紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地に、熊野市が固定資産税を課してきました。
紀州鉱山の真実を明らかにする会は、2011年3月に、「2010年度固定資産税賦課処分及び減免不承認処分」の取消しを求めて、津地方裁判所に訴訟を提起しました。
裁判は、津地裁、名古屋高裁と続きましたが、「紀州鉱山への朝鮮人強制連行、紀州鉱山での朝鮮人強制労働には日本政府、石原産業、三重県とともに熊野市に歴史的・社会的責任があること」、「追悼する場(土地)には公共性・公益性があること」などの基本的な論点を審理しないまま、2012年12月に、最高裁は上告を棄却しました。
紀州鉱山の真実を明らかにする会は、2013年3月に、「2012年度固定資産税賦課処分及び減免不承認処分」の取消しを求め、あらたな訴訟を提起しました。その第2訴訟の2013年9月までの経過は紀州鉱山の真実を明らかにする会の『会報』14号をみてください。それ以後の経過は、次のとおりです。
〇2013年11月8日付 最高裁、戸田彰子裁判長忌避の特別抗告を棄却。
〇2014年2月18日付 津地裁に、紀州鉱山で亡くなった李白洛さんの遺児
李炳植さんと千炳台さんの遺児千鳳基さんを証人とすることを要求。
〇2014年2月20日 津地裁に準備書面(1)をだす。
[準備書面(1)の内容] 熊野市は2013年6月3日の答弁書で「知らない」
とのべているが、「知らない」と主張することができない証拠文書(旧紀
和町〈現、熊野市紀和町〉が1993年3月に発行した『紀和町史』下巻)があ
る。また、熊野市は同答弁書で2012年4月3日、中田悦生熊野市議会議長が
金昌淑韓国慶尚北道道議会議員から親書を手渡され、同席した韓国慶尚北道
道議会議員団の諸氏の発言を聞いたあと、どのような約言をおこなったかを
知らないとしている。この被告熊野市の「答弁」は、いつわりである。
〇2014年2月20日 津地裁で口頭弁論(戸田彰子裁判長が転任し、坪井宣幸裁判官が
裁判長となる)
[口頭弁論の概要] 原告が訴訟提起の理由を弁論したあと、坪井宣幸裁判
長は、実質審理にはいることはなかった。被告が答弁書で、「知らない」と
主張していることに対し、原告が被告に回答を求めたが、坪井宣幸裁判長
は、原告に準備書面を出すように指示するだけであった。
〇2014年5月9日付 原告、津地裁に準備書面(2)をだす。
[準備書面(2)の内容] 「朝鮮人強制連行はなかった」、「紀州鉱山の
朝鮮人の強制労働とその死者については知らない」、と言い張る被告熊野市
の態度は、法廷で真実を争うという裁判制度の本質を否定するものである。
〇2014年5月21日付 原告、津地裁に準備書面(3)をだす。
[準備書面(3)の内容] 「固定資産税の算定」を被告がもちだすのは、
民事訴訟法第161条2項2号「相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する
陳述」、同法第2条「信義に従い誠実に民事訴訟を追行」に違反している。
「地方税法」第348条の非課税の範囲の適用をめぐって本訴訟を提起して
いるのではない。
〇2014年5月22日 津地裁で口頭弁論および坪井宣幸裁判長を忌避
[口頭弁論の概要] 原告は、被告熊野市が「「紀州鉱山での朝鮮人強制労
働と朝鮮人死者」は知らない」と「答弁」していることを弾劾し、紀州鉱山
で亡くなった朝鮮人の人数や、名前を明らかにする文書をいまだ開示しよう
としない不道徳性・不正義を明らかにし、紀州鉱山で亡くなった李白洛さん
の遺児李炳植さんと千炳台さんの遺児千鳳基さんを証人とすることを要求す
るとともに、強制連行と強制労働の事実を明らかにすることによって不当課
税であることが自明となると主張。
坪井宣幸裁判長は、証人申請は却下し、「これで弁論を……」と言い出
し、実質審理をおこなうことなく、弁論を終結させようとした。原告は、即
座に、裁判長忌避。
〇2014年5月26日 原告、津地方裁判所に坪井宣幸裁判長忌避申立理由書をだす。
[忌避申立の理由]「紀州鉱山への朝鮮人強制連行、紀州鉱山での朝鮮人強
制労働にかかわる熊野市の行政責任」、「紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追
悼する場(土地)の公共性・公益性」などの基本問題について実質審理をし
ようとしない坪井宣幸裁判長には、裁判の公正を妨げる事情がある。
〇2014年5月27日 津地裁、坪井宣幸裁判長忌避申立を却下
〇2014年6月7日 原告、名古屋高裁に坪井宣幸裁判長忌避申立却下決定に対する即
時抗告。
[即時抗告の理由] 実質審理をおこなおうとしない裁判官を忌避するのは
当然のことである。
当事者が公平・公正な裁判を受ける権利を侵害されていることは明らかだ。
〇2014年7月9日 名古屋高裁、即時抗告を棄却
〇2014年7月15日付 原告、最高裁に特別抗告。
[特別抗告の理由] 憲法76条3項「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立し
てその職権を行ひ」、憲法32条「裁判を受ける権利を奪はれない」に違反し
ている。
竹本昇
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