樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

春から冬へ

2014年05月01日 | 木と香り
週末、5カ月ぶりに栃の森へ行ってきました。土曜の夕方、電気も水道もなく、東屋と簡易トイレがあるだけのキャンプサイトに集まり、仲間と飲食を共にしてから車泊。翌朝5時過ぎ、野鳥のさえずりを聞きながら出発します。
街中に比べると季節が1~2カ月ずれていて、森に入るまでの林道ではさまざまな花が遅い春の訪れを告げていました。
まず目についたのは、キンキマメザクラ。市街地のソメイヨシノとは一味違う可憐な姿を見せています。名前は「近畿」ですが、北陸や中国地方にも分布するようです。



斜面では、ミツバツツジが鮮やかな赤紫色でその存在を誇示しています。ミツバツツジにもいろいろあって、サイコク(西国)ミツバツツジ、ユキグニ(雪国)ミツバツツジ、コバノ(小葉の)ミツバツツジのいずれかですが、手や目が届かず同定できません。



林道のカーブを曲がると、かすかにタクアンの臭いが漂ってきます。犯人はヒサカキ。この樹の雌花はエタンチオール系の悪臭を放って虫を引き寄せるそうです。米粒ほどの花に鼻を近づけると、タクアンというよりもガス漏れの匂いがしました。「インスタント塩ラーメンの粉末スープの匂い」という人もいます。



このほか、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、アセビ、キイチゴ、キブシ、イワナシ、クロモジなどが開花して、林道は春の競演といった感じ。ところが、一歩森の中に入ると、あちこちに雪が残っていて、春から冬に逆戻りしたよう。50cm以上の積雪の上をザクザクと歩きました。



林道に比べると、目につく花も少なめ。タムシバやムシカリ(オオカメノキ)が所々で白い花を咲かせているくらいです。


忘れたハンカチのようなタムシバの花

この冬はそれほど雪が多くなかったはずですが、気温が低い日が続いたからでしょうか、森はようやく冬の眠りから覚めたところでした。


これから展葉するオオカメノキ(ムシカリ)

現在、この森は立入禁止ですが、私たちは20年前から野鳥生息調査を継続しているため、管理者から許可を得て入林しています。
コメント (6)
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