樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

和菓子のルーツ

2014年03月27日 | 木と飲食
最近になって知ったことですが、京都では早春に「椿餅」を食べるそうです。道明寺生地で餡を包んだ餅を2枚のツバキの葉で挟んだ和菓子。木の葉で包むところは、桜餅や柏餅と同じです。
近くの神社の梅祭りの会場で売られていたので、買ってきました。お菓子屋さんによって形状が違うようで、このお店は黄色い花心をつけて白椿に見立てているので、上の葉が横にずらしてあります。



このお菓子は『源氏物語』にも登場し、「蹴鞠の後、椿餅や梨、かんきつ類などが用意され、若い人々がそれらを食べている」と記されています。
当時は、餅米を乾燥させて臼でひいた餅粉を甘葛(あまずら)の汁で練って餅にし、椿の葉で包んだそうで、餅の製法は現在と少し違いますが、ツバキの葉で包むのは今も同じ。
中国伝来の揚菓子が主流の平安時代、こうした椿餅は珍しく、和菓子の起源ではないかと言われています。
しかし、ツバキの葉で包むことにどういう意味があるのでしょう?
桜餅はサクラの葉の殺菌効果や香りを利用するという意味がありますし、柏餅に使うカシワの葉はもともと食べ物をその上に載せたという歴史的な由来がありますが、ツバキの葉には特別な香りもないし、殺菌効果があるとも思えません。
季節感の表現? 『源氏物語』には「梨やかんきつ類と一緒に用意した」とあるので、秋~冬に食べたようです。ツバキの花は冬~春ですが、葉は常緑なので季節感の表現ではないでしょう。考えられるのは、彩り? 乾燥防止? 
ツバキの葉に意味があろうとなかろうと、甘いものに目がないので、おいしくいただきました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする