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樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

街路樹の剪定は落葉前?落葉後?

2006年11月16日 | 街路樹・庭木
10月中旬、車で京都の烏丸通りを走っていたら、街路樹のプラタナスを剪定していました。「葉が大きくて邪魔になるから、落葉する前に剪定するんだな」と思って見ていました。そんな折、リビング新聞に京都の街路樹の記事が掲載されていました。

      
      (街路樹に多いプラタナス。撮影は9月。)

それによると、私たちが目にする街路樹は、国(主に国道沿い)、府、市、町など管理主体が異なっていて、剪定にもそれぞれの方針があるようです。
例えば京都市では、北山通りや白川通りなどは紅葉を観光資源と位置付けているので落葉後に剪定するそうです。ということは、私が目撃した烏丸通りのプラタナスは観光資源ではない?
紅葉が美しい街路樹でも、沿道の住民から「掃除が大変だから落葉前に剪定して欲しい」と要望されることもあるとか。

      
      (白川通りの街路樹は、分離帯がケヤキ、両歩道がイチョウ)

さて、どれくらいの数の街路樹があるか想像できますか?
京都市が管理しているのは、イチョウ、トウカエデなどの落葉高木が4万7千本、常緑高木150本、低木が82万2千本。わが宇治市はモミジバフウ、トウカエデなど高木6千本、シャリンバイなどの低木9万2千本。このほか京都府や国道事務所(つまり国)が管理している街路樹もたくさんあります。何気なく見ていますが、スゴイ数ですね。
ちなみに、剪定された枝葉は焼却処分することもありますが、ほとんどの場合はチップ化して土に還したり、堆肥に加工して園芸用土として再利用するそうです。
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世界一の並木道

2006年10月19日 | 街路樹・庭木
先日、3ヵ月ぶりに訪れた「栃の森」で、スギの落葉の美しさに目を奪われました。杉林の林床に黄色や茶色、緑のスギの葉がいっぱい落ちていて、日本画を見ているようでした。
この森には10年以上通っているのに、スギの落葉に感動したのは初めてです。樹を見るようになって7~8年ですが、広葉樹にしか興味がなかったので今まで見過ごしてきたのでしょう。
スギの場合、正確には落葉というよりも落枝(らくし)と言うべきかも知れません。

      

スギは日本特産で、1属1種。京都の北山杉のほか秋田杉や吉野杉などがありますが、樹木としてはすべて同じです。昔から木材として幅広く使われてきましたし、神社や寺院にも宗教的な意味のある巨木が残っています。
意外なことに、世界一長い並木道が日本にあって、それも杉の並木道。日光東照宮の参道にある杉並木は総延長距離が37kmもあり、ギネスブックに登録されています。植えられているスギの数は12,500本。

      
      (日光の杉並木ではありません。栃の森の杉林)

ところが、樹齢400年でそろそろ寿命を迎えていること、排気ガス、住宅と道路に挟まれて根を張るスペースがないことなどから、年間100本ほどが倒れるそうです。国の天然記念物と特別史跡の二重指定を受けていますが、そのうち世界一ではなくなるかも知れません。
杉並木と言えば、東京都には杉並区という区があります。江戸初期、このあたりの領主が境界を定めるために、青梅街道沿いに杉を植えて並木をつくったのがその由来だそうです。

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車に強い車輪梅

2006年10月03日 | 街路樹・庭木
みなさんも高速道路を利用されることがあると思いますが、中央分離帯に植えてある樹を見たことがありますか?
私の知る限り、シャリンバイが多いです。理由は簡単、排気ガスに強いから。
シャリンバイやウバメガシなど、もともと海辺で育った樹木は塩分を排除する仕組みを持っていて、それが排気ガスも排除するようです。そのほかに、手入れが不要とか大きくならないといった特徴を持つ樹が中央分離帯に植栽されています。
高速道路の中央分離帯だけではなく、車の通行量の多い歩道脇などにも植えてあります。先日、大阪の街を歩いていたら、大きな交差点の角に植えてありました。

      
      (大都会の真ん中で、健気にも実をつけています。)

「車輪梅」の名は、葉が車輪のように広がってつくためと、花が梅に似ているから。昔から車には縁の深い樹だったのです。
運転中はだめですが、後部シートに乗ったときか渋滞に巻き込まれたとき、一度中央分離帯の樹を見てやってください。排気ガスにまみれながら、健気に私たちの目を楽しませてくれています。
奄美大島では、このシャリンバイを「テーチ木」と呼びます。皮と根を乾燥させて煎じた汁で染めたのが大島紬。シャリンバイにはタンニンが多いので、あの独特の深い色が出るそうです。伊豆七島では、シャリンバイの樹液を魚の網を染め、実は食用にするそうです。
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星の葉の樹

2006年08月11日 | 街路樹・庭木
宇治では昨夜、花火大会が行われました。5分も歩けば特等席ゾーンなので、1年ぶりにゆかたを着て、ビールを飲みながら「玉屋~、鍵屋~」と叫んできました。
その宇治市の街路樹には、なぜかモミジバフウがたくさん使われています。JR宇治駅から宇治市役所へのメインストリートのほか、近くの住宅街の周囲にも延々と植えてあります。

      
      (宇治市役所前のモミジバフウ並木)

このモミジバフウは日本の自生種ではなく、アメリカ原産。名前は「モミジみたいな葉っぱのフウ」という意味です。このフウの仲間にはタイワンフウという中国原産の樹もあって、漢字では「楓(木ヘンに風)」と書きます。ところが、ややこしいことに日本では「楓」をカエデと読みます。
これまでにも何度かご紹介しましたが、その樹が日本にないのに、漢字だけが移入された場合、こういうねじれ現象が起こります。切れ込みのある葉が似ているので、楓という漢字をカエデに当てはめたのです。

      
      (モミジバフウの葉は5裂)
      
      (タイワンフウの葉は3裂)

葉の形はモミジに似ていますが、フウは互生、モミジは対生。そして、フウはマンサク科、モミジはカエデ科で全く縁のない樹種です。日本では、モミジバフウ(=アメリカフウ)とフウ(=タイワンフウ)が植栽されています。
このモミジバフウ、英語ではSTAR LEAFED TREE(星の葉の樹)と言います。5つに分かれた葉を星に例えたロマンチックなネーミングです。

         
         (ワニ皮のハンドバッグになりそうな樹皮)

このほかにも別名があって、香料や薬品に使う樹脂を採取するのでガムツリー、樹皮に灰色の瘤ができてワニみたいなのでアリゲーターツリーとも言います。
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