樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

芸術と自然は別物

2019年08月15日 | 野鳥
嵯峨嵐山文化館で開催されている「いろトリどり~描かれた鳥たち~」を観てきました。嵐山を訪れるのは久しぶりで、この美術館も初めて。
入館して驚いたのは、「撮影OK」の表示。以前から展覧会にいくたびに「今はスマホやデジカメで簡単に撮影できるのだから撮影OKにすべき。SNSで拡散されて来場者増につながるのに」と思っていましたが、ようやくそんな美術館が登場しました。
展示は、伊藤若冲、円山応挙など江戸期から、川合玉堂、加山又造など近現代までいろいろな作品があって、それなりに楽しめました。
しかし、バードウオッチャーの悪い癖で、あり得ない題材が気になります。例えば、下の絵は桐の花とルリビタキが描かれていますが、桐の開花は初夏、ルリビタキは冬鳥なので季節が合いません。



また、梅の花と夏鳥のオオルリという取り合わせもありました。画家は題材として花や鳥を選ぶので、季節が合わなくても芸術的価値が劣るとは思いませんが、俳句の季語に使われる鳥と同じく、芸術と自然は別物ということでしょう。
今回、最もインパクトがあったのは、中野大輔という1974年生まれの画家の作品。下の『ひかりあまねく』という屏風図は、伊藤若冲の精緻と尾形光琳の絢爛豪華が統合されたような迫力があり、圧倒されました。



右の二曲は白藤と孔雀、左の二曲はベニバナトチノキ(多分)と雉。世界で最も派手な鳥と日本で最も派手な鳥が題材に選ばれています。キジが木の枝に止まることはあり得ないですが、そういう突っ込みを跳ね返すだけの威厳と情熱を感じます。
今回の観覧のもう一つの目的は、山階鳥類研究所所長・奥野卓司さんのギャラリートーク。



実は、奥野さんとは、私が京都の広告代理店にいた頃一緒に仕事をしたことがあります。私が企画した若者向けのラジオ番組のパーソナリティとして、当時、京都のサブカルチャーの旗手であった奥野さんを起用したのでした。もう40年以上前の話です。
その頃は仲間内で「卓ちゃん」と呼んでいた人が、今は山階鳥研の所長であり、関西学院大学の名誉教授。出世したね~、卓ちゃん。
コメント (2)
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