もなく長く続き、ただ平凡に終了する。

さて、ビートルズは、言うまでもなく4人で、既に2人が欠員になってしまった。これに比べて欠員率の低さを誇るのが、ローリング・ストーンズ。7人中6人は生存しているだけでなく、60歳を過ぎた今でも、コンサートを続けている。音楽以外に頭を使わないことが、元気の元なのだろうか(単に、まめに人間ドックに通っているからかもしれない)。

年末には、ローリング・ストーンズの映画が公開される。彼らのコンサートの裏側をドキュメント風に撮ったらしい。



「シャイン・ア・ライト」。”社員はライト”ではないから。


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