樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

森の中の歌

2016年05月05日 | 野鳥
4月末の栃の森では鳥のさえずりを楽しんできました。林道ではトラツグミの声が聞こえてきます。姿を見せないので声だけ録りました。
小さな滝の音をバックに「キ~ン」と一声ずつ区切って鳴いています。写っているのは、前半がイヌシデの花、後半がアカシデの花。



鳥とは思えないこの奇妙な声は、『平家物語』では妖怪ヌエの声とされていますし、現在でも幽霊やUFOに間違えられて時々騒動になります。
森の入口近くではキセキレイがさえずっています。トラツグミと同様金属的な声ですが、こちらは妖怪に間違われることはないでしょう。



森の中ではキツツキの食痕が残るミズナラの倒木を発見。虫が多かったようで、激しくつつかれています。この森にはオオアカゲラ、アカゲラ、アオゲラ、コゲラの4種類のキツツキがいるので総動員で採餌したのでしょう。



野鳥生息調査としての今回のトピックスは、ヒレンジャク。この森で20数年調査を続けていますが、林内では初記録。しかも60~70羽の群れでした。この冬、里ではヒレンジャクに出会えなかったので、思いがけない遭遇でした。
帰路、コガラがすぐ近くの木でさえずってくれました。この鳥は小さい上によく動くので動画に収めにくいですが、さえずる時はしばらくじっとしています。



調査では、目視はV、さえずりはS、地鳴きはC、飛翔はFと記録します。Visual、Song、Call、Flyの略です。
今回、森の中ではツツドリ、オオルリ、キビタキなどの夏鳥のほか、ミソサザイやシジュウカラなど留鳥のいろんなさえずりを聴くことができました。こんなに多くの種類の歌が聴けるのは、この森の大きな魅力です。
コメント (4)
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