奇跡のクラーク・コレクション

2013-03-10 00:00:21 | 美術館・博物館・工芸品
三菱一号館美術館で開催中(~5月26日)のクラーク・コレクション展に行く。

clarkクラーク・コレクションというのは、シンガー・ミシンの創業者のクラークさんが、収集した美術品を集めた美術館の収蔵品のことを意味している。その美術館が建て直し工事を行っていて、その工事期間中、美術品には保険が付けられた上、世界各国の美術館を巡業しているわけだ。巡業で稼ぐ予定金額が建て替え工事費の資金繰りに組み込まれているかどうか不明だが、何しろ「地中美術館」なんてものを設計した、安藤忠雄先生が手掛けるわけだ。

それに、資金が不足しても、1枚売ればなんとかなるのだろう。

で、余計な話は終わりにして、このコレクション展だが、「印象派」に厚い。特に、ルノアールがみどころである。何しろ、あまり紹介されていない作品が多いわけだ。有名でないルノアールの絵画。しかし、有名なルノアールの名画に劣るところはないわけだ。さらに、有名なルノアール作品とペアになるべきような、どこかで見たような感じが湧いてくるわけだ。

特に、『モネ夫人の肖像(読書するクロード・モネ夫人)』。モネ夫人は、密かにルノアールが狙っていたのにモネに横取りされたとされているのだが、女性画家ベルト・モリゾとともにモデルとしても「超美人系」である。いろんな画家が。この二人のことを描いているのだが、モネやルノアールといった画家の顔なんて多くの人は知らないのだが、画家たちが描いた女性たちの方が後世に伝えられるというのは、どんなものだろうか。

ということを、同行した知人に説明していたら、何人かが集まってきた。どうも学芸員と間違えられたようだ。そういえば、離れたところで、本物が解説している。

それで、ルノアールもそうだし、ピサロやドガやティソなどもそれらしくないのにそれなりに名画を描いていることがわかる。思うに、それらしくない絵を描いていて、どうしてそれらしい絵に変わっていったのだろうと思うと、たぶん19世紀の終わりのフランスには、そういう美術界(音楽やバレエもそうだが)にアベノミクスみたいなバブル的なブームがあったのだろうと思うわけだ。

そして、信じられないように大量の芸術作品が登場し、後世の財豊かになった人たちが、それを美術館に運ぶ役目を担うようになった。

ところで、世界のミシン王はクラーク美術館を興したのだが、山口県出身の日本のミシン王は、一向に美術館を建てる様子は感じられないわけだ(ルノアールの名画を買った紳士服チェーンの社長を思い出した。絵画に因んでアニヴェルセルという結婚式場を造った)。


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