樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

4千万本の木を植えた男

2014年03月10日 | 森林保護
京都には「地球環境の殿堂」があります。大げさな名前ですが、施設ではなく、顕彰制度です。1997年の「京都議定書」に由来して2010年に創設され、毎年、地球環境の保全に貢献した人を「殿堂入り者」として表彰しています。
その第5回表彰式と記念シンポジウムが2月末に国立京都国際会館で行われたので、シンポジウムだけ参加してきました。
今回の殿堂入り者は、宮脇昭さん。樹木や生態学の分野ではよく知られた人物で、「4千万本の木を植えた男」の異名があります。
ちなみに、これまでの主な殿堂入り者は、「もったいない」を世界共通語にしたワンガリ・マータイさん、ブータン王国のワンチュク殿下、アメリカの環境活動家レスター・ブラウン博士など。
「鎮守の森」を見れば分かるように、日本の本来の植生はシイ、カシ、タブノキなどの常緑広葉樹である。よって、スギ・ヒノキなど針葉樹や、里山を構成するクヌギ・コナラなどの落葉広葉樹ではなく、常緑広葉樹を植樹して本来の植生を取り戻すべきである。
これが宮脇さんの主張で、現在は東北の被災地において、海岸にガレキでマウンドを造り、その上に常緑広葉樹を植えて津波を防ごうという活動を続けています。


宮脇さんが植樹を勧めるタブノキ

また、トヨタやJR東日本など企業の植樹活動を指導するほか、世界各国で大規模な植樹運動を展開しています。中国の万里の長城でも宮脇プロジェクトによって森林が復活したそうです。
その実績は絶大ですが、生態学や樹木の専門家からは疑問や批判が出ています。私自身も、東北地方の本来の植生は常緑広葉樹だからシイやタブを植えるべきという主張には疑問を持ちます。日本人は落葉広葉樹が好きなので、心情的に抵抗があるのかも知れません。
その一方、スギ・ヒノキの人工林や里山の落葉広葉樹は、手入れをしない限り災害の原因になるという主張は一理あります。宮脇さんの本を読んでみようかな。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする