ポップアート1960’s→2000’s

2006-09-01 00:00:45 | 美術館・博物館・工芸品
a5c02934.jpg今週、美術館ネタが連発してしまうが、シャガールの「アニヴェルセルの謎」に首を突っ込んでしまって4回物になってしまったことによる。夏も終わり、多くの美術館や博物館もオータムシーズンで展示換えの季節となり、損保ジャパン東郷青児美術館で行われている「ポップアート1960’s→2000’s」も9月3日まで。

さて、ポップアートと言えば、アンディ・ウォホールと言うことになって、「芸術か?否か」という話ばかりになるのだが、もっとも議論は後付けで結構、ということでもある。確かにウォホールを一作だけ見れば 、一体、何のために、どういうつもりで、誰のために、こういう作品ができちゃったのだろう?と思ったりするのは自然なのだが、こういった、「ポップアート歴史展」のように、一挙大量にまとまった形で有名アーティストの作品を観れば、「ああ、なるほど」とか「それぞれ個性があって」とか、彼らの苦悩と挑戦と自負と落胆と、そういうポップアートを作り続けることの強い意志が微かにうかがわれるわけだ。

a5c02934.jpg特にロイ・リキテンスタインやアンディ・ウォホールといった大家はまとまった展示スペースが与えられ、個人の中でも作品がいかに複雑化されていったかわかるようになっている。リキテンスタインの<泣く少女>は1963年作。泣いているのと同時に驚ろいて目を見開いている。なんら解説されていないが、ケネディ暗殺を意味しているのだろうか。もしかするとジャクリーヌがモデルなのだろうか?

アンディ・ウォホールの<$9>は1982年の作。若い時分の作(たとえばマリリン・モンローとか)とはずいぶん違う。原色風の$×9は何を表しているのだろう。この作品の原価とか?あるいは世界中を制覇しようとしているアメリカの隠喩なのだろうか?彼がこの作品で、米国文明を肯定的に考えているのか否定的に考えていたのか。私には解読能力はない。

a5c02934.jpgそして、1980年代を独走したキース・へリングの1987年の<グローイング1>は、彼の作り出したキャラクターである「ムーヴィングマン」の一つ。縦に3人並んだような赤い人間は、人間の欲望の成長を「愚かで滑稽」と表現しているのだろう。彼の29歳の時の作品で、その後31歳でエイズで亡くなる。少し、前にユニクロがキース・へリングT-シャツを発売したが、没後15年で、彼の作品はクラシックになった。T-シャツも100年後にはヴィンテージになっているだろう。もちろんその時、ユニクロは・・

a5c02934.jpgヴィック・ムニーズの<オリンピア(チョコレートの絵画)>は2000年の作。画材の自由性はポップアートの特徴の一つだが、それにしても・・ムニーズ氏はチョコレートが好きだったのだろうか?描かれているのはソファーに横たわる裸婦とそこに花束を持って現れた人物だが、人物の顔は既に一部が溶けていて、やや怪しい雰囲気である。何はともあれ、美術館泣かせというか美術品輸送会社泣かせというか、冷凍マンモスと同じだ。

a5c02934.jpgデイヴィッド・ラシャベルの<ゴム風船(ブタ)>は2002年作と近作。絵画なのか写真なのかCGなのか・・よくわからない絵画だが、ちょっと手法的に潔くない感もある。評価不明。


実は、この美術館に行った理由は別にある。付属のショップでゴッホのひまわりシリーズについてのレポートが製本され販売されているとの情報があったからだ。もちろん常設で「ひまわり」の1枚が展示されている。1987年に57億円だったもので、買った当時は「高すぎる」と言われ、2年もしたら「底値買い」と賞賛され、その後の金融再編成の中では「不良資産呼ばわり」され、最近は「ふくみ資産価値巨大」と再評価されている。

もちろん、それはひまわりの中の1枚だけの話なのだが。ひまわり全部の話は、レポートを読み終わってからということにする。  


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