先日、鳥獣保護区の調査で京都府南部の山へ行ってきました。私の役目は鳥ではなく樹木のチェック。
住宅地から2~3km離れた小高い山で、頂上には展望台が設けられ、近くの住民がハイキングに訪れるような自然公園です。調べて愕然としたのは、あまりにも外来種や園芸品種が多いこと。「こんな山の中にわざわざナンキンハゼやシダレヤナギを植えなくてもいいのに」とため息が出てきました。
街路樹によく使われるナンキンハゼは中国原産
実は、私が所属する森林ボランティアの活動拠点である森林公園にもアメリカハナミズキやモクレン、ニワウルシなどが植えてあります。また、活動の一環として、野鳥観察小屋の前にピラカンサを植えたりしています。
見かねて、4月の総会では「森林公園に外来種を植えるべきではない」と生意気な意見を述べました。
最近問題になっているニワウルシも中国原産
街路樹によく使われているハリエンジュは、環境省が「要注意外来種」に、日本生態学界が「侵略的外来種ワースト100」にリストアップしています。繁殖力が強く、日本本来の生態系を撹乱する恐れがあるからです。移入されたのは明治時代ですが、100年以上経った今頃になってそのことが判明したわけです。
100年経たないとどんな影響が出るか分からないような外来種を、都市公園や庭はともかく、自然公園に植えるべきではないと私は思っています。琵琶湖にブラックバスを放すのと同じような危険性があるからです。
「アカシア」の別名を持つハリエンジュは北米原産
「そういう考えは偏狭かな?」と思っていたところ、埼玉県も同じ意見のようで、緑化用の樹木に関する厳しい基準を設けています。ハリエンジュ、ニワウルシ、トウネズミモチ、ピラカンサなどの外来種だけでなく、ヤツデ、カクレミノ、シュロ、オオシマザクラなど南方系の日本在来種もブラックリストに載せています。
また、アメリカハナミズキはヤマボウシに、マロニエはトチノキに、トウネズミモチはネズミモチに、ハクモクレンはコブシに、ボダイジュはシナノキに代替するよう勧めています。いずれも前者が外来種、後者が同じ仲間の在来種です。
さらに、植えるべき樹種をリストアップし、どんな場所にどんな樹を植えるべきかという指針を掲げています。
京都府も、いやすべての都道府県もこの埼玉県の見識を持つべきです。ハリエンジュやブラックバスのように、自然の中にはびこってからでは遅いですから。
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