樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

自然に学ぶ

2010年02月15日 | 野鳥
久しぶりに鳥の話題です。科学系のバラエティ番組で時々取り上げられるのでご存知かも知れませんが、新幹線の500系車両は鳥をヒントにして設計されています。
JR西日本が時速300kmの新幹線を開発し始めた頃、高速でトンネルに突入すると空気圧のために出口で「ドン」という音が出る「トンネルドン現象」が大きな壁になりました。ある開発者が、カワセミが水に飛び込む際ほとんど水しぶきを上げないことに着目。そのクチバシの形が最も空気抵抗が小さいことをつきとめ、カワセミにそっくりな車体にすることで「トンネルドン現象」をクリアしたのです。


(クチバシみたいに尖がった500系車両)

鳥から得たヒントはもう一つあります。時速300kmで走行するとパンタグラフも大きな騒音を出すそうですが、今度はフクロウが音も立てずに羽ばたいて獲物に近づくことに着目。その羽根の消音構造をパンタグラフに取り入れて、75ホンという騒音基準をクリアしたのです。
新幹線が時速300kmで走れるのはカワセミとフクロウのお陰なんですね。
その開発者は仲津英治という方で、趣味がバードウォッチング。日本野鳥の会京都支部の会員で、私も探鳥会やイベントで何度かご一緒したことがあります。
台湾に新幹線が敷設された時には技術指導のために現地に赴任し、支部の会報に台湾の鳥だよりを寄稿されていました。


(京都御苑でデジスコ撮影したカワセミ)

仲津さんには著書があって、そのタイトルが『自然に学ぶ』。私も1冊いただきましたが、カワセミやフクロウに学んだ体験から自然への敬意を強くされたようです。
そして現在は、「地球にやさしく」という尊大な言い方ではなく「地球に謙虚に」と表現するべきだという趣旨から、「地球に謙虚に運動」を立ち上げて代表者として活動するほか、いろんなNPOに関わりながらメッセージを発信されています。
仲津さんが提唱される「地球に謙虚に」運動のwebサイトはこちら
コメント (2)
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