樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

プラスチックごみと海鳥

2020年06月18日 | 野鳥
7月からレジ袋が有料になります。京都府亀岡市はもっと先進的で、全国で初めてレジ袋を禁止する条例を制定し、来年1月から施行します。生分解性の袋も禁止です。また、内陸部の都市でありながら、2012年には「海ごみサミット」を開催。翌年に発出した「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」では、以下のように述べています。
深刻化する海洋プラスチック汚染は、魚や海鳥などの海の生態系にまで大きな影響を与え、地球規模の問題となっています。ここ亀岡でも、大量のペットボトルやレジ袋などのプラスチックごみ問題が、保津川をはじめとする自然景観や市民の生活環境、そして観光にも大きな影響を与えているだけでなく、「市の魚アユモドキ」に代表される多様な川の生態系にも影響を及ぼすことが危惧されています。
海から遠く離れている都市なのに、海ごみや海鳥の心配をしているわけです。海洋プラスチックによる海鳥の被害は、最近大きな問題になりつつあります。以下の動画は、アメリカの研究チームがミッドウェー環礁でコアホウドリを撮影したもの。ショッキングなシーンもありますが、まず見てください。


Chris Jordan's ALBATROSS film trailer from chris jordan photographic arts on Vimeo.



日本から遠く離れた海域ですが、私たちが捨てたペットボトルやレジ袋が川を通じて海へ流れ、海流に乗ってミッドウェーまで漂います。その間に紫外線や波を受けて細かく砕かれ、それをコアホウドリの親鳥が餌と間違えて捕食し、ヒナに与えます。ヒナは自立して飛び立てるだけの栄養がとれないので、最終的には死に至るわけです。多分、親鳥も誤食して同じ運命をたどっているでしょう。
上の動画はダイジェスト版ですが、本編(約1時間40分)では、親鳥が吐き戻してヒナに与える餌の中にカラフルなプラスチック片らしきものが映っています。下はそれを切り取ったもの。



被害は海鳥だけではありません。魚、イルカ、鯨、亀など他の海洋生物も同様です。今のところ、魚が誤食したマイクロプラスチック(0.5mm以下のプラスチック)は消化器官から肉へは移動していないようで、魚を食べた人間への影響は確認されていませんが、さらに微細なナノプラスチックになるとチェックできないそうです。
魚だけでなく、食塩からもプラスチックが検出されています。つまり、私たちの体内にはすでにマイクロプラスチックが取り込まれているわけです。実際に人糞からも検出されています。
プラスチックの規制は日本では遅れていますが、ヨーロッパではかなり進んでいます。EU市場では来年から使い捨てのプラスチック製品が禁止されます。アメリカは国としては消極的ですが、州や都市によっては先進的で、例えばサンフランシスコでは21オンス(621ml)以下のペットボトルは禁止。違反者には罰金も科せられます。
便利な素材ですが、少しずつ脱プラスチックの生活に切り替えざるを得ません。
なお、上のコアホウドリを撮影したグループは、この問題を世界にアピールするため、動画や画像を無料で提供しています。
コメント (5)
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