ルオーと風景

2011-06-12 00:00:48 | 美術館・博物館・工芸品
パナソニック汐留ミュージアムで開催中の「ルオーと風景」展。旧松下電工が収集していたルオー作品を中心とした美術館で開かれている。結構、勤務先の近くにあるので、昼休みとか何度か行っているうちに、なんとなくルオーのことがわかってきた。



よく知られているような太い輪郭の肖像画を描いたのはルオーの40代後半の頃。それより若い時期は、フランス各地を転々と移動し、フランスの風景をキャンバスに描いていた。ただ、趣味的な問題もあり、テーマは、「秋」とか「たそがれ」とか「夕暮れ」というのが多い。「秋の終わり」とか「夕暮れ」と自ら命名したりしている。



日本でも、「秋の夕暮れ」というお題の短歌がいくつかあるが、だいたい法師とか世捨て人とかそういう人が詠んだ。ルオーもかなり厭世的だったのだろうか。確かにおカネに困っていた時期もあるようだが、それでもネアカな人はいる。

そして、年齢が進んでいくと、絵の中に、太陽のようなものが現れてくる。夕暮れでも太陽だ。



そして、1930年代、ルオーが60歳になるころから、絵画の題材を「聖書」に求めることになる。何か、心境の変化があったと考えるよりも、彼の内面の不安が宗教への救いに向かったのかもしれない。日本の現代でも、年を取ると仏像巡りとかお遍路さんとか考えるのは人生の終わりを意識してのことだろう。(もっとも愛人疑惑を起こしたりお遍路さんを行ったりして総理大臣になったあげく、ペテン師呼ばわりされた人物もいたが)

そして、自ら晩年と思いこんで描き始めた宗教画は、本人の健康に支えられ、膨大な量に上り、90近くまでその路線を続けることになったわけである。

ところで、冒頭にあるように、ルオーにはまりそうな気配もあるのだが、美術館の売店には大量のテーマ別の画集とか揃えてあるわけだ。もちろん一冊づつは結構高額。そのうちまとめ買いをしそうで、ちょっとこわい。というか自宅に置いておく場所もないので、勤務先の地下倉庫に段ボールに詰めて保管とか。「おおた用、危険!開けるな!」とか・・既に、いくつかの箱が並んでいるのだけど・・