樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

本邦初記録の木

2012年10月08日 | 木と歴史
今年は『古事記』編纂1300年とかで、奈良県や島根県、宮崎県などゆかりのある地域で各種のイベントが催されています。
この日本最古の歴史書には樹木の記載がありますが、「最初に登場する木は何だろう?」と思って調べたら、クスノキでした。
イザナギとイザナミがオノゴロ島で楠船神、つまりクスノキの船を生み出したという記述があります。本邦初記録の樹木はクスノキでした。ただし、日本の樹木に関しては中国の『魏志倭人伝』(約1700年前の編纂)に記録があるので、「わが国の書物では」という条件付です。
『古事記』の8年後に完成した『日本書紀』にも、スサノオが「クスノキを船に使え」と指示する記述があるので、古代の船材はクスノキだったのでしょう。


クスノキの幹

『古事記』にはクスノキのほかにもいくつかの木が登場しますが、面白いのは弓。
天孫降臨の際に「はじ弓」を持っていたという記述があります。「はじ」は「はぜ」、つまりハゼノキやヤマハゼなどウルシ科の木でしょう。弓の材料には、マユミ、アズサ(ミズメ)などいろいろな木が使われていたようですが、ハゼも使われていたわけです。
私が面白いと思ったのは、現在の和弓にもハゼノキが使われているから。ハゼノキの細い板を2枚の竹でサンドイッチして弓を作るそうです。


ヤマハゼの幹

『日本書記』には、日本の樹木の発祥について興味深いことが書いてあります。
スサノオの子であるイタケルがたくさんの樹木の種を持って天から降りた後、最初は韓地(からくに=朝鮮半島)で種を撒くつもりだったが、「この地はふさわしくない」と思って大八洲(おおやしま=日本)に持って行き、筑紫から撒き始めて国土を青山にした…。
このイタケルが木の神様として鎮座したのが「木の国」(=紀伊国)。4年前、この神様を祭る神社まで「木祭り」を見にいって、記事にしたことがあります。
そう言えば今日は「木の日」でした。十と八を合わせると「木」になるので。

コメント (4)
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