RONIN(1998年 映画)

2019-10-17 00:00:42 | 映画・演劇・Video
まず、映画の話の前にアイルランドのこと。ラグビーワールドカップに参加している強豪国のアイルランドチームだが、面倒なことにアイルランド共和国のチームとは言い切れない。アイルランド共和国と北アイルランド(英国の一部)の合同チームになっている(選手は多国籍だろうが)。

そもそもアイルランドからすれば、32州のうち6州を英国に占領されていると思っている人が大半だ。

さらに今月末に運命の日を迎えるかもしれない英国のEU離脱。アイルランドも英国も今はEUに加盟しているが、離脱すると、国境を自由に行き来できなくなるし、多くの物品の国境を越えた取引には10%程度の関税が必要になる。まず、国境に壁をつくるのは大変だし、どちらの国が国境設置料を払うのだろうか。あと2週間なのに国境のフェンスは1メートルすら作られていない。消費税2%アップでも大騒動なのに10%では手に負えなくなる。

そうなると、スコットランドと同じように北アイルランドも独立を目指す公算が高いだろう。さらにスコットランドの場合は、国民投票とか議会で議決といった方法を選ぶのだろうが、北アイルランドの場合はゲリラ戦という可能性が高い。一般にIRAという武装組織はテロリストのように思われているが、もともとはアイルランドの正規軍。それが二つに分離して、北アイルランドでは英国を占領軍とみなして戦っていたわけだ。

その戦いが休戦したのが1998年4月の「ベルファスト合意」。



そして、この『RONIN』は、このアイルランド問題に関係している。なお『RONIN』というタイトルは日本の四十七士をイメージして付けられたそうだが、四十七士とは何の関係もない。日本の場合はバカ殿さまの狂気によって、失業者となった赤穂浪士が主人公だが、RONINの場合は冷戦終結で失業したスパイやテロリストが報奨金を目当てに頼まれ強盗とか殺人代行といった活動を行う。金がすべてだ。このあたりが共感しにくい背景だ。

そして、RONINたちが狙うのが、あるジュラルミンケース。どうもロシア人が関係しているようだ。それとアイルランド人がこのケースを探している。そのアイルランドの活動家の支持で動くのが謎の美女で彼女がRONINを色々探してきて、ケースを奪うためには何人殺してもいいという指示を与える。場所はフランス。パリとニースで作戦は行われる。

そして、実際に次から次に一般市民が巻き込まれて死んでいく。人質にされた者は奪回されずに、殺されてしまう。町は大破壊だ。

そして迫真の実写版カーチェイス。最近は日本でも流行っているが、自動車専用道路を逆走しながら大逃走。さらに銃を乱射するので、あちこちで被害車両数が積み重なる。他の作品ではみたこともない特殊技術だ。工事中とか解体中の高速道路を借りて撮影したのだろうか。本作、最大の謎だ。

そして、本作最大の謎であるべきジュラルミンケースの中身だが、明らかにならないうちに映画は終わる。アイルランド人の黒幕が亡くなったことで、ベルファスト合意に結び付いたわけだ。私の推測では、ケースの中身は「高濃度ウラン」だろうと推測。冷戦終了につき、余った核兵器からウランが抜きだされて、国際闇市場に流出したのだろう。それをなんとか買い戻そうとロシア人が登場し、反対にアイルランド人は自ら核兵器を持ちたいわけだ。

ということで、カーチェースが最大のみどころといってもいいのだが、長く見ていると車酔いするので注意が必要だ。

20年前の映画だが、10年後に、大部分のクルマがAI付き自動運転車になると、撮影も大変になる。そもそも車が回転しないように横滑り防止機能が付いている上に、ぶつかりそうだと自動ブレーキが利くし白線をタイヤが踏むだけで警報が鳴り響く。

そもそもドローン兵器が出現した今、自動運転の自爆テロとか起こりやすくなっている。

話は変わるが、ニースの街でカーチェースのシーンがあるのだが、市街地の雰囲気は、岡山県の下津井(しもつい)によく似ている。蛸の町だ。

それと白人の顔って、見てもあまり区別がつかないので、RONIN達の中で、誰が先に死んだのかよくわからない点もあるのだ。

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