樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

シギチ

2007年09月14日 | 野鳥
近くに巨椋(おぐら)池干拓田という広い農地があります。昔は大きな遊水地だった所で、前回ご紹介した秀吉の土木工事も宇治川の水をこの巨椋池にスムーズに流すためのものでした。
日本初の国営干拓事業として昭和8年に着工され、昭和16年に完成したそうです。ここは近畿でも有名な鳥のポイントで、今の時期はシギやチドリが、冬になると草原性のハヤブサやフクロウが集まってきます。

      
              (見渡す限り稲の海)

シギやチドリは河口部や海辺の干潟、大きな湖などに集まるのが普通で、内陸部の田園は珍しいようです。おそらく、遊水地があった頃の地理情報が鳥たちの体の中にDNAとして残っているのでしょう。
数年前、珍しい鳥が出現した際、多くのカメラマンが押し寄せて農家の人たちとトラブルを起したことがあります。それまでは、近いのでしょっちゅう行ってましたし、野鳥の会として毎月1回農道のゴミ拾いをしながら鳥を見る会を催すなど良好な関係を築いていたのですが、そのトラブル以来肩身が狭くなって遠慮していました。今年はそういう騒ぎもないようなので、久しぶりに鳥を見てきました。

      
     (車で接近すれば鳥が逃げないので、こんな道具で観察します)

デジカメとスコープを組み合わせた「デジスコ」で鳥を撮影するという目的もありました。その結果が下の写真。こうしたクチバシが長くて、茶色っぽい鳥がシギです。これは多分タシギ。チュウジシギやオオジシギの可能性もありますが、よく似ているので私には識別できません。

         
     (初めてのデジスコ。クチバシが異様に長いのがシギの特徴)

下の写真はツバメチドリ。けっこう珍しくて、環境庁は絶滅危惧Ⅱ類に指定しています。この干拓田では毎年出現するので、遠くからもバードウォッチャーがやってきます。
チドリの仲間は「千鳥足」と言われるように、あっちへチョロチョロ、こっちへチョロチョロ歩き回りますが、このツバメチドリはじーっとしています。

      
        (トリミングしたので不鮮明ですがツバメチドリ)

野鳥の会に入った頃、先輩たちが「シギチ、シギチ」と言うので、何のことだろうと思ったらシギ類とチドリ類をまとめて呼ぶ略語でした。当時は仲間内の隠語みたいで馴染めませんでしたが、今では私も平気で「シギチ、シギチ」と言ってます。

      
        (owakuさん、こちらでも不耕起栽培やってますよ)
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 400年前の土木工事 | トップ | 象のおかげ »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ここですか (guitarbird)
2007-09-14 18:02:14
こんにちわ、guitarbirdです
ここが前に話されていた場所ですね。
規模の大きな湿地・湿原は大切にしたいものです。
私も今年はシギ・チドリ類を勉強しようといろいろ出向いてますが、
まだ数種類しか確認していません。
先日、東京湾に台風の影響で流木が大量に流れ込んだというニュースを
テレビで見ていて、干潟の映像にセイタカシギが写っていて、
東京のほうがむしろ観察にいい場所が多いのでは、とも思いました。
デジスコの前にニコンのフィールドスコープがそろそろ欲しいです。
私の師匠はそれでやっていました。
それから、私はへそ曲がりなので、「シギチ」とは、
絶対にいわないことにしています(笑)。
返信する
そうです、ここです (fagus06)
2007-09-15 10:22:09
東京湾の野鳥公園は昔行ったことがありますが、セイタカシギが普通に見られます。湿地を保全しているからでしょうね。
記事で書いたトラブルというのも、そのセイタカシギが出現してカメラマンが集まったからでした。
ギタバさんは一眼レフをお持ちだからデジスコは不要でしょうが、デジスコされるならスコープはEDレンズがいいみたいです。私のはEDじゃないせいか、いまいちキレイじゃないです。
やっぱり、「シギチ」には抵抗がありますか? 私も最初はヘソを曲げていましたが、状況に流されやすいタイプなので、いつの間にかヘソが真っ直ぐになっていました。(笑)
返信する
ずいぶん広い (woodyowaku)
2007-09-15 13:01:31
田んぼですね、おまけに平ら(田んぼは平らでないと出来ないけど)勿論周りも平らという意味ですが。
こんな田んぼには野鳥が自然にやってきますね、都市に近いから人も沢山やってくるのですね。
こんな田んぼが沢山増えると良いなーと思っていますが、これがなかなか難しいことなんですね、特に消費者の応援が決め手になるのではないかと思います、勿論農家がその気にならなくてはならないのですが。
返信する
ジシギ (scops)
2007-09-15 20:42:54
一枚の写真だけでは断定せきませんが、たぶん、チュウジシギだと思いますよ。

EDじゃなくても写せてるじゃないですか、よかったですね。私もあとで気がついたのですが、デジカメを望遠気味にして光軸をちゃんと合わせれば写りますね。
私、前のカメラでは写せないと思っていたら、今日、山でそのカメラで綺麗に写している人がいて、工夫次第で写せるんだなと感心しています。
返信する
woodyowakuさんへ (fagus06)
2007-09-16 10:42:56
一番下の写真の向こうに写っているのは京滋バイパスという高速道路なんですが、野鳥にとっては少しずつ環境が悪化しています。
昔は、珍しい鳥がよく出現するポイントでしたが、最近は種類も数も少なくなったようです。
シギやチドリは休耕田で餌を食べています。なので、バードウォッチャーはまず休耕田探しから始めます。
もうすぐ田んぼから水を抜きますが、そうなるとシギチはいなくなります。
農業と野鳥は必ずしも100%共生できないとは思いますが、ここの農家の中でも野鳥の保護に積極的な方もいらっしゃいます。
返信する
scopsさんへ (fagus06)
2007-09-16 10:49:03
え~!やっぱりチュウジシギですか?
ヤッター! と喜んでも、本人はその時点でタシギと思っていたので、いまいち感激がないな~。
デジスコ、いったんはあきらめたのですが、scopsさんのブログ見て、再チャレンジしたら何とか写せました。
でも軸を合わせるのが難しいです。今度、デジカメを望遠気味にしてやってみます。
「山」というのは、例のタカの山ですね。
返信する

コメントを投稿

野鳥」カテゴリの最新記事